待ち伏せ
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 国境を越えてディスタンド国に着いて1泊。
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今日も変わらず移動中、大雨の時は移動しないで宿でユックリ過ごすから、移動中は晴れか曇り。
俺としては晴れより曇りが好みだ、恒星の輻射熱とクロエさんの体温、それと馬の体温が伝わるから風があっても暑い、お肌も焼けるからシミが心配だ。
「 ねぇ! 気付いてる! 」
「 もちろん気付いてる! 馬はこちらの方が早い! このまま走って振り切るぞ! 」
クロエさんが馬のスピードを上げて騎士に並んだ、話の内容からすると後ろから何かが来るらしい。
「 何が来てるの! 」
「 わからない! 少し前からつけられてるの! スピードはこっちが上だから振り切れると思うわ! 」
クロエさんと騎士が馬のスピードを上げた、風の音が大きくなる、上体を捻って振り返っても俺には何も見えない。
所々に緩いコーナーがある道の両側は林になってる、林と道の間は10m位の間隔が開いている、これは魔物や盗賊に急襲されないように視界を確保してるんだとか。
「 何も見えないんだけど! 何人くらい来てる! 」
舗装されてるから土煙も見えない、目は悪くないんだが。
「 10人位かしら! 盗賊には見えないわね! 」 盗賊じゃないのか。
「 ひょっとして俺が狙われた!? 」
「 かもね! でも大丈夫、あれ位ならどうにでもなるわ! 」
更にスピードを上げて10分ほど走ると、騎士が馬を近づけてきた。
「 この先の道がふさがれてる! 恐らく待ち伏せだ! このまま脇道に逸れるぞ! 」
いや~、どう見ても不自然だろ。
「 待った、どう見ても罠だ! シールドを上げてそのまま直進だ! 」
「 素人は黙って指示に従っていればいい! 脇道に逸れてから態勢を整えて迎え撃つ! 」
悪手だ、脇道を塞がない待ち伏せなんかあり得ない、どう見ても脇道の先に主力が待ってるパターンだ。
「 クロエさん! 俺達だけで直進しよう! 」
クロエさんの脇の下から顔を出して話し掛ける、重要な事はシッカリ顔を見てお話ししないと。
「 ええ、判ってるわ! リオは誰も見捨てないんだもんね! 」 クロエさんの笑顔と信頼が辛い。
俺の中での優先順位は、クロエさん > 俺 >>> 越えられない壁 >>> 騎士。
騎士は普通に見捨てますけど?
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テシ山は山じゃ無くて露天堀の鉱山だった、地上から斜め下に向かう幅広の斜面はジグザグに底へと向かい、その先は掘り返した跡地が広がってる、東京ドーム何10個分だろ。
あちこちに坑道らしき坑道もある、地面から生えてるビルも在る、テシ山は埋もれた都市の跡地、都市鉱山だな、王女様は俺の依頼を成功させたようだな。
王女の名前は忘れたけど。
んで、鉱山にいくつも在る坑道の一つで応戦中。
「 どうしてこうなるの? 」
騎士様は絶賛落ち込み中なんで戦力外、俺とクロエさんが洞窟の入口近くで応戦してる、体感では1時間は経過。
主力が待ち構えてる所に正面から突っ込む趣味は俺には無い、強引に馬を止めてさせ徒歩で街道沿いの林を抜けようとして失敗、テシ山まで戻ってきた。
林の中のエルフ族は強いな、林に潜んだ敵兵を先に相手を見つけられたんで何とか後退できたが、馬は逃がした、元気で暮らせ。
坑道を利用して敵を一方向に限定、少しずつ奥に移動しながらライトアロー(改良版)でサクッと殲滅することにした。
したんだが、騎士様が選んだ坑道は坑道じゃ無くて穴だった、10m先で行き止まり。
計画は破綻した。
「 何で私がこんな目に・・・どうして私が・・・ 」
敵の攻撃方向を限定することには成功した、今居る坑道の位置は露天掘りした鉱山の底にある、正面と斜め上方以外からの攻撃は無い。
