表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/192

独占

初投稿となりますので、よろしくお願いします。 舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。


・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 魔道具を改造出来る、技術を手に入れる。 120年後の予想を聞いて軽く絶望。 城の中でエレベーターを見つけたんで、ちょびっと改造。



|||||



こうなると、衛兵が近くに居ないのはラッキーだ。

今の内に、話しておこう。


「 魔道具の魔力データベースに、俺とラナの魔力を登録しておいた。 次に魔力を流せば開くはずだ 」


「 プログラムを変更したんですか? 」


「 前に倒れた時はそれをやった。 で、倒れた 」


「 たしか、3日間寝込んだんですよね? 」


そう。 あれは、気持ち悪かった。

おじさんは、同じ過ちを繰り返す事は在るが、その度に要領は良くなるのだよ。



「 この魔道具は入力された魔力を、別の魔道具に問い合わせて、登録済みだったら動くようになってた。 だから、問い合わせ先の魔力データベースに、俺とラナの魔力を登録したんだよ 」


「 なるほどっす? 」  判って無いないだろ。


「 問い合わせ先の魔道具に魔力が登録されてれば、 ”登録済みの魔力” って誤認するだろ。 下手に改造してぶっ倒れるより、簡単で間違い無いと思ってね 」


「 いいアイディアですね 」  白川さんは判ってくれたか。



「 動かすだけなら、こんな手間は必要無いんだ、実は 」


「 じゃあ、なんで手間が掛かることをしたんですか? 」


「 このエレベータを独占するためにな。 動かせるのは、限られた者のみにしておく。 そうすれば、簡単には殺されないし、発言権も上がるだろ? 」


おじさんは、組織内での発言力の重要性を知っている。

少数をコントロール出来れば、組織全体を支配できるんだ。

命の大切さは言うまでも無い。



「「 ・・・・・・。 」」



ラナが、手を握り締めてくれる。

嬉しいけど痛いから、それ以上は力を入れないでおくれ。


「 2人と違って、俺は色々狙われてるらしいからね。 保険は掛けておかないとな 」


ウインクでもしておこうか---、やっぱ止めた。

おっさんのウインクなんて、気持ち悪いだけだ。




「 後で2人の魔力も登録しておこう。 こっちに来て、初めてセキュリティが掛かった物だから、それなりの物は期待して良いだろ。 当分の間、この4人だけが使える様にしておこう 」


「 判りました 」

「 判ったッス 」


「 表向きは、3人だけが使えるって事にするから。 ラナも、誰にも言わない様にね 」


「 はい、波乱様。 」


ラナは良い子だ。

頭撫でたらセクハラになるかな、なるよな。 やめておこう。



「 さて、開けるぞ。 何が出てくるか、何が在るか判らないから、注意してくれよ 」


「「 了解 」」

「 はい、波乱様 」


金属板の前に移動して深呼吸、息を止めてから振り返る。

3人とも、頬を膨らませて息を止めてる。


思わず吹き出しそうになったが我慢、金属板に魔力を流すと扉が開いた。



|||||



( シュン )


