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再会は花束と共に

舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。


・色々あったディスタンドへの道中でラナに再会した、停滞場フィールドで寿命を延ばしていたらしい。 んで、おれには子供がいたんだと。 あと、異世界って楽しい、魔物が出ないからな。


|||||


ディスタンドの王都に入った、俺は馬車の中から町並みを見てる。

もう落ち着いた、異世界だからって御者台でヒャッハーなんかしていない、客車内でラナと並んで街並みを見てる。


馬車と言えば、お風呂専用馬車が用意されてた。

客車の床が金網になってて湯船が置いてあるだけ、湯船に水を入れたら焼けた石を入れて温める方式。

外で入浴するより安心だし魔法を使わないから誰にでも準備できる、水を運ぶのは重労働だけど。

長期間にわたる遠征のために、召喚者用に造られたんだと。



現在の馬車の目的地は神殿、ラナが 『 見て頂きたいところがある 』 だそうだ。

スリスターまで俺のことを迎えに来たのはアベリアなんだが、ラナの勇者権限であっさり行き先が変更。


神殿は普通に神殿だった。

中央部が太くなっている柱で構成されてるのが特徴的で、全体的に白い。

ラナは神殿敷地内の露店で花束を2つ購入した、1つは俺に渡して、もう一つは自分で持ってる。


ラナに手を引かれてかれて神殿の階段を上る。

水が階段の中央に流れてるんで、階段は左右に分かれてる。

水が流れてるところは10cmほど低くなってるんで、階段の歩くところまでは水は流れてこないだろう。

あと、右側通行とかのルールは無いようだ。


階段を行き来する人たちは、歳も種族も様々だが女性が多いか。


「 波乱様。 ここは、治癒と縁結びと安産の女神として、信仰されています 」


「 それで女性が多いんだな 」


周りを良く見ると、階段の脇には折れ曲がったスロープが用意されてて、車椅子みたいなものもある。

街の治療院で治らないような重傷者が来るらしい、車いすでスロープを上がるんで階段は使わないんだと。


ちょっとキョロキョロしすぎたか、行き交う人達の視線を感じる。

俺とラナの後ろを、何十人もの騎士が付いて来てるんで目立つと言えば目立つけど。


|||||


階段を上がっていくと神殿の高い天井が見えてきた、一番奥にあるのは。


「 ラナ、あれって 」


「 はい、波乱様。 白川様です 」


階段を上りきると噴水があった、噴水って言ってもジャバジャバ吹き出す噴水じゃない。

形も丸じゃ無くて長方形だ、噴水の前には優しそうなばあちゃんが立ってる。


「 ラナ様、お戻りになられたのですね 」


「 波乱様。 彼女が今代の神殿長になります 」


神殿長に軽く頷いてから、俺にばあちゃんを紹介してくれた。


「 始めまして 」


挨拶はしておかないとな、んでも、ラナと手を繋いだままだし花束も持ったままだ。


「 ようこそいらっしゃいました。 あなた様を歓迎いたします 」


「 神殿長、奥の院へ向かいます。 準備をお願い 」


「 承知いたしました 」


お辞儀をし終わった神殿長は、後ろに控える袴姿の少女たちに合図した。

人族もエルフ族も獣人もいる、全員が赤い袴の巫女服を着てる、身長も年齢もバラバラに見える。

白い神殿内で赤は映えるんだが、洋風神殿で巫女服ね、誰の趣味だろ。


高い天井の神殿には、正面に大きな白川さんの像が置いてある。

その周りの壁には、6体の彫像が白川さんを護るような形で配置されてる。


「 あれは河原君か? 」


噴水の一番奥、白川さんの像より一段低い場所で、6体とは別に白川さんの像の正面に設置されてる。

ひときわ大きな盾を構えた彫像には彼の面影が在る、美化しすぎだが。


「 はい、波乱様。 その他の6人が波乱様のお子様になります 」


「 ・・・・・・3人が男で、3人が女の子? 」


「 いえ。 息子が1人と娘が5人です 」


「 もう少し盛っても良かったんじゃないか? 」 何処とは言わないが。


「 ありのままが一番ですから 」


「 否定はしない、誤魔化すのは良くない 」 でもな。


「 せめて、もう一工夫出来なかったのかね 」


神殿の中で鎧姿ってどうなんだと思う、せめてこう、それっぽい服装の方がね、判り易いと思う。

性別が間違われるのって本人に失礼だと思うんだよ。


順番に6人の像の前に移動して、各々の簡単なお話を聞く、伝説だな。

ホントか嘘かの判断は俺は無理だ。

聞いた話はどれも英雄に相応しいエピソードばかりだし、俺には出来そうも無い事ばかりだし。

数十万の魔物の群れに立ち向かうなんて、スマンが俺には出来ない。


「 波乱様の分まで私が戦いました(・・・)、お気になさる必要は御座いません 」


ラナの笑顔が眩しかった。



「 この子が私の子供です 」


ラナが示した先には、盾を構えた青年の像が立っている。


「 俺達の子供、なんだよな 」


「 はい・・・・・・ 」


英雄の親が英雄である必要は無い、スーパースターの親は無名の場合が多い。

長嶋茂雄の親の名前は?  大谷翔平の親の名前は?  藤井聡太の親の名前は?

俺は知らない。

でだ、俺は嘆くべきなのか、悲しむべきなのか、それとも怒るべきなのか、喜ぶのは無しだな。


|||||



噴水は噴水じゃ無くて手水舎だった、手と口を清めてから奥に進む。

巫女さんが居たし噴水には柄杓が置いてあったし、何となく判ってた。

んでも、どっちかに統一できなかったのかこれ。


神殿長に先導されて進んだ先の扉には、両側に巫女さんが並んでた。

俺達が到着したのを確認すると、6人が扉に向かって両手をついてなんかした。

扉が光ったのを確認すると、巫女さん達は扉の両側で壁を背にして控える。


神殿長が扉の取っ手の在るべき場所に手をかざした、しばらくするとユックリ扉が開き始める。

どうやら魔力パターンでロックが掛かってたらしい、ダブルのロックが掛かってるんだから、神殿でもかなり重要な場所なんだろう。


「 ここでお待ちしております 」


神殿長に促されて歩き出す、ラナも手を放して俺に先を譲った、俺が先に進むべきなのだろう。

扉の先には小さな池と、池の周りの一杯の花、そして墓標が在った。

池に掛けられた橋を渡る、ここは神殿の中庭なのか空が見える。


枯れた花は無いし雑草も生えてない、良く手入れされている。


「 ・・・・・・久しぶりだね白川さん。 戻ってきちゃったよ、理由は判らないけどな 」


持ってきた花束を墓標に置いた。

誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。

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