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舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。


色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した。 白川さんの予言では、俺とラナが世界をどうにかしなくちゃならないらしい。 5大国会議の代わりに戦争が始まったが、終わったらしい。


|||||


用意されていた部屋に到着すると、扉の両側には8人の衛兵がいた。

多いな。


イケメンだったエルフは、ここまでメイドさんズに引きずられてきてる。

紐で交代で引っ張ってたらしい、服のあちらこちらに血が滲んでる。

誰も直接触りたくないんだとさ、可哀そうなやつ。


「 口を開けて良し、但し声を出すな 」 


イケメンだったエルフは鼻血を出してる。

鼻でも呼吸できる、出来るんだが今はラナの命令で口を開けないから苦しそうだ。

俺が優しい訳じゃない、こいつには、まだやってもらうことが在る。



ラナが顎をクイッとやると、衛兵が扉を開けた。

部屋の中では7人のエルフが跪いてる、マリアさんと5氏族の当主。

もう1人はディスタンドのエルフの長だ。


扉を抜けると、部屋の床が一段高くなってる所に出た。

その中央には椅子が1つだけ、俺が座る椅子なんだと。

ラナは椅子の側に立った。


「 全員顔を上げなさい 」


こういう時のラナは勇者だって感じるな。


「 波乱様、ラナ様。 我らが一族より裏切り者を出してしまったこと、深くお詫び致します・・・ 」


長老が謝罪してくれる、必要無いって言ったんだが聞いちゃくれない。

俺のサポートが5氏族の使命、存在意義そのものなんだと。

それを否定する行為は、過去5000年の祖先を侮辱するものだとか。

俺とラナはどこいった?


マリアさんがポーションで、イケメンだったエルフの顔を治した。

本人確認のためだ。

別のエルフがイケメンの左腕を切り落とす。

偽装の魔法を解除して、腕に付いてるハズ(・・)の暗黒邪神教の紋章を確認するためだ。

ライトソードで切ると血は出ないんだな、レーザーメスみたいな物か。


「 確認出来ました。 私の弟で間違い在りません 」


魔力パターンもマッチだ、本人で確定だな。

事前の調査で分かってたんだけどな、念には念を入れないと。



俺の膝から始まった震えは下半身に広がり、今では全身に拡大済み。

椅子に座ってるだけでしんどい。


さっきからラナに抱き着いてる。

俺が座ってるんで、ラナの左の太ももを抱きかかえる形になった。

人前で女性の太腿を抱えて震えてる、通報されそうだな。


判ってる、これはマリオンの身体が拒否反応だ、俺の記憶じゃない。

大きくゆっくり深呼吸、なんとかするしかない。

大丈夫だ、あと少しで終わる。


「 こいつは、こっちで処分するが問題無いか? 」


ラナのスカートはめくれあがってる、今日も青か。


「 御随意に。 本来でしたら、一族みな処分するところなのですが・・・・・・ 」


一族全員を処刑ってやつだな、んでも、今回はチョット不味いらしい。

『 一族全員 』 ってなると俺も含まれる、義理ではあるがこいつの甥になるから。

俺を見つけ、保護した功績のあるマリアさんも含まれる。


俺とラナを狙い、暗黒邪神教の復活をもくろんだ罪で処分するのは良い。

良いんだが、処分の過程で俺が処分されたらどうなの、って話だ。



「 他に裏切り者は居ないんだよな? 」


「 居ません。 間違いなく 」 長老様が言い切った。


マリアさんとこいつの父親は、暗黒邪神教の信者だった。

5氏族を利用するために教団が送り込んで来た、眠れるスパイ、スリーピングボムだな。

5氏族の他の家にも来たんだと、でも、他の家はそれを見抜いて適切に対処したそうだ。


「 人物の鑑定が出来ますから、問題無いと思ったのですが・・・・・・ 」


元平民だった5氏族の祖先は、成り上がろうとする奴らに狙われたんだと。

貴族や商人、野心を持った平民なんかに。


色々あって、気が付くと5氏族の多くに、人物鑑定のスキルが生えるようになったらしい。

各家の長は女性になるんで、いつも婿養子をとることになる。

旦那になる人物には、何人もが人物鑑定を掛けて、相応しいか否かを判断するんだと。


マリアさんの母親もスキルを持ってたらしい。

だから、マリアさんの母親に近づいた時点で、本人も判っていたはずだと。

でも、周りの忠告も聞かず強引に結婚したんだと。


「 なるほどな。 でも、今回はこいつ以外処分は無しで頼む。 あと、マリアさん 」


「 はい 」


「 ばあちゃんは大丈夫だろうね? 『 責任をとる! 』 とか言って無いよね? 」


俺から見てばあちゃん、マリアさんの母親の家には結構遊びに行ってる。

マリアさんのばあちゃんのクッキーは美味だ、俺はチョコチップ入りが気に入ってる。


「 昨日確認した時には、そんな様子は御座いませんでした 」


「 彼女に責任は無い、問題なのは父親だ。 ラナ? 」


「 はい、波乱様 」 アゴをクイッとやったな。


ラナの太モモ越しに部屋を見回す、誰も動かないんだが?

