前途多難
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した、停滞場フィールドで寿命を延ばしていたらしい。白川さんからのメッセージを受け取ったんだが。
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白川さんのメッセージは謝罪とお願いだった、予言と言っていいだろう。
俺とラナがそれを何とかしなくちゃ、ソルは助からないんだと。
本当に俺はこの世界に嫌われてるらしい、おまけに今回はラナも巻き込んじまった。
キューブを蹴り続けたらちょっと落ち着いた。
白川さんの記録の30%は謝罪、50%が予言、残りは子孫に向けたメッセージだった。
「 何か失礼な事でも? 初代聖女様は何とおっしゃっていたのですか? 」
神官服の女性が青い顔して訊いてきた。
キューブを床から拾い上げ、服にこすり付けて汚れを落とす。
「 ああ、大丈夫。 プライベートな事で、イラッとする予言が在ったんでね 」
「 プライベートな予言ですか? 」
「 そうそう、思いっきりプライベートな内容。 白川さんに怒ってる訳じゃ無くて、予言の内容にイラッとしただけだから 」
白川さんは悪くない、悪意は全く無いし、親切で? 予言してくれたんだし。
神官さんによると、白川さんはプライベートな予言は一切しなかったんだと。
そこは、俺は特別と言う事で納得してもらった。
「 これの中身を知ってるのは何人居る? 」
「 初代の聖女様だけだと伺っております 」
「 他には誰も知らない? 」
「 はい。 魔力パターンが合う者が現れなかったので、誰も見られなかったと訊いております 」
「 なるほどね。 これは、魔力パターンだけ合致しても再生は出来ない。 魔力パターンとキーワードの、2重のロックが掛けられてる 」
「 そうだったのですね! それで誰も、解除出来なかったのですね! 」
「 キーワードは何か訊いてる? 」
「 いえ、残念ですが伝わってはおりません。 申し訳ございません 」
神官女性が頭を下げる、おっとりしてるけど流れるような上品な仕草だ。
教育はシッカリ受けてるようで安心した、金色とは違うな。
金色はまだ何か騒いでる、うっとうしい。
「 それで、あの、大変失礼なお願いになってしまうのですが。 記録の一部を頂く事は出来ないでしょうか? 一度、初代聖女様のお姿を拝見したいと思いまして・・・・・・ 」
「 そのつもりだよ、子孫に向けたメッセージも入ってたからね。 ただ、プライベートな内容が多いんだよ。 そこを削除しても良いなら何とかする 」
神官さんの顔色が元に戻った、スゲー笑顔になってるし。
「 勿論でございます! プライベートな内容は、削除頂いて結構ですので。ぜひ! 」
詰め寄ってきた神官さんは、俺の1m手前でラナに止められてる。
いつの間にか近寄って来てた、神官少女も同じ扱いだ。
「 判った。 記録を加工するから、ちょっと待ってて 」
頷いてる2人。
気持ちは判る、遠い祖先、しかも偉人となった祖先の記録だったら俺だって見たい。
犯罪者だったら見たくも無いけど。
「 データのコピーは可能か? 」 キューブを目の高さまで持ち上げて訊いてみる。
『 可能です。 キューブを・・・ 』
キューブをパネルに当てれば、データのリード/ライトが可能なんだと。
マルッと移し替え、データを編集してからキューブに移し替えた。
ちょっと考えてから、謝罪の部分も追加しておいた。
魔道具改造で直接データを部分削除出来たんだが、念のため削除したデータの上にデータを上書きする形にしておいた。
削除した部分を復元できない様に上書きしておく、あくまでも念のためにだ。
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「 キーワードは 『 アニメ最高! 』 だね 」
「 アニメ最高、ですか? それはどういった意味なのでしょうか? 」
この世界にはアニメは無い、紙芝居も見た事がない、施設内になら娯楽用として在るけど。
「 アニメは最高って意味だろうね。 白川さんはアニメが好きだったし 」
キューブを神官さんに渡す、『 再生してみな 』って、顎をクィッとやってみる。
跪き、両手でキューブを捧げた神官さんが叫ぶ。
「 アニメ最高! 」
叫ばなくても良いんだけどな、白川さんにも少しは恥をかいてもらわないと。
初代聖女様はアニメが大好き、別に恥ではないな。
キューブが再生を開始した、記録の画質は2Kか4Kかと期待してたんだが、透けてない立体画像だった。
白川さんの背中に回ったら、白川さんの背中も部屋の様子も見えた、凄いな。
カメラっぽい物は見えなかったんだが、どこにあるのか?
『 波乱さん、お久しぶりですね。 あなたが戻ってくるのは判っていましたが、何だか不思議な気分です。 この記録は、私の子孫に大切に保管するように言ってあります。 あなたが戻ってきたら、確実に手元に届けるようにと。 ・・・・・・波乱さん、先ずはお詫びをさせて下さい 』
神官さん2人は、メッセージが終わるまで跪いたままだった。
白川さんのいた部屋の天井も移り込んでいたんで、上手くいけばスカートの中も見えるんじゃなかろうか。
「 波乱様、ありがとうございました 」
「 いえいえ、どう致しまして。 あなた達宛のメッセージも入っていたから 」
「 こちらのキューブは、頂いてもよろしいでしょうか? 」
「 どうぞ、どうぞ 」
キューブを抱きしめて、元の場所に戻っていく神官さん達。
家に帰ったら皆で見るんだと。
河原君の遺したキューブも、2重ロックが掛かってたんで、改造してパスワードのみに変更した。
内容は謝罪が40%、無駄な話が10%、半分が子孫へのメッセージだった。
予言は無かったんだがその内容は知ってたみたいだな、押しつけて申し訳ないって言ってたし。
謝罪も子孫へのメッセージも、白川さんより長かった。
河原君が心配症だったとは知らなかった、んで、その心配は当たったみたいぞ河原君。
『 力に溺れず、謙虚であれ 』 『 スキルより技術より、心技体 』 って子孫に向けて行ってたけど、金色君はイヤな顔してた。
キューブは渡さなかった、欲しいって言わなかったし、貰って当然って顔してたし。
高価な魔道具らしいけど俺宛の物だからな、どうするかは俺が決める。
AIに命令して、勝手にコピーして持ってこうとしたけど拒否されてた。
そりゃそうだ、レベル10の俺が 『 渡さない 』 って言ったんだから。
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