グッドなアイディア
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した。 白川さんの予言では、俺とラナが世界をどうにかしなくちゃならないらしい。 女王に依頼していた調査が終わったらしい。
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『 魔素が減ったのでしたら、増やしたら良いのでは? 』
「 そうですね。 それが出来れば、魔素の減少については解決ですね 」
『 私に良い案が在ります。 ほとんどの貴族は、ゴブリンの魔石を沢山保有しています。 それを魔素に替えればよろしいでしょう 』
なんか女王が変なことを言い始めた、ドヤ顔しているし気に入らん。
扇じゃなくて、紙の束をバッサバッサやってるのも気に入らん。
「 そうですね 」
女王に現実を教えて差し上げよう。
チョイと手を伸ばして、ソファテーブルのターミナルを操作する。
んだが、少しだけ手が届かん。
「 ・・・・・・ 」
ラナが俺を抱き上げて脚の間に座らせる、太ももで挟み込む感じだな。
最近はラナだけじゃなくて、みんな俺を膝の上で抱きしめることが無くなった。
重くなって膝の上じゃ痛いんだそうだ。
俺の身体も、やっと成長してきたってことだ。
「 これが王城の映像です 」
衛星画像で王城を表示する、もちろん昼間の映像だ。
女王の映ってるモニタは脇に寄せといた、邪魔だし。
相手が女王でも不敬ではない、あっちのターミナルでも同じ物が表示されるし。
モニタには、王城を真上から見た画像が映し出した。
「 それで、魔石が入ってる倉庫はどれでしょうかね? 」
『 ・・・・・・これね 』
「 わかりました 」
女王が指差した建物を中心にして、画像を少しづつマクロにしていく。
まずは、王都全域が表示されるまでだな。
「 これが王都の画像になります 」
「「「 ・・・・・・ 」」」
全員モニタに集中してるのを確認。
マライアは口を閉じなさい、ヨダレが垂れかかってる。
もう垂らしてる女王よりは良いけど、女の子としてはアウトだ。
「 次は・・・・・・、ココがスリスターの王都だな 」
モニタの左下の隅を指差す、反対側の隅にはディスタンドの王都が写ってる。
更にマクロにして大陸を表示する、大陸の名前はまだ無い。
「 コレが住んでる大陸ね。 んで、ここにさっきの倉庫を建てたと仮定しよう 」
ターミナルを操作して、大陸を更地にする。
「 山も川も邪魔だから無くしたとして、そこにミッチリ隙間無く倉庫を建てたとする。 仮にな、仮に 」
モニタ上の大陸に黒い波が流れる、虫が増殖しているみたいでちょっとキモイ。
「 左上の数値が今の魔素量との比較値を表示してある、今は1だな。 でだ、倉庫の中の魔石を全部魔素に変換して放出したとする 」
キモイかったから倉庫も消してしまう。
「 波乱様、数字が変わりませんね 」
「 そうだな 」
表示を小数点以下2桁に変更しても、数値に変化無し。
みんなコッチを見てるけど、理解出来てないなこりゃ。
「 つまりだ、王城にある倉庫が大陸一杯あったとして、その中の魔石を全部魔素に替えたとしても、魔素量に変化は無いってことだな 」
「 足りないのですか? 」
「 ラナ正解 」
正解したから頭を撫でてあげよう、でも太ももに挟まれてるから手が届かない。
「 魔石を全部魔素に替えても、全然、全く、完全に足りない 」 判るよな?
誰がとは言わないが、女王様を見る。
魔素が足りなきゃ、魔石を食べろって言わないよな?
『 それで・・・・・・魔素が減ったとして、何が問題なのでしょう? 』
自分のアイディアが通らなかったから、露骨に話題を変えて来たな。
モニタをリセット、魔素量のグラフを表示する。
測定値は途中で研ぎれてるから推定値によるグラフだ、最近のは俺が計測してるから正確だが。
「 魔素量は4000年前をピークにして、少しずつ減ってる。 このまま行くと、あと数年で0になる 」 かもしれない。
「 波乱様、それでは! 」
「 そうなったら魔素欠乏症で、全員がベッドから出られなくなるだろうな 」 個人差はあります。
モニタの向こうで、女王様が立ち上がった。
飲んでた紅茶がドレスにかかってるけど、熱くないのか?
『 大変ではないですか! 』
「 そうですね 」 だから悩んでるんだがね。
『 正確な日にちは何時になるのですか!? 』
「 そうですね。 あくまでも推測値ですが、残り時間は10年~30年といった所かな 」
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ソルを表示して説明を始める、判り易いように3D表示だ。
魔星を破壊した、一度は拡散した魔素は互いに引き合いつつ、収束してソルに降り掛かった。
大半の魔素はそのままソルを貫通して反対側へ抜けるが、魔素は引き合う性質があるためやがて静止する。
静止した魔素は、魔素同士の引力で加速しつつ、今度はソルに向かう。
またソルを貫通して反対側へ抜けるが、魔素は引き合う性質があるため静止する。
んな事を繰り返して、1100年後に魔素はソルを覆う形で安定した、と言うのがシミュレートの結果だ。
施設に残ってた昔のデータは振れ幅が大きく、一部センサーが壊れたお陰で何とも予測が立てにくいんだが。
シミュレートの通りだとすると、今は安定期に入ってるはずなんだよな。
「 波乱様、スライムを突いた時に似ていますね 」
「 そうなのか? 突いた事ないけど判らないけど 」
「 こう、プルプルってするんですけど、しばらくすると元通りになります 」
「 んじゃ似てるな。 大体、そんな感じだ 」
惑星規模の異変とスライムで遊ぶのを、同じレベルで考えられるのは勇者ならではの余裕なのかな。
しゃがみ込んで、スライムをツンツンしてるラナを想像した。
ちょっと、ほっこりした。
「 それで、ですよ。 魔素がどこへ行ってるのか確認して、可能ならば奪い返す。 その為の調査だったんですよ? 女王様 」
『 ・・・・・・あなたは、そんなことをやっていたのですね? 』
「 言ってませんでしたっけ? 」
『 聞いていません! 』 そうだっけか? まぁ気にするな。
隣に座ってるマライアが、女王が写ってるモニタを弄ってる。
大きくしたり小さくしたり、今度はクルクル回転させてる。
モニタの向こうでは女王が何か騒いでる。
失敗しても滅びるだけだ、5000年も生き延びられたんだし、そんなに気にしなくていいと思うんだが。
とりあえず通信を終了して、みんなで映画でも見るとしよう。
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