day 16-1 冷房プリーズ
初投稿となりますが、よろしくお願いします。 舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。 ※投稿方法を勘違いしていましたので、修正しました。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 自分だけの力を得るために、魔道具の改良に、取り組み始め新しい技術を手に入れる。 暑さ対策用の魔道具を、お金稼ぎと遠征用で作成することに。 エアガンの前に、ウインドスラッシュの魔道具に近づいたが、冷房はまだだ。
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今の生活で助かっているのは、時間に拘束されないことだ。 目覚まし時計は無いし、時刻表も関係無い。
他の3人は、稽古、ダンス練習、マナー講習、時間に追われて色々やっている。 爵位による挨拶の違いとか、序列がどうとか、覚えることが多くて大変なんだと。
技術を持っている分野と違って、脳みそだけの作業は大変だろう。 おじさんには無理そうだ。
最近では、食事以外は3人とは別行動になっているが、お留守番だからな。
意識とは関係無く、身体は渡り廊下を抜け、城内の廊下を歩いている。
両手は、メイドさんの手に包まれ、引っ張られている。 背中には、メイドさんの両手が置かれている。
が、決してハーレムではない、連行中だ。
全員がアリウムのメイドさん。 つまり、面倒なことが待っている。
かなり急がされている。 つまり、余裕が無い。 嫌な予感しかしない。
訂正しよう、時間に拘束されないのは、アリウムが絡んでいない場合だけだ。
王族って怖い。
城内に入ると、スピードがさらに上がる。 息が切れる、酸素が足りないと思うんだが。
「 大丈夫ですか? 波乱様。 」
苦しくて、メイドさんに倒れかかる。
メイドさん達が心配してくれるが、呼吸が上手く出来ん。 全く大丈夫じゃ無い。
「 顔色が悪いようですが。 」
だから、押すな引っ張るなって言ったじゃん。 倒れる寸前だぞ。
ポーションを飲ませてくれたが、効果は在るんだろか。
「 ちょっと待ってくれ、急ぎ過ぎだ。 」
おじさんは、自分の身体が許容できる運動量を知っている。 大体、大目に見積もられていて、足がもつれてこけるんだが。
おまけに、ステータスが違い過ぎるからな、歩調はおじさんに合わせよう。
今後急ぐ時は、メイドさんにお姫様抱っこか、おんぶして貰おう、本気でそう思う。
メイドさんに、汗を拭いてもらいつつゆっくり移動。 冷房プリーズ。
派手な装飾が目立つ、見たことが無い広く長い廊下に入った。
2人の兵士が、ドアの両側に立っているのが、遠くに見える。 あそこかな。
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「 波乱様をお連れしました。 」
当たりだ。
扉の両側に立つ兵士に、来訪を告げている。 2人の兵士は、剣も鎧も魔道具だ。 魔剣と魔鎧だな。 魔の鎧、まのよろい、まぁよろい~、どうだろ。 ジョークを前もって準備しておくのは、おじさんの嗜みだ。
魔道具鑑定では、部屋の中央のおおむね1人分の空間に、複数の魔道具。
それが2か所。 相手は2人か。
「 お入り下さい。 」
兵士が室内とやり取りした後、扉が開かれる。 中に入るのは、、、私だけ。
豪華な部屋だな、メイドさんは両耳エルフなのに大人だ。
「 失礼します。 」 元サラリーマンだからな、挨拶はする。
「 急にお呼び立てして・・・・・大変だったようですね。 」
まだ汗出てるし、顔色も悪いんだろうな。
アリウムに似た女性が喋った。 お母さんだろう。 ティアラもしてるし、女王だな。
2人ともドレスだが、アリウムのドレスの裾は、膝下ぐらいになってる。
メイドさんに切られたな。
「 初めて御意を得ます。 波乱万丈と申します。 」
