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始まりの終わり

舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。

ソルを救うため単身で超400mダンジョンに挑み、破壊に成功した。 ちょっとしたミスは在ったが、無事に脱出するも、魔道具の誤作動で隣の大陸に飛ばされた。 ドラゴンが近寄ってくるし。


|||||


俺達の目の前には2頭のドラゴン、大小で2頭だ。

母親と娘らしい。


この辺は、エサになる動物や魔物が少ないんで苦労していると。

雑食だから木の実なんかも食べるけど、こちらも少ないと。

それに、魔素が薄いんで全身が重く感じるそうだ、傷も治りにくいと。


2頭を観察すると、全身に汚れと傷がある。

多分、白系統の外観なんだろうが、ひょっとしたら見た目通り灰色の可能性も在る。


それはそれとして。

何でこんな所で、俺はドラゴンのシングルマザーの愚痴を訊いているんだろうか。

俺に生活苦の相談をされても困る。

戦闘にはなりそうにない、そこは助かっているが。


「 で、なんで急に来たんだ? 」


ドラゴンが、ガウガウ言ってる。

俺はドラゴンと話せたりはしない、会話が成立してるのはラナだけだ。

凄いな勇者って。


「 恩人に挨拶に来たと言ってます。 空から降ってきた物と、同じ匂いがしたからと 」


「 なるほど 」


母ドラゴンが、もうダメかもって思ってら空から何かが降ってきた。

それが大地にぶつかって、大地から魔素を噴出させた。

それからは魔物が増えたんで、ギリギリ生活出来る様になったんだと。


破壊した200m級ダンジョンから漏れた魔素のことらしい。

何となく助けただけなんだが。


空から降ってきたソレ(・・)と同じ匂いが、俺からするんだそうだ。

本当の匂いじゃなくて、魔力パターン的なものらしいが。

投下体は俺が色々改造してるから、魔力の残滓がこびり付いてたんだろう。


「 ギャア  ギャア 」 何言ってるのか判らん。


ラナと2頭は会話(・・)してる、現状の認識も正確。

明らかに知的生命体何だが、事前調査で見落としたか?