大丈夫か? 伝わってる?


「 ご心配なく。 すでに、エージェントがメイドとして家に入り込んでいます 」


「 なら大丈夫か 」


ちょっと安心だ。

責任取って自死、なんてさせるものか。


|||||


イケメンに戻ったエルフは語った。

何故俺とラナを狙ったのか、暗黒邪神教がいかに素晴らしいか。

貴族の家は長男が次ぐべきだとか。


父親に洗脳されてるな、俺にはどうでもいい話だ。


「 ディスタンド国内で、お前たちが接触した者は全て捕えた。 直接会った者はもちろん、連絡を取った相手もだ 」


プローブによる調査は徹底して実施した、後は・・・・・・


「 後は、お前に訊くだけだ。 お前の持ってる情報は全部頂く 」


「 僕が話すと思っているのか? 僕には信念と信仰がある、拷問でも魔法でも聞き出せるなんて思わないことだ 」


まだ余裕があるな、なにか切り札でも持ってるんだろうか。


「 拷問なんてしない。 お前の脳に直接訊く 」


最初の時、全身義体を検討した。

機械に自分の記憶を移そうと思ったんだが、それは出来なかった。

んでも、読み取る(・・)のは出来る、その後で本体がどうなるかは知らん。


事前に用意しておいた装置が部屋に運び込まれる。

元々の設計図には、なぜだか拘束具が付いてたんでそのまま作っておいた。




「 脳に痛点は無いハズなんだが、苦しんでたな。 まぁ、自業自得だけど 」


「 はい、波乱様 」


「 そういえば、偏頭痛はかなり痛いんだよな。 脳も痛みを感じるのかな? 」


「 はい、波乱様 」


「 ・・・・・・ 」

「 ・・・・・・ 」


「 ラナさんや、施設に戻って休憩しない? そうだな、3年くらいユックリ休むのはどうだろうか? 」


「 皆さまが会議室でお待ちです。 休戦協定は締結されたとのことです 」


「 そうなんだ 」


どうやら俺は、会議室に向かってるらしい。

俺はラナに抱えられてる、自分で歩いてないんで行先が判らん。


俺は奴を始末した後、俺に対して人物鑑定を掛けてもらった。

スキルを持ってる全員にだ。

外見じゃなく中身で勝負する男だからな、俺は。

自信が在った訳じゃないが興味は在った、んで試したんだが最悪だった。


「 申し訳ございません、夫としては『 不適格 』 となりました 」

「 同じです 」

「 申し訳ございません 」


また、ラナが何かやってると思ったんだが、今回は何もやって無かった。

俺は中身もダメな男らしい、だから3年くらい休んでも良いと思うんだ。

ハーレムなんて作る気は無いし、1人くらいは忖度してくれても良いのにな。


「 ですから、お止めになった方がよろしいと言いましたのに 」


ラナが呆れてた。


奴の身体は、目の前で灰も残さず焼ききった。

床が溶けて穴が開いたから、後で女王に謝罪しておこう。


|||||


対策会議が再開だ。

各国には代わりの代表を選出してもらった。

もちろん、行員や護衛の中で裏切りに関係してない人物を選んでだ。


「 獣人は強さが全てです。 負けたからには潔く従います 」


新たに選出された獣人族代表のお言葉だ。

それは良いんだが、まだやる気が戻らない。


「 んじゃ、説明するね。 計画の第一段階では、小ダンジョンを全て潰す。 次は・・・ 」


計画はシンプルだ、だから説明することもそんなに無い。


「 ダンジョンを順番に潰すのですね? それはどうしてでしょう? 」


手を上げて説明したのは、新しい獣人族の代表だ。

ディスタンドとスリスターには事前に説明してある、この場で質問は出ないだろう。


「 魔素を地表付近で滞留させるためだ。 その実現に、大ダンジョンの魔素収集力を利用する 」


現状では魔素を加速する方法は無い、つまり移動する為の手段が無い。

施設に設置してある魔素炉も魔素を集めてるけど、これから扱う魔素の量は桁が違う。


「 モニタを見て欲しい 」


円卓の中央の空間に、仮想の大ダンジョンを表示する。


「 2つのダンジョンの内、片方を破壊する。 すると、魔素のほとんどが最終的にもう一方のダンジョンに吸収される 」


最初はユックリ、次第に早くなる魔素の流れは赤色で表示してる。

目立つからな。


