防衛施設で一泊
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した、停滞場フィールドで寿命を延ばしていたらしい。 防衛施設で過去の記録を漁って俺の無罪を証明した、つもり。
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クロエさんは俺の無罪は信じてくれた。
んでも、黒エルフと呼ばれる種族が生まれた原因がハッキリしない、あくまでも可能性の段階でしかない。
人体実験やればハッキリする可能性は在るが、俺はやる気が無いし、誰かがやろうとしたら出来る範囲で止める。
何が何でも止める気は無い、おじさんの作戦はいつでも ”命大事に” だ。
何時でも、何をやるにしても家族と自分の安全が最優先、無理はしない。
「 んじゃ、クロエさんはこの部屋を使って 」
「 ありがと、リオ 」
今日は3人で施設の居住区でお泊まりだ、俺とラナで一部屋、クロエさんで一部屋。
面倒だから3人一緒に一部屋でもよかったんだが、クロエさんが全力で拒否してきた、珍しいことも在るもんだ。
マリアさんの家では、俺の部屋で皆で一緒に寝た事も在ったのに。
クロエさん用の部屋、中はAIに整備させたから綺麗なもんだ。
整備用のゴーレム達が歩いてるのを見たクロエさんがビックリしてた、先に説明しておくべきだったか。
多脚ゴーレムって虫に似てるからな、大きいし。
持ち主? がパネルに魔力を流さないと部屋のドアは開かない、セキュリティーの問題があるから。
マリアさんの家の設備レベルは高い、水洗トイレもつけたし。
そこで暮らしてたんだから、この部屋の設備もクロエさんなら使いこなせるだろう。
部屋に入って設備の説明をした。
「 何か在ったら呼んで、そこのパネルで繋がるから 」
「 これね? 」
部屋のパネルは多機能端末だ、施設内の連絡、施設AIへのアクセス、部屋は限られるが飲食物の注文も可能だ。
「 そうそれ。 部屋に着いたら、一度連絡入れるよ 」
ラナがビクツとしたな。
部屋に向かって歩いているんだが、部屋に近づくにつれてラナが挙動不審になってく。
向っているのはレベル10専用の部屋、昔? 前に? 俺とラナが使ってた部屋だ。
「 波乱様。 すこしお時間を頂けませんか? 」
部屋の前でラナが俺の腕を引っ張った。
ワタワタしてる、チョット可愛い。
「 あ~、汚れてたりする? 」 ラナは片付けられない系だったか。
「 いえ! 掃除はゴーレムにやらせていますので、汚れてはいません 」
女性の部屋だからな、男性には見せたくない物でもあるのか。
俺は気遣いが出来る男だ。
「 片づくまで、部屋の外で待ってるよ 」
「 ありがとうございます、直ぐに用意しますので 」
部屋に駆け込むラナを見送って、廊下の壁を背にしてしばし待機、もちろんドアが開いても部屋の中が見えない場所でだ。
しばし待機する、待機する、待機する・・・・・・長過ぎないか?
扉の横のパネルで、室内のラナに話し掛ける。
「 ラナ? 片づかないなら、別の部屋で寝ても良いんだからね? 」
「 大丈夫です! 問題在りません! 」
ラナが部屋から飛び出してきた、両手で抱えている何かで顔が半分隠れてる。
「 部屋は一杯あるんだし、無理して片付けなくても 『 大丈夫です、直ぐ終わりますので! 』 」
そう言っても体感で30分以上は過ぎてる、俺は気が短いんだろうか。
「 あと少しで終わりますので。 もう少しだけ・・・・・・ 」
ラナの言葉が終わらないうちに、持ってた物が床に落ちて広がった。
何かのポスターかと思ったんだが。
「 俺の写真? 」 しかもA1サイズ。
写真を拾い上げてから部屋の中に入る、部屋の中は俺の写真で一杯だ。
ベッドには俺の抱き枕が在るし。
「 これどうしたの? 」
「 色々作ってみました。 あの、白川様にも手伝って頂いて・・・・・・ 」
施設内の記録機能と製造機能を併用して造ったらしい。
俺がプリントされてる抱き枕も、毛布も、白川さんのアイディアなんだと。
部屋の収納スペースは多くない、必要なものは何時でも作れるし、古くなった物は再生する。
施設には ”洗濯機”が存在しない、その日着てたものは再生機に入れて処分して、翌日は新品を着る。
例外なのは施設外から持ち込んだもの、お気に入りや思い出の服やハンカチなんかの小物は、手洗いして干しておく。
だから室内の収納スペースは多くない、ラナは収納する場所が無くて慌ててたんだろう。
あちこちに飾ってある写真立ての一つには、メイドさんズの結婚式の写真もあった。
メイドさんズの1人が結婚した時のやつだ、これは覚えてる。
何枚も撮った内の一枚で俺とラナが真ん中、白川さんも河原君もまだ若い、みんな笑顔だ。
写真に写ってる人物で、残っているのは俺とラナだけ。
「 ・・・・・・ 」
「 ・・・・・・ 」
2人とも無言だ、あの時はとても楽しかった、体調は最悪だったけど。
んで、気が付いた。
「 おいでラナ 」
ポスターらしきものを抱きしめてるラナを呼ぶ。
「 あの・・・・・・ 」
プルプルしながら、ユックリ近づいて来るラナ。
射程範囲に入ったんで、こちらから近付いて思いっきり抱きしめる。
「 波乱様!? 」
考えれば気が付いたはずなんだが、色々あって気付くのが遅れてしまった。
「 1人で良く頑張ったな 」
少しずつ減ってい友人や知人、それでもラナは俺を待っててくれた。
一番つらかったのは俺じゃ無くて、ラナだったんじゃなかろうか。
身長差が在るんで、俺がラナにしがみ付いてる形になってるのがイマイチだが、気持ちは伝わるだろう。
「 少しさみしかったですけど、頑張りました 」
ラナも俺を抱きしめる、手加減はしてくれてるみたいで、骨は折れてない。
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「 あら、いらっしゃい。 いらしてたのね? 」
廊下から声をかけてくるエルフの女性、俺の記憶には無い顔だ。
「「 ・・・・・・ 」」
「 久しぶりの夫婦の対面ですものね。 挨拶は明日に致しましょう 」
「「 ・・・・・・ 」」
にこやかな笑みと共に去っていくエルフの女性、おつきのメイドさんも居るのか。
「 ラナ、今の誰? 」
「 ・・・・・・女王様です。 今の・・・・・・ 」
「 女王様が来るんだ 」
「 はい。 歴代の女王様は、時々施設でお休みになることがあります 」
俺とラナは抱き合ったままだ、ラナは真っ赤になってる。
「 誰も来ないと思って油断した 」
施設に居るのはクロエさんだけだと思った。
「 んで、夫婦ってどういうこと? 」
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