day 11-1 自分のために出来ること
初投稿となりますが、よろしくお願いします。 舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。 ※投稿方法を勘違いしていましたので、修正しました。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 何とか出所してドクターと看護婦さんに再会。 遅れて、救急隊員の1人も合流。 最後の1人は犯罪者になった。 全員揃って、教育が始まったんだが、技術が無いと何も出来ないと判明。
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今日からは3人と別れ、部屋で魔道具弄りだ。 武器でも魔法でも、役に立たないからな。
何とか、実戦に役立つ魔道具を用意しよう。 まずは武器だ、案は在る。
となるのが、本来の姿だが。
屋内練習場で、ドクターと対峙している。 私の提案だ。 2人の、ヒール系のレベル上げをするため、実験台になりましょうと。
『 モルモットじゃないんですから! 』 って怒られたけどな、自分のためだから気にするなと。 あと、せめて被検体と呼んでくれ。 "モルモット" の単語に、クリスさんが顔をしかめてたけど、何でだろ。
「 始めますか、 ドクター」
「 よろしくお願いします」
打ち込まれる杖に、短剣を合わせる。 かなりの衝撃、腕を上げたな。 10数分後、擦り剝けて血が滲んでいる手のひら、打撲傷多数。
「 白川さん、そろそろお願いします」
「 判りました」
む~、と言いながら、集中を始める。 しばらく待つ、じっと待つ。 ここで、『 まだか 』 とか 『 痛い 』 と言ってはいけない。
肘を90度曲げて体に付け、手のひらを上にして待つ。 "小さく前にならえ" の変形版だな。
小学校の頃やってたなぁと思い出しながら、現実逃避。 頑丈さが売りの、タフな腕時計が重く感じる。
まだか。
足元の、練習用の剣を見る。 技術は、これを "剣" と認識している、木製なのに。
木の棒は、杖の扱いだ。 んでは、杖を少しづつ加工していくと、どこから剣と認識されるのか?
まだかな。
棒に刃の加工をしたら、木刀になって剣の扱いになりそうだ。 刃は、どれくらい鋭利にすれば、刃となるのか。 柄は必要なのか、賢者との話題にしてみよう。
まだかな~。
ポーションを握りしめたラナが、ソワソワしてるな。 床に座るのを忘れていた。 腕も足も痛いし、脇腹も痣になってるな、多分。 座るより、床に寝た方が良いか。 次はそうしよう。
手が、ほんわり温かくなった。 こちらに向けた、白川さんの手のひらが光り、光りは私の手と繋がっている。 血が手に吸い込まれ、めくれた皮が戻っていく。 全身が温かくなり、痛みが無くなった。
「 どうでしょうか」
ニギニギしてみる。 少し痺れているが、気にならない。
「 ありがとうございます、治りました。 時間は5分30秒、新記録ですね」
ヒール完了までの時間を、測定している。 進歩の様子を数値化出来るから。
目標は、ハッキリ数値化するのが、おじさん流だ。 在って良かった腕時計。
白川さんがニマニマしているが、そう言えば。
「 ひょっとして、全身の打撲も治してくれました? 」
「 がんばりました! 」
「 手のひらと、腕と脇腹と足。 同時に4箇所で40%の時間短縮、凄いな。 大体85%短縮か」
白川さんが、ブィってしてる。
んでも、私が入院していた時、廊下でカルテの束をバラ撒いてたな。 わたわた拾い集めてたんで、手伝いましょうって声掛けたら、『 大丈夫です! 』 って断られた。 天然系少しぽっちゃり型だな、白川さん。
「 波乱さん、本当に大丈夫ですか? 」
「 ええ、大丈夫ですよ。 カルテをバラ撒いてた頃の、白川さんを思い出してただけですから」
「 そ~れ~は~、昔の~ことです~! 」
「 いや~。 真っ赤になって拾ってたんで、手伝おうって思ったんですよね」
忘れろ~ と言いながら、肩を掴んでガクガクするの止めてくれ。 脳が揺れる、視界がブレる。
次は、白川さんのお相手だった。 不味かったか。
ドクターも、順調に魔法系のレベルを上げている。 なかなかのタイムで治療完了。 治療系は、さすがに聖女の方が上手い。 2人には、早めにヒール系の上位呪文を覚えて貰わないと。
河原君は、教官と訓練してる。 もう、私達3人では練習にもならない。 ドクターと白川さんは、良い勝負だ。 腕力の数値に差が無いからだな。
昼食は食欲不振。 きっと脳を揺さぶられたのが原因だ。 ラナにがんばってもらった。
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午後は、クリスさんの紹介で、念願の魔道具師に会う。 ラナも一緒だ。
「 初めまして、波乱と申します」
「 ようこそ波乱さん。 私、アリウム・ディスタンド・デストピアと申します。 お会い出来て光栄です 」
「 王族の方ですか? 跪きましょうか? 」
「 ・・・・・・ 」
ジト目で見るなよ、冗談だって。 外したけど。
「 アリウム様は、魔道具師であらせられます 」
そうなの?
「 魔道具研究に没頭し過ぎて、廃嫡されたほどです。 変人と呼ばれています 」
ラナが、小声で教えてくれた。 んでも、聞こえてると思うぞ。
「 "ご紹介頂きました" 、 "元" 第1王女 アリウムです。 今後ともよしなに 」
ほら見ろ、聞こえてたじゃん。
「 こちらこそ、よろしくお願いします 」
作業着? でのカーテシーは、アホの子に見えるが指摘しない。 出来るおじさんは、沈黙することが出来る。 金髪両耳エルフだ、スタイルも良いな、美人さんなのに勿体ない。
「 クリスのお話しでは、魔道具の勉強がなさりたいとか? 」
「 はい。 剣も魔法も使えませんので。 基礎から学びたいと思います 」
それにしても、元とは言え王女。 何でここで出てくるのかね。
廃嫡とか、変人とかラナが言ってたし、厄介ごとを、押し付けられたのか?
役立たず2人を、適当に集めただけだったりして。
「 判りました。 まずは、私 が創った作品をお見せしましょう 」
くるっとターンを決め、びしっと部屋の奥を指し示す。
作業着っぽい服だからな、やっぱしアホの子に見える。 ラナは拍手してるけど。
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