戦場のメイド
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少年に召喚され蘇る。 待ち伏せされ戦闘中に鉱山の地下に落ちたんだが脱出に成功した。
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地表に出て2日間はまったりした、冒険者の説得待ち。
食事はクロエさんの元パーティーメンバーが運んでくれた、朝昼は保存食だが夕方は温かい食事。
パーティーメンバー5人は全て女性、最初は危険人物の俺を見て驚いていたけど直ぐに打ち解けた。
クロエさんの仲間だったからなのか、妙に気が合った。
この付近には湖も川も無いらしい、簡易的な水浴び場を作ったら喜んでくれた。
地下に3階層分降りて、湧水をせき止めて深さ30cmくらいの水たまりを作ってみた、簡易的な水浴び場だな。
そこにメンバーの1人がファイアボールを打ち込んだ、水を温めてお風呂にするつもりだったんだと。
急に魔法を使ったんでビックリした。
ダンジョンと違って可燃性ガスがたまっている可能性があること、二酸化炭素が逃げにくいから窒息の可能性が在ることを説明、2度とやるなと叱っておく。
「 ダンジョンだと思って・・・・・・ 」 だそうだ。
地下にある洞窟は全部ダンジョンってのがこの世界の認識らしい、ここは人工なんだって説明したら驚いてた。
風の魔法で出口に向かって風を流してもらった、煙が無いんで場所はバレなかっただろう。
奥から流れて来る風が風呂上りの肌には心地よかった。
んで、風呂の後に服を着ないまま洗濯を始めたんで更にビックリ。
「 男の目が無い時はこんなものよ? 」
俺の視線に気が付いたのか、ファイアボールを打ち込んだエルフが洗濯中の下着を身に付けた。
「 そうよね。 中で体と一緒に洗えば・・・・・・ 」
アマルティアの言う通りなのか。
とりあえずファイアボールエルフのお尻を蹴飛ばしておいた。
「 結局、ほとんど逃げないのか 」
「 ええ。 エルフ族以外はね 」
2日目の夕方、アマルティアが30人ほどのエルフ族と共にやって来た。
説得に応じたのは全員エルフ、んで、エルフ族は全員ここに来たみたいだ。
元Aクラスのエルフのパーティーだから、エルフ族には説得が効いたようだ。
ドワーフ族は『 興味無し 』、獣人族は『 だからどうした 』、人族には信じてもらえず、兵士には話をしなかったと、当然だな。
退避したエルフ達が乗ってきた馬車は、離れた場所に置いてあるそうだ、物資もそれなりに持って来たんで食事の心配はないらしい。
退避してきたエルフ達の最後の仕事は、戦闘の結果を観測して領主に報告することなんだと。
小山って言うのはここだ、地形的に観測地点としては最適だろう。
「 そう言っておけば、ここで調理ができるからね 」 アマルティアのナイス判断。
発見されるのを防止するため、地上に出てからずっと火を使ってこなかった。
これで、朝昼晩と温かい物が食べられる。
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「 マリオン! 動きがあるんだって! 」
3日目の朝、日課のコーヒーを飲んでいるとアマルティアから声が掛かった。
右手をクロエさんに引っ張られて小山の上に移動する、左手にはコーヒーだ、まだ飲みかけだ。
岩陰で名前も知らないエルフが敵陣を見張ってた、退避してきたどこかのパーティーの斥候役なんだと。
コーヒーを飲みながら敵陣を観察する、あちらこちらから朝食を準備する煙が上がってる。
その中央に円形の人混みが出来ている、真ん中に誰かが居るようだが人混みが邪魔で良く見えない。
「 あれは・・・・・・メイド服? 」 クロエさんは見えるらしい。
「 こんな所にメイドね 」
貴族は戦場にメイドを連れて来るのか、身の回りの世話に必要なのか。
視線を感じた。
次の瞬間、クロエさんと斥候役のエルフの姿が消え、目の前にメイド服を着たエルフが立っていた。
金髪碧眼で俺より背が高い、メイド服は黒で白のフリルが付いてる。
敵陣にいたエルフがここまで来たらしい、転移か? ワープか?
「 こんにちは。 インタラプトコードを使ったのはあなた? 」
「 そうですよ 」 時刻的には『 おはよう 』だと思う。
「 誰に教えてもらったのかしら? 」
「 誰にも訊いていませんね 」 チクッとする。
俺の目を見るエルフの目がさっきから金色に光ってる、何かのスキルを使用しているのか。
嘘は言っていないし、誤魔化してもいない。
「 勇者さま? 」
「 勇者様! 」
「 こんな所に? 」
小山の下のエルフ達は目の前のエルフを勇者と呼んでる、全てのエルフが跪いてる。
クロエさんと斥候エルフは傷だらけだ、2人ともお腹に足跡があるから目の前のエルフに蹴飛ばされたようだ。
「 では、なぜ知っているのかしら? あなたが使ったのは最優先コード、誰でも使えるものじゃないの 」
「 自分で設計したからな、知ってて当たり前だと思うんだが? 」 ちょっと痛い。
「 ・・・・・・あなたは誰? 」
さてどうしよう、一番困る質問だ。
「 答える前に、幾つか確認したいんだが 」
「 何かしら? 」
コーヒーを持っていない方の手で、エルフの脚を指さす。
「 それは義足だよね? 」
エルフの片脚は鈍い銀色をしている、銀色の脚だ。
スカートで遮られてるんで何処まで義足なのかは判らないが、膝上まで義足なのは確定だ。
「 そうよ。 それがどうかして? 」
「 脚を失ったから義足にしたんだよね? 」
「 そうね 」
「 脚を失ったら義足、手を失ったら義手。 両手と両足を失っても何とかなる 」
「 ・・・・・・そうね 」
「 んじゃ、身体全部を失ったらどうなる? 」 痛いって。
「 ・・・・・・ 」
「 俺はマリオン、マリアの息子 」 痛いから。
夢は不思議だ、基本は白黒なんだが極まれに色が付くことがある。
ホラー系の赤色だったり、ピンク系のピンクだったり、お金系の金色だったり。
寝てても起きてても同じ、色が付いてる夢は大抵ろくでもない終わり方をする( 当社比 )。
「 俺は波乱万丈の記憶を持っている、身体は別人だ。 俺は誰なんだろうな、どう思うラナ? 」
夢は不思議だ、顔が見えなくても誰なのか判るし名前まで判る。
さっきから俺の首を剣でチクチクしてるけど、俺の首が欲しいんじゃないだろうな。
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