深く静かに
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 待ち伏せされ戦闘中に鉱山の地下に落ちた、何とか地上に戻ろうとしてるんだが、坑道から出ようとすると上から爆弾が降ってくる。
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「 何を始めたのリオ? 」 クロエさんは妄想世界から帰還できたらしい。
床に広げた着替えの上には、持ってきた魔道具が全部並べてある。
「 今後の予定なんだけど・・・ 」
手持ちの魔道具が時々うっすら光るんで、上の連中はまだ探知の魔道具を使ってるようだ。
時計が無いんでザックリ測定した感じなんだが、30~60分毎にこっちの位置を確認してる。
アベリアから探知機について訊いた、同じ魔道具でも距離が離れると表示される光点は小さくなって、近いと大きくなると。
小さい魔道具がいくつも接近して置いてあるとると、1つの大きな光点になるんだと。
探知距離は大きな魔道具なら最大で100mで、小さな魔道具だと50m以下になるんだそうだ。
「 魔道具をここに残しておいて、その内に別の場所から逃げようと思ってる。 魔道具の反応が動かなければ、ここに居るって上の奴は考えると思うんだ 」 魔道具をデコイに使うつもりだ。
「 魔道具は全部おいていくの? ライトソードも? 」
「 それで悩んでる 」
計画が上手くいって地上に出られても、武器が無いんじゃ話にならない。
で、どうするかなんだが。
「 ちょっと魔道具に細工してみようと思う 」
「 細工ってなにをするの? 」
魔道具の中心部品である魔法陣、これに手を加える。
魔石から魔法陣に魔力を供給している魔力供給回路をカットする、カットすると言ってもバッサリはやらない。
魔力供給用の線を全部カットすれば、探知機にも反応しないのは確実だろう。
でも、バッサリやると元には戻せない気がする、おじさんの嫌な予感はよく当たる、だからやらない。
手始めに回路を構成する線の太さの1/3と、1/2と、2/3削った3つのパターンを用意する、んで、どれが探知機に反応するか確認する。
反応しないレベルに加工した魔道具を持って移動、探知機から充分離れたら削ったところを補修して元に戻す。
魔道具用の工具は1セット持って来てるから、魔石の交換から魔法陣の補修まで一通りは出来る。
もちろん、ダミーとして残していくのも必要だ、俺達はここに居るって上の奴らには思わせないとな。
俺のアイディアにクロエさんは直ぐに賛成してくれた、アベリアはしぶとかった。
敵の裏をかくのは騎士としてナンチャラとか、どうせやられるなら正面から突っ込んでとか、脳筋ですな。
出口を出て正面から行くのは、3人だけで城壁をムリヤリ上るようなもんだし、しかも相手の人数が判らないし、って説明したらやっと理解してくれた。
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「 どうリオ、行けそう? 」
クロエさんが床の穴から頭だけを出して俺に尋ねてくる、腕力だけで天井にぶら下がってるんだろうなきっと。
彼女は先行して通路の確保をしてくれてる、持っていってるのはライトソードだけだ。
魔道具を沢山持ってくと移動してるって奴らにばれる。
「 もうチョイ 」
持っていく魔道具は、クロエさんのライトソードとシールドベルト、治療の魔道具と無痛注射器、ライトアロー(改良版)を2つとファイアアロー(改良版)1つ、切り札として100倍タイプを3つ、残りは全て残していく。
暗い中での精密作業は時間が掛かる、せめて机があれば良いんだが。
アベリアを机の替わりにするアイディアは、反対意見が僅差で勝利して不採用となった。
俺の頭の中でだ。
ライトソードは移動するときに床や天井や壁を切り抜くのに必須だ、無ければ移動が出来ないんでそのまま持っていく。
治療道具もそのまま、こちらは元々の魔法陣が小さいから、上に残していくその他の魔道具の反応で隠れるだろうと予想してる。
探知の魔道具から離れた小さな反応は、より近くにある沢山の魔道具の反応に隠れる、ハズだ。
探知の魔道具の距離分解能が悪いんじゃ無くて、表示方法に致命的な問題があるな、それを利用する。
クロエさんのシールドベルトなんかの持ってく魔道具は、魔力供給回路の線を2/3削って持っていくことにした、これなら後で補修できる。
残していく魔道具が内蔵してた魔石は外して、予備として持っていく。
「 よし、終わった。 いつでも行けるよ 」
「 オッケ~。 じゃあ、次の探知が終わったら直ぐに移動しましょ 」
「 クロエさん、さっき探知が来たんだけど、ライトソードは反応した? 」
「 気にしてたけど、反応は無かったわ。 反応したかも知れないけれど、凄く小さかったんじゃ無いかしら 」
バックパックに必要なものを詰め込んでいく、次の探知が終わったら直ぐに行動開始だ。
中央部が50m、いま居るのが出口から20m位だから合計で70m、向こう側の崖の中にも入るから90~100m水平に移動するだけだ。
「 すぐに3階下まで下りるからね 」
手に着いたホコリを払いながら近づいてくるクロエさん。
「 判ったわ 」
アベリアも剣を腰につけて、移動の準備をする。
「 まじ? 」
「 マジよ 」
俺の身長は低いから、上方向の移動には下から押して、上から引っ張って貰わないと上れない。
クロエさんとアベリアは身軽だから、ジャンプして穴の縁に手を掛けたら上れるんだが。
面倒だし、引っ張られると腕が痛いんだよな、下への移動は飛び降りれば楽だけど。
アベリアの騎士の鎧は脱いでもらうことにした、重いから邪魔だし、音がうるさいし。
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