「 いえ、波乱様。 新しく出来た魔素の泉に近づいたとき、初めて目覚めたそうです。 それより前は、眠っているみたいなものだったと言っています 」


「 事前調査の見落としじゃなくて、安心したよ 」


1種族を絶滅させるのは勇気がいる、知性を持った存在なら尚更だ。

しばらくの間、ガウガウとギャアギャアが続いた。


「 波乱様。 ドラゴンの親子に、ココより住み易いところが在るか訊かれましたので、ディスタンド北部の山脈を紹介しておきました 」


4000m級の山が連なってる山脈だ、寒いのが平気なら定住場所としては在りだろう。

ドラゴンは山に居るってのがイメージだし。


「 良いと思うぞ。 女王には報告しておこうか、一応 」


「 はい、波乱様。 一応 」


俺やラナから女王に報告すると、報告じゃなくて通達になっちゃうけど。

気にしたら負けだな。


その後、母親の背中に乗ってディスタンドに戻った。

マリアさん家に付いたのは24時を過ぎてからだ、誕生日は過ぎたけど怒られたりはしなかった。


|||||


あれからほぼ1年が過ぎた、今日は俺の12才の誕生日。


2頭のドラゴンは、ディスタンド王都の北の山脈が気に入って定住した。

住民には、王都を守るドラゴンとして受け入れられてる。


山脈は、魔素の流れが穏やかで住み易いんだと、エサも豊富にあるらしい。

身体はスッカリ元通りになった、色は白銀だった。


時々、手土産を持って王都に遊びに来る、着陸場所は神殿の裏側。

俺達はダンジョン産の肉や料理でオモテナシ、ドラゴンはダンジョンには入れないんで結構喜ばれてる。

ドラゴンはデザート系も大好きだ。


2頭は、なんちゃらって言うドラゴンらしい、国によっては信仰の対象なんだと。

だから2頭が来る日の神殿は大騒ぎになる。

神殿の露店は爆売れになるらしく、客寄せドラゴンになってる。

今度きたら、目の周りを黒く塗ってみよう。


『 ヒト種の姿に変身しないのか? 』


『 変身能力は無い。 在ったとして、どうしてヒト種に変身する必要があるのか? 』


2頭のドラゴンは変身出来ないらしい。

んでだ、数多い種族からヒト族を選ぶ理由が判らないんだと。

俺も知らん、知らんが色々と都合が在るんだろう。



今日は5大国の代表と、小国家をまとめた3群の代表が、ディスタンド王城の会議室に集まってる。

小国家群は地理的に近い所をまとめただけ、仲良くやってもらうとしよう。


『 申請のあったダンジョン解禁は、今日付でこれを認めます。 各国に1つ、群にも1つの大ダンジョンの所有を認めます。 管理は国または群の責任で行うこと 』


俺はコーヒー片手に椅子で寛いでる。

読んでるのはラナ、俺じゃない。


『 ダンジョン深度が300m級を越えた場合は、無通告でこれを破壊します 』


『『『 ・・・・・・ 』』』


ラナの通達が続いてる。


ダンジョンを利用して魔素の龍脈化を進めるには、ダンジョンの維持が必須だ。

ダンジョンは、中を適度に荒らしてやれば成長はしない、この状態を維持する。

単に魔物を間引くだけではダメだ、魔石なんかを持ち帰ることが重要。


冒険者はミツバチ、ダンジョンは花畑ってことになる。

気分は養蜂家だな。



俺の12才の誕生日を記念して、各国のダンジョンへの入場が解禁される。

今はその説明会だ、事前に通達してあるんでセレモニーでしか無いが。

今日の06:00には、解禁されて運営が始まってる。


各国のダンジョンの位置は、魔素の龍脈化に適した場所にある。

ダンジョンガチャを繰り返して、やっと今の場所に落ち着いた。

適切に管理すれば、今まで以上に資源の宝庫になるだろう。

魔素濃度が上がってるから、有効な資源の回収量も質も爆上がりだ。



ダンジョン内のモニタリングも実施中、オペレーターが24時間監視してる。

仲間と連携して、うまく魔物の後ろを取ったな。


『 うぉおおおお~~~ 食らえ~~~ 』


「 何やってんだ、あれ 」 コーヒーを1口。


「 せっかく背後を取れたのにな 」


映像をプレイバックして再生、『 うぉお 』から剣が当たるまで約3.8秒。

人類最速は100mで約10秒、3.8秒あれば38m移動できる。

レベルが上がった冒険者なら、30%増しで約50mってところか。

集団で挑まなくちゃならない格上の魔物なら、更に30%増しで65mか。

最低ラインの移動距離でだ。


「 当たるはずなかろうに 」 ほら外れた。


『 俺に任せろ! 』 ん?


タンクは防御に特化してるらしい、素早くないが攻撃を受けても倒れないバイタリティがあるんだと。

素早くない者が、重い鎧を装備して、大きな盾を持って、前衛が避けられないような素早い攻撃に割って入る?


