戦闘が無ければ楽でいい
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・色々あったディスタンドへの道中、ラナに再会した。
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「 身体中傷跡だらけじゃないか! 」
「 色んな戦場で戦いましたから! 」
湯船の中でチャポチャポと回って見せるラナ、腕も背中も傷跡だらけだ、もちろん前も。
魔物の群れの中で戦ってたら、そりゃ背中にも傷は出来る。
後ろの方から遠距離攻撃だけしてたら、傷は前だけで済むだろうけど。
暗殺者にも狙われたかもな。
挨拶してから真正面から襲ってくる暗殺者はいないだろう、暗殺者ならバックアタックだ。
致命傷になるかは別にして、背中にも傷跡は出来ると思う。
右足は太ももの半ばから義足になっている、義足に触ってみたが湯船に浸かっていても暖かくはなっていない。
脚の指も見せてもらったがシッカリ動く、かなり良い仕上がりだ。
脚の感覚としては、触点、圧点、痛点、冷点、温点のうち、あるのは触点だけなんだと。
「 ドラゴンの口に脚を入れても大丈夫なんですよ! 」
ブレスを吐かれても義足は溶けなかったらしい。
義足は自分の魔力で動かすみたいで、ブレスでも溶けなかったのは魔力コーティングが効いていた可能性も在る、過信は禁物だろう。
「 今度から、ドラゴンの口に脚は入れないように。 手もダメだから 」
「 脚を入れてから、こうグイ~ってやると簡単に倒せるんですよ? 」
「 剣を使いなさい、剣を。 魔法でもいいし。 どにかく、ラナがケガする戦い方はダメだ 」
「 ・・・・・・ 」 エ~って顔しない。
「 いいね? 」
肉を切らせて骨を断つ的な倒し方じゃなく、時間が掛かっても良いから傷を負わない方法で倒すようにお願いした。
最初は判っていないみたいだったけど、傷だらけのラナは見たくないって、じっくり説明したら判ってくれた。
「 承知しました! これからは、波乱様にご心配掛けないようにします! 」
スゲー嬉しそうだし、今後は無茶な戦い方はしないだろう。
「 他には異常はないみたいだな 」 外観上は、だが。
「 施設に戻ったら、フルメディカルチェックやるからね 」 後遺症が心配だ。
ラナはポッドの停滞場フィールドを利用して、寿命を延ばしていたんだと。
ポッドで50年寝たら数か月起きて、100年寝たら数年起きてって繰り返したらしい。
起きてる間にポッドを新品に交換したり、魔物を狩ったりしていたそうだ。
50年=600ヶ月寝て2ヶ月起きてるとすると、加速係数は300倍。
3000年でも10歳しか年を取らない計算になる、6000年でも20年か。
女性に年を聞くのはナンチャラって言うけど、この場合はどうなるのか。
ラナが俺の隣で湯船に浸かった、んで、俺を膝の上に抱える。
「 波乱様は小さくなっちゃいましたね 」
「 自分で選べるわけじゃないしな 」 ついでにイケメンでお願いしたかった。
「 これはこれで、とっても好いんですけど 」
俺の濡れたままの髪に、ラナがスリスリする。
「 それにしても、また暗黒邪神教ですか。 何度も根絶やしにしたつもりなんですが 」
ラナが言うには時々復活するらしい、見かける度に退治しても時期が来ると復活するんだと。
Gみたいだな。
「 あれはな、無理だと思う 」
邪神の名前を騙れば何でも出来るし、何をやっても罪にならないし、おまけに儲かる。
何か在っても信者が命がけで護ってくれるし。
”邪神教が何か好き勝手やってた” って記憶があれば、なんちゃって邪神教を復活させようとする奴が出てくるだろう。
「 面倒ですね 」
「 面倒だな、だから関わらない方が良い。 見かけたら排除するけどな 」
Gと同じ扱いで良い、俺にはどちらも毒にも薬にもならない、鬱陶しいだけだ。
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みんなで、なんちゃらって言う子爵の館でまったりしてる、俺達を襲ってきた奴の邸宅だ。
泣き止んで落ち着いたラナと一緒に、鉱山から馬車で移動。
子爵邸への道中で、陣を敷いて待機していた兵も冒険者もラナを見ると跪いた。
んで、全員引き連れて子爵邸に押し入って関係者を捕らえ、資料を押収して館を接収した。
子爵はアウトだが、子爵の家族は無関係、家令は関わってたみたいなんでギルティ。
領都の魔道具師にも関係者がいたんで捕らえた、らしい。
俺は子爵邸の応接室で座ってただけ、質問の回答をラナが聞いて選別してた、勇者にはそう言うスキルがあるんだそうだ。
けが人は無し。
ラナを見ただけで全員が跪くから、戦闘が全く無し。
領主の館に入る時なんか、全員が跪いてる中をラナと手を繋いで歩いたからな。
楽で良い。
「 ラナ様に戦いを挑む者はいないでしょう。 勇者様の威圧に、抵抗できる者は居ないと思います 」
ラナが威圧してるらしい、勇者圧になるのか。
俺には全く感じられないが。
「 ラナ様が、マリオン様を威圧するはずが御座いません 」 って、クロエさんが言ってた。
結局、俺がやったことは子爵の領都で、商業ギルドに寄って金貨を下ろしたこと。
ただ働きじゃあれなんで、テキトーに冒険者に配ろうと思ったら、テキトー過ぎて配る前にクロエさんに止められた、金銭感覚が判らん。
それじゃあって、クロエさんに下ろした金貨を預けた。
金額が大きかったらしくてクロエさんが固まってたんで、元パーティーメンバーをクロエさんの護衛にした。
冒険者の一部は、ラナが書いた書状をディスタンドの王都まで運ぶことになった。
俺とクロエさんが襲われたこと、魔道具師ギルドが首謀者だったこと、子爵が計画にのったことが書かれてる。
ラナの書く字が綺麗なんでちょっとビックリ、アベリアも何通か手紙を書いてたけど下手だった。
「 王都に着くまでには、全て終わっているでしょう 」
「 それは良いんだが。 ラナも同じベッドで寝るのか? 」
「 ・・・・・・ダメですか? 」 涙目になってるけれども。
「 特製ポーションはもうないんだよ。 寝相、大丈夫だろうね? 」
寝ぼけて抱きしめられて、身体中の骨がバキバキになるのは遠慮したい。
「 モードを切り替えましたから、そんなことにはなりません! 」
なんでも生活モードとか戦闘モードとかあって、切り替えられるんだと、なんちゃらスイッチみたいな物か。
勇者の力に耐えられる食器とか無いだろう、ミスリル製のナイフとかフォークとか皿なんて無いだろうし、当然か。
床もドアも、家を丸ごと強化しないと普段の生活も出来ないな、モードの切り替えがあって良かった。
それはそれとして、子犬モードとかないんだろうか。
俺よりラナの方が大きいけど、カワイイと思うんだよなラナの子犬モード。
俺は猫も好きだ、猫も好きだけど俺は犬派だ。
「 じゃ、大丈夫か 」 ラナをベッドに手招きする。
「 お休みなさい、波乱様 」
「 お休み、ラナ 」 久しぶりのベッドだ、ユックリ寝るとしよう。
確認するの忘れたけど、寝ぼけて戦闘モードに変わったりしないだろうな。
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