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古代のビル

舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。


・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 国境を越えたディスタンド国内で待ち伏せされた。


|||||


閉じた瞼を突き抜けて光が目に突き刺さる、閃光、衝撃、熱、振動、それから爆風。

閃光と衝撃はすぐに無くなった、土ホコリでよく見えないがさっきまでは無かったクレーターが生成されて地面が溶けて赤くなってる、陣形を組んでた人影はなくなってるから撃退は成功だな。


「 ここを出よう、崩れそうだ 」


ボーッとしてるクロエさんと騎士を促して、おかしな振動を始めた洞窟から脱出する。

何とか2人を立たせて出口に向かうが途中で地面が無くなった、落ちていく途中で背中へ強い衝撃を感じて目の前が暗くなる。




目を開けると暗い視界に褐色が広がっていた、暖かく柔らかいし、いい香りがする。

コレはクロエさんの香り、マリアさんはもう少しフローラル。

みんな、気が付くと俺のベッドに潜り込んでくるから、香りを覚えちゃったよ。


「 リオ!? 目を覚ましたのね、どう? 大丈夫? 」


「 痛いところは無いよ、クロエさんは? 」


「 マリアのポーションを使ったから大丈夫よ 」


つまり、マリアさん特製ポーションを使う必要がある、大ケガだったと言うことだ。

今回の旅行用にマリアさんが準備してくれたポーションは、ハイポーションが4本と特製ポーション1本の5本ワンセット。

クロエさんと俺が1セットづつ持ってるけど特製ポーションの残りは1本、もう無茶は出来ない。


指と足の動作確認、関節も記憶も異常は無い。

確認作業完了したんで、ふんばって上体を起こすが暗くて周りがよく見えない、ここは何処だろう。

光源は俺とクロエさんの持ってた懐中魔石灯、あとオレンジ色の光を出してる謎の石。

水筒に手を伸ばしたクロエさんは裸、気が付くと俺も裸。


「 坑道の床が抜けたみたい、下に池があって助かったわ 」


「 ここは地下なんだ 」 水筒を受け取って水を飲む。


一息ついてからクロエさんに手伝ってもらって服を着る、俺の身体には見える範囲に傷も痣も無い、頭の中が心配だが、破れた血管があってもポーションで治ってるだろう、まあ致命傷ではないな。

