見学会
初投稿となりますが、よろしくお願いします。 舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 魔道具を改造出来る、技術を手に入れる。 120年後の予想を聞いて軽く絶望。 召喚の魔法陣が、転移の魔法陣である事を知り、衝撃を受けても世間は動いている。
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「 給与が多いと、問題があるのか。 」
昼食中に給与に関して、アスターからクレームが入った。
3人とも固まってたけど、再起動して午前中の仕事は完了してる。
「「「 妬まれます、恨まれます、狙われます。 」」」
何だ、そのおかしな3拍子は。
「 みんなが黙ってれば、誰にも判らないと思うんだが。 」
「 財務の方から、漏れると思いますわ。 」
業務上の秘密は、守って当たり前では無いらしい。
エルフは口が軽いんだな、覚えておこう。
「 気にしなくて良いだろ。 成果は出してるし、女王と宰相が決めた額だから。 」
「 そうなんですか? 」
「 間違い無いよ。 」
「「「 では・・・・・・。 」」」
3人だけで目配せしあったが、納得したみたいだから話はここまで。
食後は、全員で転移の魔法陣の見学会。
前回はユックリ見られなかったし、3人娘が見てみたいんだと。
行くのは、もちろん一服してからだ。
食事後に直ぐに仕事をすると、おじさんの胃は悲鳴を上げるのだよ。
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神官と途中で待ち合わせて、召喚の間へ移動。
神官の連れてる神官は、全員魔道具を持って無い。
俺の、魔道具解析と遠隔操作の合わせ技による探知は、魔道具だけが対象。
普通のナイフや剣は、探知に引っ掛からない。
そのために、ラナが居てくれるんだが---胃には良くない。
「 護衛の人数が、多いですね。 」
「 波乱様。 これでも、減らしたんですよ。 ところで、後ろの方は研究室の? 」
「 ええ。 全員で、見学しようかと。 教育の一環ですよ。 」
3人娘を指し示す。
「 なるほど。 3人とも、優秀だと聞き及んでおります。 こうして、教育されておられるんですね。 」
うん、うん、と頷いているが、違う。
可愛い娘とお散歩して、気分転換するんだよ。 俺がな。
「 なるほど。 では、歩きながら--- 」
召喚の間へは、階段を登る必要がある。
それほど広くないので、神官と話しながら並んで歩く。
前後は、神官の連れてきた神官? その後を、メイドさんズが固めてる。
神官が何かしたら、直ちに対応できる並び順。
ラナは別、何時も直ぐ側に居る。
「 波乱様。 元神殿関係者の調査は、順調に進んでいます。 ですが神殿に、暗黒邪神教の手の者が入り込んで居る事が判りました。 」
「 ・・・・・・暗黒邪神教? 初めて聞きましたね。 」
こっちの世界では、初めて聞いたな。 元の世界では、聞いた気がするけど。
それにしても、何なんだその痛い名前の宗教は。
「 波乱様はディスタンドが、勇者を人体実験に利用していた事はご存じで? 」
「 ええ、知ってます。 」
王家保有の、図書室に在った記録を読んだ。
痛い日記とか、痛いポエムとか、色々ダメージ受けたから覚えてる。
出来れば、振り返りたくない思い出だ。
「 しかし、今はやっていないと記憶してますが? 」
「 はい。 かなり昔に、計画が廃止になっているのは、間違い在りません。 ですが、一部の者が暗黒邪神教として宗教化して、地下で継続していたようです。 」
「 今も? 」
「 今もです。 暗黒邪神教の厄介な所は、貴族だけで無く、商人や平民といった身分に関係が無い事。 そして、暗黒邪神教としての神殿を持っていない事なんです。 」
「 特定の神殿が無い---、厄介ですね。 」
「 ええ。 神殿があれば、まとめて処理出来るんですが。 それに、貴族と商人が組んでいますので、王都以外にも暗黒邪神教の信者が居るかと。 」
暗黒邪神教って、無理して使ってないか?
目がキラキラしてるんだが、気に入ってるのか、”暗黒邪神教” ってフレーズ。
歴代女王の日記もそうだったが、ハイエルフって中2病の罹患率が高そうだ。
エルフはどうなんだろ、今度ラナに聞いてみよう。
「 先に発生した元聖騎士の脱獄も、暗黒邪神教の手引きだった様です。 」
「 そうですか。 で、1つ確認なんですが、人体実験の成功例は無かったんですよね? 」
「 はい。 今の所そのような記録も、証言も得られておりません。 」
元聖騎士の生存、その可能性は少ないか。
んでも、河原君が見たかもって言ってたし、後で2人に情報を回しておこう。
人体実験のモルモットにされてるんなら、むしろ生きてない方が良いのか?
安らかなれと、祈るしかないな。
「 波乱様も、狙われる可能性が在ります。 」
「 4人の中では、1番弱いですからね。 俺が相手だったら、真っ先に狙うでしょう。 ま、信頼する護衛を連れ歩いてるんで、心配してませんけどね。 」
ラナの頭をナデる。
「 それが、よろしいでしょう。 」
1番よろしいのは、何にも無い事なんだけどな。
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召喚の間は、昨日と変わらずここに在る。
元の世界への、扉だと思ったんだけどな。 不味い、チョット涙が出そう。
「 さぁ、ここが召喚の間だ。 各自調べて、判った事を報告してくれ。 」
「「「 判りました、室長。 」」」
部屋へでは無く、魔法陣の上に散っていく3人娘。
3人とも優秀だから、何かしら得るものが在るだろう。 多分。
魔道具鑑定では、 ≪ 転移の魔道具 : 上転移 ≫
上転移って、何なんだ。
距離か? 座標の精度か? それとも復元率か?
”微転移” とかだと、まれに左右の腕が逆になったりしてな。
身体の表と裏が、逆になるよりましだけど。
「 室長。 この魔法陣には、魔石が無いようですが。 何処に在るのでしょう。 」
「 そうだな---、何処だろ。 」
考え込んでたら、一回りしてきたメアリに質問された。
部屋を見回しても、構造物は壁と柱しかない。 装飾品除く。
「 召喚には、神官が複数立ち会ってたな。 彼らが、魔力を入れるんじゃ無い、な・・・・・・。 違うな。 」
召喚の魔法陣(転移の魔法陣だけど)は、480年魔力を貯める必要が在るって言ってた。
「 そうだな、良いぞメアリ。 魔法陣へ、魔力を供給してる回路を探してくれるか。 俺も、中を覗いてみる。 」
魔法陣の側に移動して、手を置く。
”上” でも、見るだけならそんなにMPは消費しないし、大丈夫だろう。
何より、レベルが上がってるからな。
「 ラナ。 頼む。 」
そう言ってから、改造の技術を発動。
久しぶりに、潜ってみよう。
気付かれた点など、読後の感想をお待ちしています。
独自の理屈を展開していますが、ファンタジーの世界観を壊さない範囲に留めているつもりです。




