迷走
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 待ち伏せされ戦闘中に鉱山の地下に落ちた、何とか地上に戻ろうとしてるんだが、出待ちされたんで迂回することにした。
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身長☓0.45が、一歩の歩幅だと言う人がいるらしい。
おそらく、無風状態で完全に舗装された道を、健康でやる気に満ちた人が歩いた場合の数値だろう。
人種による筋力や体格の違いを考慮せず、健康状態や路面状況を考慮していない数値だな、脚の長さはそれぞれ違うっての。
現実逃避だ、それは理解してる。
歩数は既に1000歩を超えたがまだ半分も移動出来ていない、時間の感覚も曖昧になってる、読みが甘かった。
「 リオ! 手を伸ばして 」
「 ・・・・・・ほい 」
アベリアに抱えられ、クロエさんに引っ張ってもらって上の階へ移動する。
俺が持ってたバックパックから替えの服を取り出して、俺の身体を拭き始めるクロエさん。
俺の着替えを終わらせると自分の身体を拭き始める、アベリアは自分で服を着てる。
「 もう少し進んだら、今日は終わりにしましょう 」
「 了解 」
グチャグチャ音を立てるブーツで坑道を10m進むと壁がある、また行き止まりだ。
「 今日はここで終わりね。 靴を脱ぎましょう、リオ 」
落ちた壁に腰掛けてクロエさんに靴と靴下を脱がしてもらう、されるがままだ。
3人とも身体が冷え切ってるのは、下の階の通路が俺の胸まで水につかってたせいだ。
水の中を移動中は、靴だけ残して後は脱いでいたんで服と靴下は乾いてる、何が落ちているか判らないところを裸足で歩く趣味は無い。
「 こっちに来て 」
壁際を片づけてたクロエさんが俺を呼ぶんで、その隣に移動、クロエさんに抱きしめられる。
アベリアも俺の隣に移動してきて俺を抱きしめる、サンドイッチの完成だ。
「 子供の身体って暖かいのね 」
「 アベリアは子供を抱っこしたことが無いの? 」
「 無いわね。 剣術ばかりの生活だったから 」 アベリアの人生には興味ない。
今日の成果は東へ150歩、東って言うのは向かってる方向で方角の東じゃ無い。
メートルに換算は出来無い、水に浸かった通路の歩幅なんて意味は無いし。
道中、あっちソッチこっちって呼称がバラバラだったんで、進む方向を仮に東と決めた、逆方向は西だ。
移動した距離は1000歩を超えたんだが、行ったり来たり、上がったり下ったりで結局150歩分しか進めなかった。
特に階層の移動は面倒だった。
最初にライトソードで一差し、抜いても水が出てこなかったら少し離してもう一差し。
最初の穴を懐中魔石灯で照らして確認、異常が無ければ穴と穴を結んでから、小さな四角形に切り取る。
ここでアベリアに交代して穴から様子を確認、問題が無ければクロエさんに交代して、通れる大きさまで穴を拡大する。
その間俺は待ってるだけ、作業量が一番多いのはクロエさんだろう。
下へ移動するときは、切り取った床の破片を落とすだけなんだが、上へ移動するときは斬り取った天井を支えてから、誰も居ないところに落としてる。
その前に、足場にする瓦礫を集めてるから時間が掛かること掛かること。
「 水平方向の移動距離は、30m? 40m?くらいかな 」
「 そうね。 まだ探知されるかも知れないから、ファイアアローは使わない方が良いんじゃない? 」
「 彼女の意見に賛成よ。 リオ寒い? 」
「 寒いね 」 クロエさんが強く抱きしめてくれた。
俺も2人の意見に賛成だ、可燃性ガスがあるかも知れないしな。
何も無ければ、瓦礫でかまくらを作ってかまくらの中にファイアアローを撃つ、かまくらを崩せばたき火の替わりになるんだが。
もう一つの誤算はカロリーの消費量だ、子供の消費カロリーは大人より少ないって思ってた。
んでも、少ないのは基礎代謝、じっとして動かなければ少ないってだけ。
同じ運動量なら消費カロリーは多いんじゃなかろうか、同じ運動量じゃ無いけど。
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3人で固まっていたんで、しばらくすると暖かくなってきた、なんとか動く気力も沸いてきたんでやる事やっとかないと。
「 んじゃ、クロエさんから 」
食べるものは無いが無痛注射器用の栄養剤なら在る、栄養剤の投与は1日3回だから、1回投与すれば1食分にはなるだろう。
ちなみに腹は膨れない。
「 これって不思議よね 」
「 なにが? 」 クロエさんの太ももに投与する。
「 お腹は空いてるのに、身体は動くんですもの 」
ダンジョンなんかで全く食べられない状態が続くと、だんだん身体のキレが悪くなってくんだと。
寝ても疲れが取れないし、魔力も回復しないとか。
「 そうね。 訓練の時より身体は楽ね、お腹は空いてるけど 」
「 訓練? 」
「 そうよ 」
アベリアは騎士なんで、遠くに出兵する事が多いんだそうだ。
遠くに移動すると兵站が滞って、補給も受けられない事もあるとか。
だから、飢餓耐久訓練と称する訓練があるらしい、水だけ持って森の中で3日間とか過ごすんだと。
もっとも、森だから探せば何かしら食べるものは在るし、普段から乾し果物とか乾し肉とかをポケットに隠し持ってるんで、完全に飢餓ってことでは無いらしいが
「 今は何も持って無いわよ? 」
アベリアの太ももにも投与、疲れてるのかお腹が空いてイライラしてるのか、だんだん2人の女性に対して遠慮が無くなってる、勝手に服とか捲ってるし。
「 そりゃ残念 」
栄養剤の次は抗ウイルス剤だ、今まで虫を含めて生物は見ていない。
抗ウイルス剤が、微生物にどこまで効く判らないが気休めにはなる。
栄養剤は動けない人に投与する、若干の鎮静成分も含んでいるようだ。
それとも、水につかっていたせいか非常に眠い、プールの後に眠くなるのはお約束だし。
「 おやすみ、2人とも 」 今何時か判らないけど。
2人の腰に手を回して、だと寝にくいな。
「 おやすみなさい、リオ 」
「 おやすみ 」
明日には地上に出られると良いんだが。
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