『 がぁ~ 』 だよな。


間に合うわけが無い、まとめて吹き飛ばされてる。

スキルが在るっていっても、発動に時間が掛かり過ぎる。

目で見て判断して、唱えて発動するスキル。

魔物は最低でも1秒で17m移動するんだ、0.5秒で発動しても間に合わない。

そんな時間が合ったら、前衛をすり抜けて、攻撃して、後衛の後ろに通り過ぎてるぞ。


「 ゲームなら間に合うんだろうけどな 」


リアルタイム風で、実際はターン制のゲームなら間に合う。

現実は同時に行動するからな。


『 私に任せて! 詠唱の時間を稼いで頂戴! 』

『 判った! 』


「 距離を考えていないのかな 」


前衛と後衛の距離が5mか。

詠唱に10秒掛かったら、その魔物はお前達の回りを5周は出来る。

攻撃ポイントを選びたい放題で、攻撃もやりたい放題なんだが。


『 キャー 』

『 くそ~ 』


「 ・・・・・・つまみ出せ。 こいつらをつまみ出して、2度とダンジョンに入れるな 」


「 了解しました。 あの冒険者の所属する国に通知します 」 


監視してるオペレータに命じる。

頭が痛い。


「 波乱様、なにか問題でも? 」


「 お疲れラナ。 問題は在りすぎだ 」


ラナが施設に帰ってきた、説明会は終わったらしい。


「 それで、おっさんの像を建てるのは納得したか? 」


俺はモニタから目を離さず、隣に立ったラナに尋ねる。


「 もちろんです。 納得させました 」


この施設で、文字通り粉骨砕身で最後まで残っていたおっさん。

名前はアンモビウム、施設の研究者の1人。


おっさんの残した施設のプログラムで、俺達は異世界から召喚され、ソルは救われた?