「 で、魔素の移動速度が所定の速度に達したら、残った片方も破壊する。 すると、魔素は近くにある他のダンジョンに向かうことになる 」


ここで、第3のダンジョンを表示だ。


「 コレをソル全体で繰り返して、最終的には1本の魔素の流れにする。 地表付近を流れる魔素の川だな 」


モニタには、シミュレーションの結果として生み出された、魔素の流れが表示されてる。

上手くいけばコントロール可能なハズだ。


「 かなり手間が掛かりますが? なぜこの様な方法を採るのでしょう? 」


もっともな疑問だ。


「 ダンジョンが保有している魔素は膨大だ。 放っておくと1つの大きな固まりになると推測してる(・・・・・) 」 シミュレーションの結果なんだけど。


「 でだ、魔素が集まると 『 魔物が生まれるのですね! 』 かもしれない。 もしくは、ダンジョンが生まれるかもしれない 」


人が説明してる途中で、口挟んだ奴を睨んどく。


「 とにかく魔素の量が多過ぎる。 どんな強い魔物が出て来るか、あんまり想像したくない 」


「 地下深くにダンジョンが出来たらどうなります? 」


「 もっと酷いことになるだろうな 」


ソルの、マントルやコアに、高エネルギー体である魔素が大量に集まったら?

AIのシミュレーションでは、ソル全体がちょっと熱くなるか、最悪は爆発するって結果が出てる。

ちょっとってのは数百度だ、たいした温度じゃない。


そうなるのは、今から数千年後だから俺はもう居ない。

何度になっても、俺は知らん。


細かい調整は必要になる。

新しく出来たダンジョンは必要なものは利用するし、邪魔になるのは潰す。

そのへんの調整は、寿命の長いエルフ族に任せるつもりだ。

計画開始は10週間後、各国代意表の皆さんにはさっさと帰ってもらうとしよう。


|||||


「 波乱様、これを 」


今日は嫌なことが在ったから、さっさと寝ようとベッドに入ったんだが。

ラナが差し出して来たのは、記録の魔道具が2つ。

白川さんの予言が入ってるんだと。


『 あなたは、重要な選択を迫られるでしょう。 あなたの愛する人は、暗黒邪神教の信者なのですから。 ・・・ 』


白河さんが、マリアさんの母親に宛てた予言だった。

その人との結婚は、自分の心に従っても良し、周りの声に従っても良し。

但し慎重に決めなさい、だそうだ。

ばあちゃんとソルにとって、非常に重要な選択になるだろうと。


「 これだけか? これは、ばあちゃん宛だよな? 」


「 はい、波乱様 」



もう一つの魔道具の記録は、結果が出てから渡して欲しいと頼まれたんだと。


『 ・・・長女は波乱様を護る盾となるでしょう。 次女は波乱様を見つける目となるでしょう。 長男は波乱様を見つける鍵になるでしょう。 どのような結果になっても心配は要りません・・・ 』


「 送り込まれた奴との間に出来る子供は、俺を見つける役に立つと。 長男が鍵を開けて、長女が見つける、か。 そう言えなくもないな 」 結果は最悪だったけど。 


「 それで、これは何時ばあちゃんに渡すんだ? 」


「 明日にでも、お届けしようかと 」


「 判った。 俺も一緒に行こう 」


「 宜しいのですか? 」


「 行くさ。 俺に関する事だからな。 それに、ラナのそんな顔見たんじゃ、1人で行かせられない 」


「 ・・・・・・波乱様 」


ラナが抱き着いて来た。


「 私達は彼女を利用してしまいました。 彼女は、私達の事をどう思うでしょうか? 」


「 どうだろうな、それは本人に訊くしかないだろ 」


抱き着いてるラナの頭を撫でながら話す。


「 それに、選んだのはばあちゃん本人だし、ラナが気にする事じゃ無い 」


ラナが俺を見上げた、ラナが泣いてる。


「 もちろん白川さんも悪くない、彼女は選択肢を提示しただけ(・・)だしな 」


つまり、一番の原因は俺だってことだ、明日は防弾・防塵下着を着て行こうかな。

また、胃が痛くなりそうだ。

誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。

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