会議は仕事じゃない、もちろん踊ったりもしない
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した。 白川さんの予言では、俺とラナが世界をどうにかしなくちゃならないらしい。 魔素が減少すると、魔物だけじゃ無くて人族やエルフ族なんかの命も奪う事が判った。
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衛士に案内された城の会議室には、女王やお偉いさんが着席してた。
んで、会議室には全体的にヨレッとした感じが漂ってる。
俺達は遅刻してはいない、つまり来る前から会議していたんだろう。
女王に手招きされたんで、女王の隣の席に向かって歩く。
最近は、いつもラナと腕を組んで歩いてるんだが今は違う。
一応公式の場だから、ラナを右手でエスコートしてる、俺は左利きだからな。
利き手は開けておかないと。
今もラナはメイド服を着ているんだが、服装はコレで良いんだと。
勇者ラナの正式な正装? 戦闘服? は、メイド服なんだと。
それにしても、お偉いさん達は疲れ過ぎてる。
おまけに、女王の隣には席が1つしか用意されてないし。
椅子を引いてラナを座らせる、俺は・・・
「 波乱様、こちらへ 」
ラナの前に座るのか、フトモモに挟まれるんだな、なるほど。
「 では波乱様、説明をお願いします 」
「 了解した 」
女王に言われたんで、大きく腕を振ってモニタを起動する。
会議室の円卓、その中央の空間にソルが表示される。
会議室は色々改造しておいたからな。
「「「 !!! 」」」
お偉いさん達が驚いてる、効果は抜群だ。
ちなみに、モニタは俺の魔道具操作のスキルで操作してるんで、腕を振る必要はまったく無い。
モニタのオンオフするのにいちいち手を降るのはムダだ、ショーとしては在りなんだが。
「 これが君たちの住んでいる惑星、ソルだ。 ソルには3つの大陸があり、ディスタンドが在るのは一番大きな大陸になる 」
ユックリ自転するソル、その中で一番大きな大陸を指さす。
「 ディスタンドの王都は、大陸のココに 『 お待ち下さい 』 」 なに?
話を遮ったのは、白い服を着たデブなオッサン、人族っぽいな。
服装からして神殿関係者か。
白川さんが祭られてる神殿の服装は袴だったから、おっさんの神殿はそれとは別だろう。
「 これは何なのですかな? 」
モニタに表示されてるソルを指差しながら訊いてくる。
「 ソルの立体映像だな 」
「 ソルとは何なのですかな? 」
「 この惑星の名前だな 」
「 それは誰がお決めになられたのですかな? 」
誰って俺もそれは知らない、記録にソルだって記載されてただけだし。
「 何を言いたいのか判らん。 質問はその意図と目的を明確にしてから、発言してくれ 」
飲み物はコーヒーで、ラナはジュースで良いのかな?
お偉いさん達だけの会議の様だが、メイドさんズは平気で入り込んでる。
神官のおっさんが何か言ってるな。
「 ・・・世の危機だからと訊いて駆けつけてみれば、この様な世迷い言を! この世は平らだと、神が仰ったのですぞ! 」
まだ喋ってたのか、なんか真っ赤になってるな。
「 いかにも! 私の研究でも、この地を中心にして・・・ 」
別のお兄ちゃんが立ち上がって、何やら話し始めた。
まぁ、あれだ。
「 天動説な。 それで他には? まだ何か言いたいことが在るのか? 」
神官と兄ちゃんを順番に見る。
「 なければ座ってくれ、説明の邪魔だ 」
ラナのフトモモをポンポンする。
さっきまで真っ赤になってた2人が、今は真っ青になってる。
多分ラナが何かしてる。
おっさんは神官じゃ無くてなんちゃら教の教皇様で、兄ちゃんは城のなんとかの学者先生だと。
2人ともまだ何か言いたそうで、立ったままだ。
面倒なんで2人とも退出頂いた、メイドさんズが廊下へ叩きだしてた。
教皇様には、白川さんと河原君を復活させて欲しいってお願いしておいた。
神とお話が出来るそうだから、やってもらおうかなってね。
だってな~、『 そう決めた 』 って神から聞いたらしいし。
教皇様を邪魔するやつは、バッサリやって良いよって許可しておいた。
2人を復活出来るまで、神殿への出入りも禁止したから邪魔は入らないはずだ。
時間はタップリ差し上げたから、是非とも目標を達成して欲しい。
教皇や神官の食べる物?
