ディスタンドへ
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 ディスタンドに在るマリアさんの実家、5氏族の本家からお呼び出しが在った。
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出発の朝、マリアさん達にご挨拶。
5氏族が俺達に用意してくれた馬は、クロエさんと俺の2人乗りでもお迎え騎士をぶっちぎるスピードとスタミナを持ち、お迎え騎士が顔をゆがめる程度には良い馬なんだと。
金貨何枚なのかは聞いて無い。
俺は1人じゃ馬に乗れないんでクロエさんが同行する事になった、”馬車は使うな” ってのが本家の指示なんだから仕方がない。
「 お見送りは大げさにしないね? フリじゃないからね? 」
前もってお願いしておいたんで、お見送りはマリアさんとマライアとマルセラだけ、見た感じではお願いした通りだ。
グルッと周りをみる、マリアさん家の周りには5氏族に買われた家がある、その窓やドアから色々見えてる。
って言うか、隠れるつもりないだろ。
向かいの家の1階の窓にはばあちゃん、その上にはサリナさんの顔が見えてるし、修理や家庭教師の教え子も見てる、他にも色々見えてるんだよ。
エルフ族のトーテムポールが、あちらこちらに立ってる。
「 リオ、支度が終わったわよ 」
「 わかった・・・・・・ 」 もう少しキッチリ隠れて欲しい。
先に馬に乗ってるクロエさんに引き上げてもらって俺も馬に乗る。
この馬はさっきまで俺の髪の毛をモシャモシャしてたけど大丈夫なんだろうかと思う、性能じゃ無くて性格がだ、長旅だから舐められてるとしたらこの先大変そうだ。
鞍には助手席用のアブミも手すりも無いから身体を固定できない、んな状態だと馬の揺れに合わせられないから馬が疲れやすくなるし、なにより俺のお尻が大変な事になる。
だからクロエさんの前じゃ無くて後ろに乗る。
「 じゃ、行ってきます 」
少しずつ遠ざかるマリアさんの家、ディスタンドまでは急げば1ヶ月だって聞いたから、戻って来るのは最短でも2ヶ月とチョットかかる。
”2度と帰れない” って迎えの騎士が言ってた、偽物なら処分、本物なら監禁って感じだとだろう、それ対策の準備はした。
おじさんって優柔不断で弱そうにに見えるらしいが、何もかんも全部捨てられるなら何でも出来る、知識も経験も伝手もあるから。
タンクローリーで裁判所や警察署に突っ込んだり、鉄パイプで夏に出る騒音をまき散らすムシ達を退治したり、プロパンガスで町の害虫を家ごと処分したり、やらないけど。
夏になると毎年出るんだよ、ウルサいし目障りだから誰か退治してくれ。
「 行ってきま~す! 」
マリアさんちの周りの家に向かって手を振る、何かモロモロ崩れ落ちたみたいだが、まぁ大丈夫だろう。
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馬車が5台は並んで走れそうな広い道、整備された石畳?を馬で移動中。
昔は山ほど鉱石を積んだ馬車が行き来してたんで、ディスタンドとスリスターの間の道は全て舗装されてるんだと。
両側には小麦畑が並んでる、小麦畑の一部はポーション用の薬草や製造の魔道具用の草に変更されてるけど、ここからは見えない。
薬草畑の労働は王都の外へ住居を移した元スラム街の住人が担当してる、小麦と違って手が掛かるらしい。
その労働力としてスラム街の住人はかなり減ってるそうだ、草系は小麦より手が掛かるけど単価が高いから人手をかけても大丈夫なんだとか。
王都の外では牧畜もやってるんで魔物に襲われないのかって聞いたら、魔物は見た事がないそうだ、それより人間の泥棒の方が怖いんだと、平和だね~。
「 お。 あそこでも木の農具使ってるな 」
「 どうしたの、リオ? 」
振り返ったクロエさんが俺に聞いてくる、俺の持ってる荷物は背中のバックパックだけ。