彼の功績を誰も知らないのは許しがたいんで、各国に像を建てることにした。

アンモビウム、この国の花言葉で暗い希望なんだとさ。


|||||


ダンジョンを解禁するに当たって、色々準備した。

10階層ごとの中ボスと地上への転移魔道具、魔物が出てこない休憩所。

休憩所には、味方識別の魔力パターンを流してある。


んで、前回の続きから始められるダンジョン内への転移の魔道具。

転移魔道具の誤差は修正した。

同じ方向にズレるのは、どうやらソルの自転速度の低下が原因だったようだ。

5000年の間に、自転速度が多少遅くなったらしい。

公転速度は測定中、そもそも魔道具にファクターとして組み込まれているかも不明だ。


誤差の修正は出来た、それでも怖いんで転移元と転移先に魔道具を設置することで問題を解決した。

完全に固定式の魔道具になるが、ダンジョンの中と外を繋ぐだけだし。

転移元と転移先の魔素濃度による、転移先のズレも解消できたし良しとする。



あと宝箱。

俺は反対した、アトラクションじゃ無いんだから。

でも押し切られた。


『 喜んで入って行く環境じゃないと続きません 』 だそうだ。


ダンジョンをアトラクション化した以外にも、色々準備した。

冒険者ギルドを統一し、規則も一新。

目的はダンジョン内から色々持ち帰ることだから、戦闘と採取でランクを2つに分けた。

戦闘しか出来無い奴のランクは低い、戦闘は必須ではないが採取は必須だからな。


本部はスリスターにしておいた。

ディスタンドに集中し過ぎは良くない、単に面倒くさいだけとも言う。


犯罪者を調べるオーブなんだが、何とかなった。

ラナの張った結界が、俺に反応して変化したのを思い出してコレを利用した。

ある種の結界は、魂にこびり付いた負の感情の残滓に反応して、変形することが判明。

変形 = 圧力だ、ここまで来ればソレを光に変換するのは容易だった。


残念なのは黒幕が判らないこと。

黒幕Aが手下Bに命じて被害者Cに危害を加えた場合、オーブは手下Bには反応するが、黒幕Aには反応しない。

黒幕Aが被害現場に居合わせれば反応するんだが。

どうやら、被害者の負の感情の範囲内に居ないとダメなようだ。

魂が何なのか何処にあるのかは不明だ、結界に訊いてくれ。


試作中、イケメンにだけ反応するオーブか完成した。

嫉妬やねたみに反応するんだろう、面白いんで何個か作った。

俺には反応しなかったけどな。


学校を創設して義務教育を開始した、ディスタンドとスリスターだけ。

130年で元の世界の水準まで持って行くのが、当面の目標だ。


|||||


今日は俺の12才の誕生日、んで、ラナとの婚約を発表する日でもある。

ダンジョンの最下層でラナが俺を見て驚いたのは、俺がエルフに耳になってたからだ。


その後の調査では、エルフ族が子供を捨てたって記録は無かった。

マリオンの肉体は、ハイエルフ又はエルフと、人族のハーフの可能性が高くなった。

成長率からするとハイエルフに近いそうだが。


魔素が何かやらかしてくれた可能性も否定できない、ソルの行く先を見届けろって事か。

んでも、ラナと一緒に歳を取っていけるんだから、素直に喜んでおこう。


5氏族から1人づつ、5人の側室も取れって言われてるけど、そっちは保留中。


「 俺の技術は後天性の物だ 」

「「「 存じています 」」」


「 この内の何人かは、それ(・・)を継承した子供を産む可能性がある。 子供が出来ればな 」

「「「 そうなれば、大変喜ばしいことです 」」」


「 いやいや。 それ(・・)こそが問題だ。 後天性の物も遺伝するって事だぞ? 」


酒癖が悪い、浪費癖がある、ハーレムだって問題無し、むしろ歓迎。

暴力癖、キレやすい、引きこもり癖、そんな後天性の癖も遺伝する。

ナルも、潔癖も、酒好きも、女癖の悪さも遺伝する。

俺は違うけどな。


そんなのが何代も続いたら、お前の物は俺の物なパリピなストリート系チーマーが完成するだろう。

何代先になるかは知らんけど。


それを受け入れる母親側の癖も遺伝する、特別な人ならハーレムでもOK、イケメンならもっと良い。

父親側と合わせたらどんな子供になると思う? 俺は考えるだけで恐ろしい。

だから保留だ。


「「「 リオ! お誕生日おめでとう~ 」」」


マリアさん家で身内だけの誕生日会だ、去年は遅刻したが今日は間に合った。

身内だけってことは、俺とラナ、マリアさんとマライアとマルセラ。

あとクロエさん、ドラゴン親子はサイズ的に無理だった。


「 なんとか、間に合ったな 」


間抜けな冒険者のせいでちょっと時間が押したけど、何とか間に合った。


「 はい、波乱様 」


俺は無職だ。

今後はダンジョンの売り上げの一部を管理税として受け取るが、無職だ。


あの日、ラナが俺を迎えに来た時、ラナは魔素通信の中継器をダンジョン内にバラ撒いてきたらしい。

『 400m級ダンジョンの単独走破と、誕生日をみんなで一緒にお祝いしたい 』 からだそうだ。

誰だよ、ラナにお願いしたのは。


結果として、各国首脳陣とディスタンド王都の住民は、俺に世界を滅ぼす意思と能力があると認識した。

ラナが安全弁だと言うことも理解した。

そんな奴を雇う物好きは居ない。

国の要職にも就けない、冒険者は性に合わない、だから無職だ。


まぁ、何処に行っても、何をやってても俺は俺だ。

何も変わらない。


「 お兄様。 これからは、ダンジョンを使って魔物を管理されるのですよね? 」


「 いいえ、マルセラちゃん。 それは少し違うわ 」


ラナがこちらを見る。


「 マルセラ。 管理するのは魔物じゃなくて、魔素だよ 」


突然知らない世界に送り込まれ、何者かに一方的に生活圏を荒らされる。

魔物だってある意味被害者だ。


あの日、俺を包み夢を見させた魔素に似た何か。

あれは魔素の基だったんじゃないか。


世界の80%を占めていると言われてる、ダークマター。

それと何かで魔素を構成してるんじゃなかろうか、その何かを掴めれば・・・・・・。

まぁ、魔素の正体はいずれハッキリさせるとして。


魔素迎撃の準備はできた。


「 さぁ、ファンタジーを始めるとしよう 」

最初の作品でしたが、何とか想定したラストを迎えることが出来ました。

誤字脱字が多いなか、最後までお読み頂きましてありがとう御座います。


誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。

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