忍び寄る足音
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
何とか、2回目のワクチン接種が終わりました。
腕の痛みと熱には、バファリン プロDXも効きます。
但し、倦怠感には効きませんのでご注意を。
------------------------------
色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した。 白川さんの予言では、俺とラナが世界をどうにかしなくちゃならないらしい。 色々調べてはいるんだが騒動の原因が判らない。
|||||
ラナと腕を組んで神殿の階段を下下って行く、王都は夜を迎える準備を始めている。
まぁ夕方だな。
神殿の敷地内と、神殿へと続く道の両側には屋台が連なっていて、けっこう繁盛してる。
集まってるのは参拝者や、服の汚れ具合から見て仕事終わりの人々だろう。
ある人は治療中の友人のお見舞いに、ある人は自分自身の治療に来ているらしい。
神殿の敷地内にある屋台で、食事をとってる人もいる。
良い匂いがしてるけど、俺は家に帰れば食事が用意されてるから買い食いはしない。
『 明日も仕事か~ 』
『 親方、最近ウルサイからな~。 やってらんねえぜ 』
『 明日は晴れるかね~ 』
色んな話が聞こえる中を家へと歩く。
「 幸せそうだな 」
「 はい。 波乱様 」
俺の腕を掴んでる、ラナの腕に少しだけ力が込められた気がした。
「 ただいま、ママ 」
「 帰りました義母さま 」
「 お帰りなさい、リオ、ラナ。 すぐに夕飯ですよ 」
「 判った。 着替えて手を洗ってくるよ 」
「 クロエは、村に泊まるって連絡が在ったわ。 それと、リオに手紙が来てるわよ 」
マリアさんから手紙を受け取る。
差出人は、スリスターの第1医療店と第2医療店の店長、ゴルドさんとアーガイルさんからだった。
中を見るのは後でもいいだろ、『 緊急 』 って表示してないからな。
マリアさん家がディスタンドに引っ越してきてから、1ヶ月が過ぎた。
神殿から徒歩15分ほどの場所なんで、毎日ラナと歩いて通勤してる。
ラナ以外の護衛も一杯いるけど、俺とラナはシールドベルトを常時オンにしてる。
15分間だけだしな、精神の健康には有効だから魔素の無駄遣いじゃない。
ディスタンドのマリアさん家の間取りは、スリスターの時とほぼ同じ。
でも、畑と部屋の広さは2倍になってる。
部屋が広くなったのは、ラナが俺の部屋で一緒に暮らし始めたのも関係してる。
王都内の特等地に、マリアさんちを建てるだけの空き地があるはずも無く。
俺達を襲った魔道具師ギルドと繋がってた、貴族を排除した跡地なんだと。
それを聞いたんで、誰も遠慮はしなかった。
ちなみに、ラナの戸籍上の名前は 『 ラナ・波乱 』、メイドさんズの子孫も苗字が『 波乱 』。
全部で5家族? が『 波乱 』を名乗ってた。
俺を保護した功績で、1か月前からマリアさんも『 波乱 』を名乗れるようになった。
勇者ラナの権限でだ。
俺の名前も『 マリオン・波乱 』に変ったらしい。
『 波乱様 』と呼びたいラナと、『 マリオン 』と名付けたマリアさん達で、色々話し合った結果なんだとか。
「 それとね、女王様が話がしたいんだって 」
「 ・・・・・・また? 」
女王は2日に1度は連絡してくる、大した用事もないのにだ。
通信機が珍しくて使いたくなるのか、それともおしゃべりが好きなのか。
ラナもマリアさんも苦笑いだ。
「 判った。 衛星の配置も終わったし、夕飯食べたら報告しとくよ 」
|||||
「 では、詳細は不明だと言うことですね? 」
俺の報告を聞き終わった女王様の御感想だ。
モニターの向こうの女王様は何故か機嫌が良さそうだ、ほとんど進捗してないのに。
「 そうですね 」
俺は食後のコーヒーを一口飲む、ここはリビング。
ソファテーブルには、通信機能と神殿のターミナル機能を仕込んであるんで、映像と音声での通話が可能だ。
相手のやってることも表情も見えるんで、便利と言えば便利、迷惑と言えば迷惑な物。
「 今までの調査で怪しいのは、原因不明の魔素減少、原因不明の人口減少・・・・・・ 」
話ながら手紙を開封して読み始める、ゴルドさんとアーガイルさんからの手紙だ。
「 それは誰からの手紙なのですか? 」
「 スリスターの医師からですね。 原因不明の病気が流行しているようです 」
手紙を読んでる途中で女王様が訊いてくる、失礼な奴だと思う。
女王様と通信中なんであれなんだが、女王様の扱い何てこの程度で良いんだよ。
「 違いました。 原因不明の病死と思われる遺体が、100体を超えたようです。 外傷なし、内臓に損傷なし、それから血液にも異常なし。 何らかの病気が原因と考えているようです 」
「 波乱様、それはどういう事なのでしょう? 」
「 死因がはっきりしない遺体が見つかってる、って事しか判らないな 」
スリスターの原因不明の遺体は、ちょっと前から見つかっていた。
マリアさんがディスタンドに戻る時に、ゴルドさんとアーガイルさんからの手紙を預かって来てたんだが、その中に最初の記載があった。
おかしな遺体が連続して見つかっていると。
手紙には、『 外傷なし 』 『 内臓に損傷なし 』 と書いてあった。
最初の手紙の返事として血液の調査を依頼した。
血液から水分が無くなって、粉末状になる病気の可能性を考慮してだ。
そう言うバクテリアが居る可能性が在るからな、可能性は追及しないと。
今回2人からの返答は 『 異常なし 』 だったが、さてどうするか。
「 そうそう。 頼まれていた調査が完了したと、報告が在りましたよ 」
「 ありがとうございます、女王様。 では、早速データを・・・・・・ 」
モニターには、バッサバッサ紙の束を振ってる女王が映ってる。
「 そうでした紙でしたね。 では、誰かに届けさせて頂きたいのですが? 」 取りに行く気はない。
「 判りました。 明日の晩に、施設に伺うことにしましょう 」
「 女王様が自らお越しにならなくても、どなたかに御命じ頂ければ 」 ハッキリ言って邪魔だ。
「 私が伺いましょう 」 女王の決意は固いようだ。
「 それと、これは何に使うのですか? 」
「 あれ? 言ってませんでしたっけ? 」
「 伺ってはいませんね 」 おや? そうでしたっけ?
「「「 ・・・・・・ 」」」
おっと顔に出ていたか。
ラナもマリアさんも呆れてるな。
女王にお願いしたのは、魔素の流れる方向と量の調査だ。
風見鶏の魔素版で方向を確認して、魔素車で量を計る。
砂時計が落ちる間に、魔素車が何回回ったかを記録して貰うだけだ。
測定場所は、ディスタンド王都周辺の衛星写真を基にブロック状に分けた。
数kmの誤差は在るけど気にしない、流れが判ればいいんだしな。
誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。