指や足に痺れや機能障害が無いから無事と思って良さそうだ。


「 途中で何度かぶつかったの、真っ直ぐ落ちてたら危なかったわね 」


俺の着替えを終わらせたクロエさんが自分の服を着ようとしてる、裸ブーツは俺はアリだと思う、騎士が睨んでるけど知らん。


|||||


クロエさんの話をまとめると、

・坑道の床が抜けて落ちた

・地下だけど魔物の気配が全くしないから、ダンジョンじゃないっぽい

・池は深くて冷たかった、俺が裸だったのは冷え切った身体を温めるため

・燃やせるものが無かったんで、石をファイアボールで加熱して暖をとった

・落ちてきた場所は判るけど登るのはかなり大変そう

・クロエさんの傷は治ったらしい、『 見たから判るでしょ♡ 』だって


坑道にはわずかだが水が流れてる、水を追いかけるように歩く、壁や天井がはがれて落ちてるところもあるが床は平らで継ぎ目が無い。

幅と高さが5m位だから、建物の廊下で間違いないと思うんだが。


しばらく歩くと、落ちてきたところまで戻れた。

ちょっとした体育館くらいの広さだが天井はすげー高い、深そうな池が視界の半分を占めていてここに落ちたんだと。

部屋には土と石で出来た小山がある、落ちてきた穴は小山の真上だろう。


「 落ちたら池でしょ。 気が付いたらリオが沈んでるし、慌てたわ 」


クロエさんは俺を抱きかかえて落ちたんだそうだ、落ちる途中で何度かバウンドしたんで、池に落ちた時点で左手と左足が使えなかったと。

んで、急いで俺を探して口でくわえて岸まで泳ぎ、ハイポーションで俺を治してからマリアさんのポーションで自分を治したらしい。

浮いてこなかった騎士は最後に救出、心配蘇生術で蘇生させて、こちらもハイポーションを使ったらしい。


「 助けてくれてありがとう、クロエさん 」


「 どう致しまして、リオが無事で良かったわ。 リオに何かあったらマリアに怒られちゃう 」 ニッコリ笑うクロエさん。


もう一度上を照らす、床なのか天井なのか判断できないが、途中で途切れているのが見える。

ここは吹き抜けの部屋じゃ無くて、崩れた部屋の一番下なんだろう。



「 クロエさん、魔石灯を消してくれる 」


「 良いけど、どうしたの? 」


「 確認したいことが在ってね 」 自分の魔石灯を消す。


クロエさんが魔石灯を消すと真っ暗になる、どこにも光源が無い、上を見ても光が全く見えない。

微かな水音以外は音も振動も無い、掘り返して入って来るつもりは今のところ無さそうだ。


「 もう崩れることは無さそうだし、掘り返したりもしてないみたいだね 」


「 ・・・・・・そうね 」 クロエさんが背中に抱き着いて来た。


「 ・・・・・・ 」  騎士も俺の腕を掴んできた。


2人とも震えてる。

明るい月夜の明るさは1ルクス以下だけど慣れれば本くらいは読める、全く光源が無い0ルクスは闇、目の前にある自分の手も見えやしない。

光が無い(・・・・)のが()なんだが、ホントの闇には存在感がある、”遺伝子には闇に対する恐怖が記憶されている”って説もあるらしい。

今は闇だけじゃ無くて、数10m分の土も在るし不安になるのも判る。


魔石灯を点ける、ほんのわずかな光なんだが2人の腕から力が抜けるのが判った。


「 アイツらは、ここから入るつもりは無さそうだ 」


「 そうね、掘ってるような音はしないものね 」


「 だね。 じゃあさっきのおところまで戻って休憩しようか 」


|||||


元の場所に戻って、携帯食をかじりつつ今後の方針を相談する。

携帯食は一本で一日分だから昼飯にしてはカロリーは取り過ぎなんだが、腹が減ってると気が散ってアイディアがまとまらないからな。


「 落ちてきたところを戻るのが迷わなくて確実なんだけど。 かなり大変よ、あそこを登るのは 」


クロエさんは自分の分じゃなくて俺が持ってた携帯食をゲットしてった、手を出して ”下さいな ”って言ってきたんで渡したけど。


「 ライトソードで壁を削って、足場を作れば登れそうだけど。 垂直だから落ちそうだし、上がどれだけ崩れてるか判らない。 あそこを登るのは無しだね 」


ハーネス無しで登る気は無い、あと騎士が静かすぎて不気味だ。


「 じゃあ、こっちに向かって歩いていくってことで良いのかしら? 」


「 それが良さそうだね 」


とりあえず水が流れて来る方に向かって歩くことに決定、間違いなくそっちの方が高いから上には行ける。

携帯食を齧りながら床に触ってみる、石じゃないしレンガでもない謎の物質だな。


「 クロエさん、ここってダンジョンじゃ無さそうなんだよね? 」


「 そうね。 魔素の濃度とか、壁や床なんかもダンジョンとは違うわ。 それにダンジョンなら、もう魔物が出てる頃だもの 」 だったら安全だな。


「 あなたはダンジョンに、潜ったことが在るの? 」 騎士が急に喋り出したんでビックリ。


「 ええ。 元Aランクの冒険者よ。 だから安心して、ちゃんと地上まで送ってあげるから 」


「 簡単に言うわね、ここが何階なのかも判らないのに 」 声が弱々しい。


「 それはそうだけど。 どんなダンジョンも、上に向かって行けば出られるわよ? 」


 そりゃそうだな、それにだ。


「 何階かは判る。 意味は無いけどね 」


「 リオには判るの? 」


食べきっていない携帯食を片手に立ち上がり、途中で石を拾ってから壁に向かって歩く。


「 ここに書いて在るんだよ、チョット読みにくいけど 」


壁に着いてるプレートを石で擦る、少しは見やすくなった。


「 192/200 って書いてある、ここは192階だね 」 その後にも何か書いて在るんだが読めない。


「 そうなのね 」

「 あなたは何を言っているの? 」


クロエさんはホンワカ、騎士はあきらめムード。


「 ここは大昔の人間が作った建物の中だよ。 僕たちは上から入って8階分落ちた、で、今192階に居る 」


「 建物なの? 200階の? 」

「 200階? 人間にそんなもの作れるハズないわ、失われたハイエルフの技術でも無理なのに 」


クロエさんは首をかしげて、騎士はまだパニックってる。


「 ほとんど、って言うか全部が埋まってるから見えないけど。 この建物は、地上に建ってた200階のビルだよ 」


「 リオは古代語が読めるのよ、古代エルフの魔道書も翻訳したんだから 」


「 そうなの? 本当に? 」


クロエさんが騎士とお話ししてる、それが終わったら少しだけ昔話をしてあげよう、信じてくれるかは判らないけど。



誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。

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