冤罪だったと確定だよな
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した、停滞場フィールドで寿命を延ばしていたらしい。 防衛施設は白川さんを讃える神殿になってた。
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ラナの治療が終わるまでは待ってるだけだから、空いた時間で色々とやってる。
魔道具改造の技術を手に入れて真っ先にやったのは、俺の魔力パターンをレベル10に登録すること。
レベル10だったラナはレベル9へと移動して貰った。
これで、レベル9の3人はラナ、白川さんの子孫、河原君の子孫になったはず。
登録されてた名前に ”白川” と ”河原” が入ってたから子孫で間違いないだろう。
あと、知らない名前がレベル9に登録されてたんだが、とりあえずレベル8へ移動しといた、レベル9は3人が定員なんでね。
「 ホントに一撃で倒されてるな 」
自分の最後を映像で確認してみたが、ラナの言う通り一撃でやられてた。
んで、俺を倒したラナは急成長して立派なレディに変身した、勇者になったんだろう。
着ていた服はそのままなんでレディにしては凄い格好になったけど、そう言う勇者も俺的には在りだ。
もちろん女性限定。
「 波乱様? 」
「 どうしたラナ 」
ポッドまで行ってラナに顔を見せる、俺の顔を確認するとニッコリ笑うラナ。
ラナを置いてどっかに行くつもりは無いんだが、心配なのかね。
ちなみに、俺が魔王でいられた時間は最長で92秒、どの段階で魔王に判定されるのか微妙なんでハッキリしない。
成長もレベルアップもしてないから、まぁ弱くて当たり前だな。
ラナでさえ倒れる魔素濃度でも平気で活動出来てたから、潜在能力は高いはずなんだが。
『 自己診断完了。 異常個所は在りません 』
「 異常無し? 」
映像の確認と並行してラナが起こされた原因、施設の異常を調べさせてたんだが、AIの回答は予想外の異常なし。
組み込み型の自己診断装置は、メインシステムのアウトプットを確認するタイプが多い。
診断装置に記録された入力に対して、所定のアウトプットになっているかを診断装置が確認する。
問題なのは診断装置そのものが壊れている場合だ、メインシステムは正常でも診断結果は異常になる。
つまり、とっちが正しいか判らなくなるんで、全面的なチェックが必要になるんでスゲー面倒だ。
「 システムが正常なのに、ラナが起こされた理由は? 」
『 魔素の貯蓄量が所定値を割り込みました 』
「 魔素の残量は・・・・・・18%か 」 かなり少ないな。
今すぐどうこうなるほど少ない訳じゃ無い、住んでる人数が少ないし、何かを量産している訳でも無い。空気清浄装置は殆んど稼働してないし、何かを製造するのに必要な魔素はほぼゼロだ。
魔素炉から魔素が漏れているか、魔素収集装置が故障したか。
それとも、マリアさんが言ってた魔素の減少がディスタンドでも起こっているのか。
順番に全部調べないと、本当の原因は判らないと言うことだな。
ラナの入っているポッドを確認する、まだ治療の途中で、脚はやっと膝まで再生が終わったところだ。
ラナに手を振っておこう。
治療しているところは小さな光が集まってる、ラナの身体はあちらこちらが光ってるから、どんだけケガしたんだ。
とにかく、治療を途中で停止するほどの故障が無くて良かった。
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ラナの治療が完了して、ポッドから出て自分の脚で立ってる。
大人になったラナの脚線美は素晴らしい、義足や傷跡は俺には痛々しかったし。
ラナの脚線美をしばし堪能する。
堪能しすぎたらしい、気が付けばラナが少し赤くなってた。
「 あの、波乱様にならこのまま見られいても構いませんが。 その前に一度上に戻りませんと・・・・・・ 」
なんのことなのか判らなかったが、エレベータホールのパネルで外を確認して納得。
白川像のある神殿は超満員、神殿の外の階段にも並んでいる人がいる。
「 目を覚ますと皆様が集まって頂けるので、いつもご挨拶してるんです 」
そう言うとラナは、エレベーターを無人で1階に移動させた。
最初の2回は無人で送って、3回目には乗っていくらしい。
外で待ってる人達はズーッと跪いてるわけにはいかないんで、適宜休憩をはさんでると。
なんでも、お花摘みやお花摘みや、お花摘みで場所を離れるんで、これから行きますよって合図にしているそうだ。
