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たまには気まぐれも在り

舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。

色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した。 白川さんの予言では、俺とラナが世界をどうにかしなくちゃならないらしい。 ダンジョンを物理力でぶっ叩いてみた。


|||||


「 第三弾着弾 」


「 今のは、近いんじゃないか? 」


「 ターゲットまで約480mです 」


オペレータをやってくれてる、メイドさんズが答えてくれた。


「 ・・・・・・魔素が拡散を始めました、現在時速5cm、10cm、更に加速中 」


別のメイドさんズから報告だ。


「 モニタのフィルタを外してくれ 」


『 フィルタを外します 』



ダンジョンコアの魔素濃度は高い、最下層なんでコア周辺の魔素の濃度も高い。

魔素センサだけだとモヤモヤして何だか判らないんで、フィルタを掛けて魔素が濃い所だけ表示してる。

それでも、ハッキリくっきり表示されるわけでは無い。

何となくこの辺にコアが在りそうだなって、判る位だ。


「 ダンジョン全体から、魔素が放出されてるな 」


「 おめでとうございます、波乱様。 コアは破壊出来たと思います 」


「 だな 」


指揮官席の背もたれに寄り掛かり、隣に立ってるラナを見る。

俺達は3ヶ月近く掛けて、やっと他の大陸のダンジョンを破壊する手段を手にした訳だ。


「 180m級で3発か。 シミュレーションでは1発で充分なんだが 」


孫ダンジョンまで持つ大ダンジョンは、ソル全体で26カ所。

この大陸に12カ所、B大陸に8カ所、C大陸に6カ所が確認出来てる。

最大で450m級が確認されてるから、何機の衛星を準備すれば良いのやら。


「 着弾誤差が大き過ぎる。 まぁ、数を増やせば何とかなるんだが 」


投下体には、都市鉱山から掘り出した金属を使用してる。

金属の融点は、タングステンやセラミック複合体を遙かに超える8200℃。

固いだけで無く、軽く、若干のリタンダシーを併せ持つ夢の様な金属だ。

耐熱性が高く、衝撃や振動にも強い、そして軽い、まさしく悪夢(・・)だ。


質量兵器なのに軽いのは致命的だ。

大きくして質量を稼いでも、空気抵抗があるんで終末速度はそんなに変わらない。

やむを得ず、先端にはライトアロー( 改良版 ) を更に改造して3台取り付けた。

ライトアローの収束を30度の立体角で、扇形に照射するように改造してある。

着弾直前に地面をえぐると同時に、着弾点の地面を軟化するのが目的だ。

ピンポイントでは無く、面で圧迫してダンジョンを押し潰す。


「 改良は続けるとして、しばらくはこのタイプを量産だ 」


『 投下体3Cタイプの量産を開始します 』



「 波乱様、休憩の時間です 」


「 よし、みんな休憩にしよう。 魔素の拡散状態を記録しろ 」


『 記録を開始します 』


AIに命じてから司令室を出る。

また魔素のデータが充実する、これでシミュレーションの精度が上がるな。


|||||


食堂区画で休憩だ、今日の休憩時間のお伴は俺のお手製。

お手製と言っても、ナノプリンターにメニューを指示しただけ。


「 俺が用意した、魔星焼改だ。 中身は右から、生クリーム入り、イチゴジャム、ブルベリージャム、りんごのコンポート、肉詰め、カレーだ 」


「 波乱様、こちらが 『 本家 魔星焼き 』 です。 先ほど買ってきたばかりですので、温かいうちにどうぞ 」


「 ありがとうラナ 」


買ってきたのは別のメイドさんだ、それは知ってる。

ラナは何時でも側にいるからな。

ちなみに毒味は終わってるってさ、別名はつまみ食いだ。


「「「 頂きます 」」」


俺とラナが食べ始めると、メイドさんズも食べ始めた。

神殿の露店で売ってる 『 魔星焼き 』が、今日の主役になる。


「 中は粒あんか、生地はちょっと甘いんだな 」


「 はい、昔から変わらない味にですね。 最初は丸だったんですけど 」


ラナは神殿が出来たてのころ、魔星焼きを食べたことがあるんだと。

初期は魔星に似せて、ボールの様な球体だったらしい。

何時の頃からか平らになって、今では大判焼きになってる。


中身は餡だけだって聞いて、ちょっと手を加えてみた。

伝統も大事だけど、時には変更も必要だと思うんだよ。