2人の前まで進み、頭を下げて挨拶する。 膝はつかないが、出来る限りの礼は尽くすとしよう。
室内の見えないところに、魔剣が4本ある。 微妙に揺れてるし、床より上に在るから、4人が隠れていると。 護衛だろうな。 部屋が広すぎて、廊下からは魔道具鑑定できなかった。
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「 おい、アリウム。 『 ごめんなさい。 』 」
アリウムの母親に呼び出されたのだが、世間話とお礼で終わった。 表面上は。
今は、アリウムの魔道具部屋。
女王は、アリウムがドレスを着るようになって、感謝していると。 んで、裾が少々短いのは、如何なものかと言っていた。 もうあれか、いっそのことミニのドレスにでもするか、面倒だし。
ドレスを着たのも、裾が短くなったのも、本人が約束を破ったからだ。 それに、綺麗な脚なのだから隠すのは罪だ、と言って押し切った。 お礼も必要無いと断った。 不敬? 知らん。
出された紅茶は美味しかったし、お菓子も美味しかった。 んでも、そろそろアイスティーで良いんじゃないか。 ガムシロップ在るよな。
「 それにしても、女王が銃を知っているとはな。 」
「 私は話してないわよ。 」
アリウムの話し方が、いつもより柔らかだ。 服装が、影響を与えているんだろう。
もう切らないから、ドレスの裾を抑えるんじゃない。
「 だとしたら、前に来た異世界人から聞いたんじゃないか。 アリウム、あっちで武器と言ったら銃なんだよ。 」
「 信じてくれるの? 」
「 誰が話したかじゃなくて、" 知っていた " ことが厄介なんだ。 」
女王様笑顔だったけど、目の奥が笑ってなかった。 アリウムがドレスを着るようになった事より、銃の話がメインだったんだろう。 " 作るな " とも、 " 援助する " とも言わなかったからな、更に面倒だ。
帆船用推進装置の試験を、見てたって言うし。 あれと銃を結び付ける当たり、無能な女王では無いようだ。 それは助かるが、面倒なのは間違い無い。
それよりだ、
「 アリウム、冷房を何とかしよう。 」
「 れいぼうって、前に言ってた、冷たい風が出る風の魔道具よね。 」
そう、概略合ってる。
「 あと、冷たいコーヒーが飲みたい。 冷蔵庫を改造するぞ。 」
もうこれは決定だ。
「 コーヒーに、氷を入れたらいいんじゃない。 」
「 その通りなんだけどな、氷を砕かないといけないから、面倒なんだよ。 」
今でも、大きな塊でなら、氷は魔道具で作れる。 んでも、小さいのを連続で作りたい。 砕こうとすると大変なんだよ、筋力が低いから。
それに、上手く行けば銃の弾の代わり使えるだろ。 言わないけど。
頼んでおいた、冷蔵庫の材料が届いていた。 4台分。 冷却の魔方陣は、アリウムが作れるから材料は揃ったと。 組み立ては午後からだな・・・・・・ん?
まだ、《 10:30 》なのに、午後から作業?
材料がそろったら、直ぐに作業開始、完成までぶっ通し。 昼飯は抜きか、カロリーバーだったな、会社では。
こちらの時間感覚に、慣れ過ぎてしまったようだ。 笑ってしまう。
「 良かった、許してくれたのね。 母がいきなり会いたいって言うものだから、止められなくて。 」
そうじゃないんだが。 まぁ、いいか。
「 変な異世界人を、1回見たかったんだろ。 " 変人 " と仕事が出来る " 変人 " をな。 」
「 ちょっと待って。 その変人って、私の事じゃ無いでしょうね。 波乱が変人ってのは判るけど。 」
「 いいかアリウム。 自覚症状が無い病気ほど、重症な場合が多い。 気が付いた時には、致命傷になってる。 」
「 ・・・・・・。 」
「 自覚しろ。 」
ひょっとして、ほんとに自覚無かったのか。
泣くなアリウム、明日もきっと晴れだよ。 まだ昼前だけど。
気が付かれた点など在りましたら、読後の感想と評価をお願いします。