いつの間にか決まってた、昔からの伝統なんだと。
「 だったら、外にパネルを設置したらどうだ? そうすれば、何分後に出るって簡単に伝えられるだろ 」
そうしないと、摘み過ぎて神殿の花が無くなりそうだ。
ラナも賛成してくれたんで、次回からはパネルで連絡することになった。
明日にでもパネルを設置しないと。
ラナの挨拶が終わったんで、クロエさんも一緒に3人で施設に戻る。
エレベータの中で、クロエさんの魔力パターンを登録した。
居住区の1部屋を整備して、今夜はクロエさんは施設で一泊だ。
「 味噌ラーメンか、それともお好み焼き。 焼きそばも捨てがたい 」
俺は食堂でメニューを選んでる、10歳の身体になったんで、1人前のメニューじゃ量が多くて食べきれない。
ラナは笑ってるけど、ここは慎重に選ばないと。
「 リオ! これはどう言うこと・・・・・・なんですか 」
凄い勢いで部屋から飛び出してきたクロエさんが、急に静かになった。
ラナを見ると微笑んでいるだけなんだが、きっと多分何かやったな。
「 変な魔道具は造って無かったでしょ? 」
クロエさんには、俺が作った魔道具のリストを確認して貰ってた。
魔道具の形と品名と効果をリストにした、暴走した場合の影響もAIが答えてくれる。
もっとも、俺が作った魔道具には、魔法陣に安全回路が組み込んであるから暴走はしないが。
それでも、『 黒エルフは俺に騙された 』 って事になってるらしいから、冤罪は晴らしておかないとな。
「 約束だったからな。 これで俺の無罪は確定だな 」
「 いいえ! これは何なんですか! 」
クロエさんが差し出してきたパッドには、容器に入った液体が表示されてる。
タップして品名を確認する。
「 これは防護服補修用の塗料だな、魔道具じゃないぞ 」
「 これを直接肌に塗って高濃度の魔素にさらされると、いでんし? に影響があるって! 」
まぁ、確かにその可能性が在るって表示されてる。
「 確かに俺が作ったけどな、これは女王様にお願いされて作ったんだぞ。 それに、次の日には盗まれたって言ってたな 」
メニュー選びはいったん中断だ。
「 女王が魔道具補修用塗料を、波乱万丈に再度依頼した記録を検索 」
「 検索完了 」
「 タイムスタンプの5秒前から再生 」
「 再生します 」
俺部屋に入って来る女王が、モニターに映し出される。
『 波乱様。 塗料のお替りを頂きたいのですが? 』
『 昨日渡した分はどうしたんですか? 』
『 何者かに盗まれたようで。 ですから、お替りが頂きたいんですの 』
『 女王様。 あれはもう作れませんよ、材料が在りませんから 』
『 あら、そうなのですね。 それでは、犯人を捜し出す事に致しましょう 』
部屋を出て行こうとする女王、彼女に向かって話しかける波乱万丈、つまり俺だな。
『 女王様、あれは防護服の補修用です。 普通の服に塗ったり、身体に直接塗っても効果は在りませんよ? 』
『 ・・・・・・ 』
『 高濃度の魔素が、子供に与える影響は判っていません。 悪影響だって出るでしょう。 しかし、止むを得ないことです 』
『 ・・・・・・それでも、です。 1人でも多くの子供の命を救いたいんです 』
『 では私が申し上げることは在りませんね。 ああ、材料が無いのは本当ですよ? 』
一礼して去っていく女王。
「 停止。 補修用塗料を直接肌に塗り、高濃度の魔素に曝されたケースにおいて、遺伝子に与える影響をシミュレート 」
クロエさんを見る。
「 シミュレート完了 」
シミュレートの結果はポジティブ、つまり91%の確率で何らかの影響が出る。
なにせ遺伝子に影響を与える可能性だ、どんな影響が出るのか、具体的な事例までは演算できない。
これが原因とは限らないが可能性は高いだろう、黒エルフに伝わっている過去の言い伝えの時期にも合致する。
「 じゃあ、女王様の仕業なの? 」
「 助けようとしてやった事が思わぬ結果になった、って所かな。 過去の記録では、高濃度の魔素に曝されてショックで亡くなったハイエルフも居る。 少なくとも命は助かったんだし、効果は在ったとみるべきだな 」
「 ・・・・・・ 」
黒エルフが魔法を使えなくなったのは、魔素を遮蔽する物質が遺伝子に定着したのが原因かもな。
祖先の命が助かり、身体能力がハイエルフ以上になった代償として大きいか小さいか、判断するのは俺じゃ無い。
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