なんでも、清貧を良しとして、人々に施しと安寧を与える宗教らしい。
食事も家庭菜園と僅かな喜捨で賄ってるらしいしから、大丈夫だろ。
学者先生? 知らん。
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「 では、早ければ20ヶ月後には私達もああなると? 」
「 そうですね 」
女王が言ってるのは、昨夜実施した4回目の試験のことだろう。
魔素が無くなれば命もなくなる、そういうことだ。
たぶん例外は無い。
「 それと無魔素エリアですか? 」
「 仮称だけどね 」
無魔素エリア。
センサーが偶然捕らえたのは、魔素が0に近い値を示した空間の存在だった。
最初はセンサーの故障だと思ったんだが、似たような数値が幾つかのセンサーで観測された。
実際に0になってるのか、ほんの少し残っているのか現状では判らない。
少なくとも、センサーの測定可能な下限値より少ないことは確実だ。
最新のシミュレートの数値が、その存在を裏付けした。
何らかの要因が重なると、局所的に発生するようだ。
「 魔素は濃い方から薄い方へ移動する性質がある。 本来なら、薄くはなっても無くなることは在りえない。 あるとしたら・・・・・・ 」
コーヒーが届いた、ミルクと砂糖はラナが入れてくれる。
「 あるとしたら? 」
「 魔素が足りなくなってる 」
ソルの画像に測定した魔素の流れを表示する、シミュレートに基ずく推定値も合わせてだ。
「 矢印は魔素の流れる方向を、大きさは量を表してる。 見た通りだ 」
ディスタンドと、ディスタンドに隣接するスリスターとミラー国はまだもってる。
無魔素エリアの発生は限定的だ、その他の国は?
「 かなり出ているのですね? 」
無魔素エリアは、数mから10数mの大きさで、数秒から数分継続するとの推測値だ。
今はそれで済んでるけど、だんだん酷くなるのは判ってる。
より大きく、より長く持続するようになっていくだろう。
「 ですね。 それで、どうしましょうかね女王様 」
一通りの説明は終わった。
俺としては女王サイドから、グッドなアイディアを出して欲しいところだ。
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「 ダンジョンを潰しましょう! それしか在りません! 」
誰も何も言わないんで、俺もラナも黙ってお茶してた。
俺が飲んでるのはコーヒーで、ラナはジュースだけど。
発言はシッカリ許可を取ってからだ、一応女王様もいる公式な会議だし。
「 その案を支持します 」
ダンジョンに移住するっていう手も在るが、全員が入れるわけじゃない。
入るだけなら可能だろうけど、食料と水が間違い無く不足する。
他の惑星や、異次元の世界に避難するのは無理だ、エネルギーも技術力も足りない。
女王が結論を出すまで随分時間が掛かったが、他に選択肢は無い。
「 ただ、2つ問題があります 」
「 問題ですかな? 」
女王の隣の爺ちゃんだ、ラナに訊いたら宰相なんだと。
「 まず1つ、何処にどの規模のダンジョンが、いくつあるのか把握していますかね? 」
「 大ダンジョンは、3つですな 」
「 いや、最近出来たのもありますからな、4つでしょう 」
「 小ダンジョンは無数にありますな 」
参加者が一斉に喋りだした。
ハイエルフの最近ってのは信用しちゃいけない、マリアさんの最近は100年単位だったし。
「 で? 」
急に黙りやがった。 結局誰も把握していないらしい。
あとで、地図とにらめっこして調べるらしいが、大丈夫かね。
ダンジョンに合わせて、手持ちの戦力を割り振らなくちゃいけないから、スゲー重要なんだが。
「 それで2つ目、他の大陸はどうすんの? 」
今度こそ、ホントに、全員黙りやがった。
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