「 木の農具をつかってるんだよ、ほらあそこ 」
「 ・・・・・・そうね、木製は安いから 」
「 それはそうだけど、金属製じゃないと効率が悪いでしょ 」
「 それはそうなんだけどね、鉄製はとにかく高いのよ。 武器にもなるしね 」
武器になるか、そう言われればそうなんだが。
家庭教師やってた時、社会科見学もどきで王都を見て歩いたんだが、鍛冶屋が少ない感じがした、あっても蹄鉄か富裕層向けの食器や調理器具しか作ってなかったし。
王都周辺の税率は4公6民が基準なんだと、税率はそれほど高くないと思うんだが農民はみんなツギハギの服を着てる、太ってもいない。
麦の実の入りもいいから凶作って訳でも無さそうなんだがな、誰かがピンハネしてるのか。
「 今日は2つ先の街まで行く、遅れないで着いてきなさい! 」
「 へいへい 」 お迎えの騎士がウルサイんでノンビリ風景も見てられない。
「 リオ! しっかり掴まっててね! 」
「 あいよ 」
両手でクロエさんにしがみつく、女騎士に遅れないように、クロエさんが馬のスピードを上げた。
「 明日の出発は7時! 遅れないように! 」
「「 ・・・・・・ 」」
夕暮れ、街に着いたら言うだけ言うと騎士は何処かへ去って行った、宿に向かったんだろうけど俺とクロエさんは放置らしい。
「 なんだあれ 」 お迎えにきた奴の態度じゃないよな。
「 騎士はプライドが高いからね。 それより宿を探しましょう 」
「 風呂付でよろしく 」
「 はいはい、判ってるわ 」
金貨ならタップリあるからランクの高い宿でユックリするとしよう、騎士がどうするかは知らん。
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なんだかんだで2週間、移動して休んで、宿に泊まって移動してを繰り返した、そろそろディスタンドとスリスターの国境らしい。
長距離移動して判ったことが在る、ピッタリ抱き着いて移動してる時は、時々首を動かさないと首がツル、首がツルとスゲー痛い。
くっつきすぎた俺のホッペタが真っ赤になってるのを見て、クロエさんは革鎧を前半分のに買い換えてくれた、それでも服に擦れていたんだがこれ以上脱いでくれって言うのは危険が危ない。
国境のゲートは騎士様が居るんでスルーパス、そのまま国境沿いの街で一泊する事になった。
2週間移動して来たけど騎士様とはほとんど話をしない、”行くぞ” ”止まれ” ”休憩だ” 以外の言葉を聞いた事が無い。
俺も話し掛けたりしていない、会話を拒絶してる女性に話し掛けるとロクなことにならないからな。
「 この町はね、テシ山のために造られた街なの 」
宿の一番豪華な部屋で、開いた窓に腰掛けながらクロエさんが教えてくれた。
「 テシ山? 山なんか見えないけど? 」 窓から見える範囲に山は無い。
「 ちょっと変わってるのよ。 鉱石だったり金属だったり、魔道具も在ったらしいけど掘り尽くされたんだって。 だから今は閉山されてるわ 」
テシ山ね、金属ってミスリルかアダマンタイトか。
「 ここまで来たんだし、チョビットだけでも見学したいもんだが 」 騎士様はダメって言いそう。
冒険者何チャラの建物が在ったんで、覗くだけでもと思って行ってみたんだが、もの凄い臭いが外まで漏れてたんで、入らないでそのまま回れ右した。
クロエさんは笑ってたけど俺は笑えなかった、目に染みる匂いだったし。
「 何日もお風呂に入れないし、素材なんかの生ものをそのまま持ってくるからね~ 」
クロエさんはよく我慢できてたなって言ったら、マリアさんちの生活が気に入ってるから、あの生活には戻りたくないってさ。
せめて、海の家みたいに外にシャワーを設置しろって言いたい、話はそれからだ。
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