”何で私が” って言ってるけど、こんなとこを選んだのはお前だろって言いたい、入る前に確認すれば行き止まりになってるって気が付くだろ。
今のところ敵からは何の要求もない、問答無用の攻撃だからターゲットは多分俺だろう、そこはスマンと思う。
旅の準備の一環として、クロエさんには俺と同じシールドベルトを渡した、クロエさんは俺より身長が高いんで立ってると頭が出るけど、中腰になれば問題無し。
馬のあぶみに2個と鞍にも2個ライトシールドを取り付けた、馬の前方は隙間無く側面はある程度カバーできる、シールドの方が小さいんで脚と地面の間とか、何カ所か隙間はあるけど主要部分は守れる。
傷を負ったらポーションで治せば良いしな、正面突破を前提にしたシールド配置だ。
「 リオ、そろそろ交代しよ? 」
「 了解 」
クロエさんは洞窟の右側から左側へ、俺は左から右へ移動する。
ライトシールドは敵の攻撃に対して有効だ、問題は稼働時間、フルで使えばエネルギー源の魔石は1時間程で使い切る。
俺は背中を坑道の壁につけて右前のライトシールドだけ残して後はオフ、右手に持ち替えたライトアロー(改良版)で応戦開始、敵の魔法や魔道具より射程が長いんで対応出来てる。
「 なかなか減らないわね 」
「 俺は100、クロエさんは? 」
「 200位じゃないかな 」
合計で300人は始末したがそれでも敵の攻撃は変わらないと、斜面を下りてくる人影は途切れないし、全部で何人用意したんだ。
俺とクロエさんはポジションを変更して、使用するライトシールドの左右を入れ替え、こまめにオフにする省エネ使用法でシールドの稼働時間を延ばしてる、んでも限界はある。
魔法も矢も全部ライトシールドで防げてるけど、斜面のすぐ下では何やら陣形を組みつつある、残念だがこっちの射程圏外だ。
小口径だけど先込め式の大砲も攻撃を始めた、砲はこっちより射程が長いけど弾が鉄の塊なんで直撃しても脅威では無い。
敵もこっちのシールド性能を理解したのか、攻撃を坑道じゃなくて坑道の上に集中し始めてる、着弾の度に小石や土が落ちて来るから落盤での生き埋め狙いだろう。
斜面を下る人影が途絶えた、陣形を組み終えたようだ、そろそろ次のカードを切るべきだろう。
最初の頃は投石もあったけど今は無い、射程距離が違うからな。
重装歩兵はもういない、だったものなら穴から150mほど離れた所に落ちてる。
「 リオ? それを使うの? 」
「 切り札その1、いきます 」
シールドベルトは、ベルトの4カ所にシールドの魔道具を取り付けてある、斜め前に2カ所、斜め後ろに2カ所。
真後ろには5日分の軍用固体携帯食、1日1本だ。
左側には予備のライトアロー(改良版)とファイアアロー(改良版)、右側には単発タイプのライトアローとファイアアローをフックで吊り下げてある。
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修理した製造の魔道具、まもるくんマーク2に追加されてたのは治療用器具だけじゃ無かった。
俺が改造したライトアローやファイアアロー、アースアローも追加されてた、改良版だけじゃ無くて100倍タイプもだ。
他にも通信機、冷房と暖房魔道具、俺が改造した物が全部登録されてた、それ以外にも色々。
全部を持ってきたんじゃないけど、あるものは有効活用させてもらう。
追加したのは誰なのか判らないけど俺用なのは間違い無いと思ってる、製造のロックを解除するパスワードが俺の西暦の誕生日だったからな。
クロエさんの前に立って、ライトアロー(単発)を右手にはめて発射態勢、ちょっと大きなライトアローが現れた。
「 思ったより小さいな 」
「 リオも使ったことが無いんだっけ? 」 頷くしか無い。
発動が完了したライトアローの光が洞窟中を照らす、かなり眩しい、炎の色も青白いから高温になってるのが判る、コレならいけるか。
「 うずくまって背中をむけたら、目もつぶって 」
狙いは敵陣形中央の地面、上にハズしたら意味ないし。
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