「 店主に訊いたんですが、焼くための型を作れる職人が居なくなってしまったと言っていました。 それで今の形になったそうです 」


買い出しに行ってくれたメイドさんズが、教えてくれた。


「 なるほどね、焼くための型が無ければ作れないか 」


魔星焼は普通に美味しい、味はほとんど変っていないってラナが言ってる。

老舗だな、少なくとも数百年は変わらない味ってのは凄いと思う。

出店をやってるのが人族ってのが、ポイントが高い。


「 あんこも美味しいですけど、カレーも美味しいです! 」

「 私はジャムが好いわ 」

「 肉詰めのは、餃子と同じで野菜も入っていますね。 いえ、味が付いてる? 」


俺が用意した物も非常に好評だ。

誰でも思いつきそうなんだが、似たものは王都には無いらしい。


「 どしたラナ? 食べないのか? 」 お腹でも痛いんだろうか?


「 いえ。 昔、似たようなことが在ったな~って 」


ラナの視線の先にはメイドさんズ。

あんことかジャムとか口の周りに色々付いてるし、取り合いになってるんでちょっと騒がしい。


「 私もあんな感じだったんでしょうか 」


「 ラナはもっと大人しかったぞ。 それに、もっと沢山食べてたかな? 」


「 そんなことは! あの時は、波乱様がほとんど食事を取られなかっただけで、私が沢山食べてた訳ではないと思います? 」


「 あ~、そうかもな。 コーヒーとタバコと果物ぐらいだったか、口にしてたの 」


「 はい 」


「 今もそれほど食べられないけどな 」 まだ10才だし。



「 それにしても、メニューが数百年変わらないとはね。 エルフ族はノンビリしてるな、飽きないのかね 」


「 波乱様。 ディスタンドには人族も居ますよ? 」


「 そうだよな 」


ラナは、自分の分を食べ終わったメイドさんズから、自分分の大判焼き改を守ってる。

1対5、腕の数なら2対10なんだが、まだ1つも奪われていない。


「 それに、スリスターでも同じだと聞いています 」


「 新しい店も、メニューも数百年間出ていないのか 」


「 はい 」


ラナだけじゃ無くて、メイドさんズの腕の動きも見えやしない。

俺も大ダンジョンに潜って、かなりレベルが上がったハズなんだが。

専門の戦闘職には敵わないか。


|||||


「 破壊したターゲットの報告を 」


『 魔素拡散は継続中、拡散速度も増加中 』


「 魔素の動きが不安定に見えるんだが? 」


「 目標が移動しています 」


「 移動する? 」


メイドさんオペレータが報告してくれた。

してくれたんだが、破壊したダンジョンが移動するって?


「 光学映像をメインモニタへ 」


『 表示します 』


メインモニタに、半分崩れたスリバチ状の地面が映し出された。

地下のダンジョンが崩れると、その空間分だけ地表が沈み込む。

半径数百メートルは在るだろう。


「 動いていないように見えるが? 」


「 目標は、破壊ターゲット上に到達しています 」 何を言ってるんだ?


「 波乱様 」


ラナが手を伸ばして、指揮官席( 自称 )のターミナルを操作する。

スリバチ状に沈み込んだ地面の中央、1番深い場所が拡大表示された。


「 2匹とも無事のようですね 」


「 ・・・・・・だな 」


2匹は寄り添って地面に横たわっている。

寸法的に見て親子だろう、母と子か、父と子か、それは判らないが。


「 拡散した魔力の一部を吸収しています 」


レフトモニタがダンジョンの側面図に切り替わった、細い細い魔素の流れが2匹に向かって流れてる。


「 2匹の傷が、少しずつ治っているようですね 」


「 だな。 いつ気付いた? 」


「 ターゲットを急に変更したからですよ。 あんなに準備したのに急に変更するんですから、何か在ったって思いますよ? 」


「 ・・・・・・だな 」


元180mダンジョンだった所には、ドラゴンの親子が揃って傷を癒やしてる。

湯治みたいなもんだろう。


魔素の減少には、ドラゴンも敵わなかったらしく、見つけたときはボロボロだった。

弱ったドラゴンを何とかしたくて、ターゲットを変更したんだが、みんなにはバレてたか。

助けられるんなら助けたかったんだよな、実物見た事無いし。


「 次からは、もう少し気をつけるよ 」


「 いいえ波乱様。 お好きなように 」


ラナはニッコリ笑ってる、メイドさんズも。

誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。

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