鍵
初投稿となりますので、よろしくお願いします。 舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 魔道具を改造出来る、技術を手に入れる。 120年後の予想を聞いて軽く絶望。 転移の魔法陣の魔力の出元を探索中に、エレベーターを見つけだんだが。
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〈 10:30 〉に、通常業務は完了。 3人娘が、早めに出勤したおかげだ。
ホントに止めてほしい、そのせいでユックリ出来ないんだが。
ふと気になって、ラナに休暇の件を聞いてみた。
ラナとメイドさんズの、休暇はどうなっているのかと。
「 お昼ご飯を頂いてから、翌日のお昼までを休暇として、交代で頂いております」
どうやら、お昼を食べながら情報交換と、引き継ぎをやってるらしい。
俺の部屋で、みんなで食べてるからな。
週休1日になるのだが、それでも最初は休もうとはしなかった。
やむを得ず、休むように命令したんだが、シッカリ守ってくれてる様でひと安心。
「 ラナも、たまには休んで欲しいんだが? 」
「 私は、波乱様のメイド長ですので」 メイド長は休暇無し?
「 やりたい事とかないのか? 洋服とか、小物とか買いに行かなくて大丈夫なのか? 」
「 波乱様のお世話が出来れば、それで充分です」
ニッコリ笑う、ラナの笑顔が眩しい。 とても嬉しいんだが、それに甘えて良いのだろうか。
365日休み無しで働くのって、かなりブラックだ。
「 判った、何か用事が出来たら教えてくれ。 その日は何にもしないで、部屋でユックリしてるから、他のメイドさんでも大丈夫だろう」
「 お部屋でユックリされるなら、私が側に居ないとお困りでしょう? 」
これは、何と答えるべきか。
”居なくも大丈夫” は不味い、ほぼ確実にラナを傷付ける。
”居なくても何とかする” か、”困るけど、それでもラナにユックリして欲しい” か。
こういう時は、やさしく抱きしめて背中をポンポンだな。
泣きそうだったラナが笑顔になったから、これで良いだろ。
「 それに、時々お休みを頂いてますよ? 」
「 え? 気が付かなかった。 いつも、側に居てくれるよね? 」
なんでも、ラナのお休みの日は、俺のベッドに潜り込むんだそうだ。
時々、朝起きるとラナが居る日が在るんだが、それが休みの日だったと。
変な休みなんだが---、本人が良いのなら、まぁ良しとしよう。
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王座の後ろの壁は、柱と柱の間の1区画を丸ごと取り去った。
レンガの壁を、丸ごと取り去るためだ。
中途半端にレンガを取り外すと、レンガの壁が崩れるから。
と、思ったんだが、レンガの壁はエレベータの扉の部分だけだった。
レンガを取り外すと、枠に囲まれた扉と、その脇に金属のプレートが現れた。
プレートは操作パネルで、間違いないように思える。
ちょうど手の平を置きやすい位置に在るし。
ちなみに、”今3階”とか”上に向かってる”なんて表示部は無い。
壁の作業は、全てラナとメイドさんズにお任せ。
最初は、地下室を造ってくれてる業者を呼ぼうと思ったんだが、物が物だけに宰相からNGが出た。
仕方なく、自分でやろうとしたんだが。
「 力仕事は、お任せください 」 だって。
結局、椅子に座ってお茶してた。
たしかに、力は彼女たちの方が在る。 一気に、レンガを20個も運べと言われても無理だ。
任せて正解だと思う。
ちなみに、俺の後ろには、色々な見学者が居たりする。
んで、全貌が明らかになったんで、扉の前に移動。
「 さて、どうやって開けるかなんだが 」
魔道具なんだから、金属部に魔力を流せば開くはずだ。
「 ちょっと、やってみるか 」
「 開ける? 波乱様、これは何なのでしょう? 」
「 多分、エレベータだな 」
「 えれべーた? それは、何なんですか? 」
「 建物の中を、上下に移動するための魔道具だよ。 重い物を運んだり、何階も移動するときに使うんだ 」
「 何階も? 」
良く判って居いないようだが、実際に乗ってみれば判るだろう。
「 乗ってみれば判るよ。 じゃ、やって『 お待ちください 』みるよ 」
俺の真後ろで、椅子に座ってお茶してた女王様から待っただ。
ここで、邪魔されても困るんだが。
「 波乱様。 これは、どうやって開けるのでしょうか? 」
「 それを、今から調べようかと。 恐らくですが、そこの板に魔力を流すのではないか、と 」
「 そうですか。 では、その先には何が在るのですか? 」
「 流石に、そこまでは判りかねます。 その先は、扉を開けてから調べませんと 」
「 波乱様。 この扉は、長い間開けられていません。 更に、その先に何が在るかも判っていません。 扉を開ける作業は、別の者に任せましょう 」
魔道具検知では、〈 昇降機 〉以外は出てこない。
オマケに、長い間密閉された環境で、生存できる生物も居ないと思うんだがな。
んでも、ここは異世界か、ゾンビとかスケルトンが居る可能性も在るのか。
レーザーや、ブラスターは在っても判らん。
「 了解しました。 では、誰に任せましょうか? 」
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「 開かないか 」
ラナ&メイドさんズと3人娘に、魔力を流してもらったんだが、エレベーターは開かない。
その前に、女王が指名した魔道具師、魔術師も試したんだが開かなかった。
ちなみに、中から何が出てくるか判らないからと言って、衛兵が6人扉の両側に待機してる。
これも女王様の御指示。
「 さて、どうしましょう? 」
「 しばし、お待ち下さい。 呼びに行かせてますので、じき到着するでしょう」
到着って、誰が?
「 おいーっす 」
「 お待たせしました 」
白川さんと、河原君が来たんだが、これは?
「 ひょっとしてですが、召喚者だけが開けられるのではないかと思いまして 」
ああ、なるほど在りえるか。
でも、だ。
「 彼女たちが危険では? 」
「 あの方たちのレベルは、25を超えております。 何か在っても、充分対処できるでしょう 」
なるほど、俺よりは確実か。
「 2人とも頼むよ。 細菌とか、ウイルスとか、毒物に注意してね 」
「 定番っすよね。 大丈夫。 息を止めてやるっすから 」
「 回復魔法は、準備しておきますね 」
衛兵が下がり、2人が扉の前に立つ。
最初に、白川さんがやる様だ、河原君は剣を抜いて扉の前で待機してる。
しばらく待ってると、今度は河原君がやる様だ。 つまり、白川さんは開かなかったと。
衛兵が扉の側に立ち、白川さんは戻ってきた。
「 波乱さん。 魔力が流れた感じはするんですが、開きませんでした 」
「 お疲れ様。 魔力が流れた感じがするって事は、魔力が鍵で当たってるのかな 」
「 だと思います。 でも、何で開かないんでしょう? 」
「 ダメっした 」
河原君もダメだったと。 とすると、
「 残る可能性は、王族の血かな? 」
女王様の顔が引きつってるな、んでもまぁ、先に俺だよな。
「 では、女王様。 私が先に試してみますね、ダメだったら次にお願いします 」
今度は、止められなかった。
気付かれた点など、読後の感想をお待ちしています。