微かな作動音と共に、エレベータの扉が開く。


中は何も無いタダの箱だが、天井全体が柔らかく光っている。

驚いたのは、1枚だと思ってた扉が2枚だったこと。


「 扉のつなぎ目が判らなかった。 凄い加工精度だな 」


「 え? そこですか? 」

「 そこっすか? 」


重要だろ。

これを造った奴って、それなりの技術を保有してたって事だぞ。


元の世界でも、くっ付けると離れなくなる位の表面加工技術は在る。

在るんだが、小さい物だけだったし繋ぎ目も目視出来た。


それと比較すると、もの凄い技術なんだが。

これを見るだけで、力ずくでは開かなかったなと推測できる。


「 中には何も無いみたいだな。 みんな体調はどうだ? 」


エレベーターの中には、小動物も、虫も、ホコリさえ無い。



「 ステータスに異常は出ていませんね。 毒や細菌なんかは、無いんじゃないでしょうか 」


「 こっちも、異常無しっす 」


「 スケルトンもレイスも居ないみたいだし、下に行ってみたいんだが・・・・・・ 」




「 波乱様!! そちらに伺っても?! 」  そう来るよね。


「 どうぞ、女王様。 安全は確認できました 」


女王と宰相が、衛兵と一緒に上がってくる。





衛兵8人がフル装備で、エレベータに乗ってる。

フル装備なんでかなりの重量なんだが、ブザーは鳴ってない。



「 それでは、動かします 」


「「「 ・・・・・・ 」」」


8人の衛兵は、先陣を切る緊張と名誉で震えてるし、目も泳いでる。

”自分達が!” って立候補するからだろ、自業自得だ。


ちなみに、これが3回目のチャレンジになる。

1回目と2回目は、篭に入れた鳥と、生肉を乗せた皿を下ろしてる。

鳥はガス系の確認に、生肉は---それを好む生物の確認用。

生の肉を食べる様な生命体には、できれば遭いたくない。



2回とも無事なんで、直ちに危険に曝される事は無いと判断、女王様がね。


「 んじゃ、閉めまーす 」


安全確認で周りに周知する時、語尾を延ばしてしまうのは何故だろう。

”起動しまーす”とか、”動かすぞ-”とか、皆がやってるんだよな。



エレベータが下に着いたんで、残った衛兵が砂時計をひっくり返す。

下に行った衛兵も同じ様な(・・・・)砂時計を持参している。

下に着いて扉が開いたら砂時計をひっくり返して、砂が落ちきる前にエレベーターに戻る計画。


もっとも、砂時計は正確じゃないんで、多少の誤差は織り込み済み。


砂が落ちきる時間を腕時計で測ったら、約5分。

俺の腕時計の方が正確なんだが、他人に貸すつもりは無い。 ラナは別。

戻ってくるか判らない場合は、なおさらだ。



で、たったの5分で終わりなので、大したことは判らんと思うんだ。

実質1回目の調査だし。


ま、自分で試す気は全く無いんで、女王様が命令してくれて助かった。

立候補? 権力による強制的な立候補だったな。



「 波乱様。 そろそろでは無いかと 」


「 了解 」


衛兵が砂が落ちきったと言ってきたんで、エレベータを上に呼ぶ。

後は待つだけなんで、王座の下のみんなの所まで待避。




待つ事しばし。 何やら、上の方が騒がしい。


「 担架! 」


診療所のじいちゃんが担架を要求してるから、けが人か?


「 ちょっと、様子を見てきます 」


白川さんが飛び出してった。


「 何が在ったんすかね? 」


「 あまり良くない事だろうな 」


「 っすよね 」



「 それにしても、担架が在ったんだな。 知らなかったよ 」


「 あれは、白川さんが用意させたんすよ 」


元の世界なら良く見る、棒2本と布で構成される担架。

それに乗せられて、戻ってきた衛兵が目の前を運ばれていく。

顔色が悪い、真っ青だ。


「 顔が真っ青っすね 」


「 だな。 でもさ・・・・・・、せめて鎧は脱がした方が良いよな 」


よっぽど焦ってるのか、気が付かないのか。

担架が壊れないか心配だ。


「 全員、戻っては来てるな 」


「 そうすね 」




「 女王様。 急ぎここを離れて下さい。 詳細は、後で宰相殿から報告をお聞き下さい 」


俺がここの責任者だ、事故が起きたなら安全確保を優先する。


宰相の襟首を掴んでおく、ウイルスでも病原体でもお前は逃がさん。

一緒に罹って頂く。



「 一旦、ここは封鎖しましょう。 交代で見張を立てて、目を離さない様に 」


6人の衛兵を残して、全員が謁見の間を出ていく。

診療所のじいちゃんは、最初の衛兵と一緒に戻ってった。


俺たちは宰相と一緒に、最後に部屋を出る。



「 3人とも、今日はこれまでにしよう。 それで、今日ここで起きた事は、決して誰にも話さない事。 頼んだよ。 」


「「「 はい 」」」


「 じゃ、お疲れ様 」



廊下で3人娘を見送って、ホット一息。


「 波乱様、大丈夫ですよ 」


「 ん? 」


「 そうっすよ。 あれは、女王様が言い出したんすから 」


何のことだ?

ラナが俺の顔をムニムニしてきた。


「 波乱様の責任ではありません 」



失敗すると判っていても、やれと命令される時が在る。

んでも、無能な上司が俺に命令する事は無い、反対されるのが嫌だから。

結局、失敗して苦労するのは若い奴ら、責任を取らされるのも若い奴ら。


そういう時は、アホな上司をぶん殴りたくなるんだよ。

やらないけど。


宰相を引きずって、診療所まで行くとしよう。 お前も感染して苦しめ。

気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