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面倒な客

舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。


・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 サリナさんの回復のお祝いパーティーが開かれた。


|||||


倉庫の外からこちらを見つめてるオーディエンス、とにかく声の届く範囲に来てくれないと説明が始められない。


「 ちょっと遠いですね、もう少し近寄ってもらえますか 」


俺の呼びかけに反応して、遠巻きにしていた人達が一斉に近寄ってくる、後ろの方が満員電車並みの混雑になってるけど俺は知らん。

俺が声を掛けたら近寄って来たってことは、警戒されてるわけじゃ無い可能性もあるのか、どちらにしても俺のことがどんな風に伝わってるのか、あとでキッチリ調べておこう、ろくでもない事になってるだろうけど。



これからやる修理完了のデモンストレーションで、ゴルドさんとアーガイルさん2人への報酬を作ることになってる、造るのは修理が完了した魔道具で製造できる医療器具。


「 さて。 皆さんは魔物の大量発生って聞いた事が在りますか? 」


ほぼ全員が知っているようだ、体験はしていないだろうけど。


「 昔々の話なんですが、そうですね約5000年ほど昔の話です。 今よりずっと強い魔物が数千匹、多い時は数万匹で街を襲ってきたことがあったそうです 」


手元のパネルを操作して魔道具を起動する、組み込み式自己診断装置をチェック、故障個所は無い。


「 人々は街を塀で囲み魔物に備えました、でも困るのは物流です。 魔物の氾濫が終わるまで塀の中に立てこもるのは良いけれど、それだけじゃ生活出来ない。 武器も防具も消耗品です、壊れたら補充と補給が必要になる 」


並べておいてある2台の魔道具の中間に移動する、手に持っていたパネルを元の位置にセット。


「 そこで考えられたのがこの魔道具、拠点防衛用の魔道具です。 短剣や槍と言った武器はもちろん、防具、攻撃用や治療用の魔道具。 後はそうですね、生活に必要な物資がそれなりに製造できます 」


他にも、使用するには前もって素材を蓄積する必要が在ること、使用するには魔石が必要なこと、魔素を自動で収集するんで魔素の通りが良い所に設置することを説明する。

魔素の通りが良いところを探すために魔素ぐるまも配布した、家に帰ったら自分で何とかして欲しい。



「 では、実際に使ってみます 」


メイドさんから折れた短剣を受け取って魔道具にセット。


「 戦闘で折れた短剣があるとします、これを魔道具に入れていったん素材に分解します 」


魔道具の中で徐々に消えていく折れた短剣、初めて見た人は驚いてる、何度か事前に練習してるんでマリアさん達はニコニコ見てるけど。


「 これで素材に分解できました、次に同じものを製造します 」


パネルを操作して短剣の製造をチョイス、今度は少しずつ短剣の形になっていく。

オオ~ッと言うオーディエンスの声、始めて見たら感動するよな、俺もそうだったし。


「 このように壊れた部分だけを修理しますから、必要な素材が少なくて済みます。 他にも色々製造できますので試してみて下さい。 操作パネルは古代文字で表示されていますんで、使い方については別途説明会を開きます 」


魔道具の表示は今では古代文字の扱いだからそのままじゃ使いにくい、現代文字への変換は装備してないから覚えてもらうしかない。

パネルの絵を書いて吹き出しで現代文字を記入した取説を作っていくつもり、並行して使い方の説明会を開けば何とか使える様にはなるだろう。


|||||


「 これは救急救命パックになります 」


俺の左側にある魔道具で製造したバッグをゴルドさんに渡す、赤十字が入った緑色のバックパックだ。

最前列に出てきたゴルドさんとアーガイルさんは、受け取ったバッグの中身を床に広げて始める。


「 これは戦場で兵士の命を救う物資が詰まってます、中には魔道具が2種類、治療と注射器です。 ポーション12本と水を入れる容器、あと清潔な布が入ってます 」


「 ちょっと待った、これだけか? 他には無いのか? 」


中身を広げ終わったゴルドさんからクレームが入るがこれは演出だ、2人には何も言ってないけど。

いい歳したオッサン達が悲しそうな顔してるけど放置。


「 そのバッグにはそれだけですね。 で、こちらがもう1つ 」


今度は、右側の魔道具からバッグを取って渡す、同じ赤十字が入った緑のバックパックだが最初の物より遙かに大きい。


「 この魔道具は、あらかじめ登録してある物しか作れません。 で、ここにある10台の中で1台だけ登録してあるものが違う魔道具が在りました、その1台はこの中で一番新しい物になってます。 新しいとは言っても、5000年以上前の物ですけどね 」


左側の魔道具に手を乗せて紹介する、ここは笑うところなんだが誰も笑ってくれない。

おじさんギャグは外れることが多い、それでも言いたくなるのはナゼなのか、今でも判らん。


「 こちらが一番新しい魔道具です、おもに医療関係の品物が大幅に追加されています。 バッグの中身も変わっています。 体温,脈拍を測定できる魔道具が追加されて、万能血液と点滴、あとメスなんかの外科手術用品のセットも追加になっています 」


俺の足元では、バッグの中身を床に広げておっさん2人がよろコンドル。


「 ポーションで傷は治るが失った血は戻らない、それが原因で命を落とす場合があります。 でも、この万能血液が在ればその命をも救えます 」


「 リオ、病気は治らないのかしら? 」


「 ママ。 簡単な病気なら治せると思う、でも全部は無理だよ。 これは戦場で傷を負った兵士を救うのが目的だからね 」


「 そうなのね 」 残念そうだがどうしようもない、これは救急救命セットだ。


「 他の9台では作れないのですか? 」


マリアさん達のすぐ後ろの女性が質問してきたが、その質問は想定内だ。


「 全ての魔道具のデータを、最新版にアップデートしましたから大丈夫です 」


オーディエンスの反応が悪いな。


「 魔道具に登録されている品物を全て同じにしてあります、どの魔道具でも同じものが作れます 」


会場にホッとしたような空気が流れる、今度は通じたようで安心した。



「 お兄様、どうして一つだけ違う物が在ったんでしょうか? 」


「 マルセラ、それは良い質問だね 」 頭を撫でて褒めてあげよう。


「 みなさんは、聖女と聖騎士が異世界から来たのは御存じだと思いますが。 2人が元の世界でどんな仕事をしていたかご存知でしょうか? 」


「「「 ・・・・・・ 」」」 回答が無いまるで屍のようだ、まぁ、知らないよな。


「 2人とも医療関係の、命を救う仕事をしてたんですよ。 古いタイプの救命パックでは十分に命を救えなかった、だから医療関係の品物を強化した 」


魔道具に注いでいた視線をオーディエンスに、そしてサリナさんへと移す。


「 まぁ、私の推測ですけどね。 今回サリナさんの命を救ったのは聖女と聖騎士、2人の功績だと言えるでしょう 」


サリナさんが涙を流しているのは感激したからで、悲しいんじゃないだろう。

功績と名声は正しく功労者に与えられるべきだとおじさんは思う、サリナさんを救ったのは俺じゃ無くて白川さんと河原君だ。



んでだ、新しい魔道具の表面に『 まもる君 マーク2 』って表示されてるんだよな、マーク1は何処にあるんだって話なんだが。

このネーミングセンスは白川さんで間違いない、アニメとかが好きだったんだよな白川さん、だから俺の推測は外れてないと思う。


|||||


「 なるほど、本当に直したようですな! 」


人混みの一番後ろに居たおっさんが大きな声を上げた、誰なんだとマリアさんとサリナさんをチラッと見ると、サリナさんがニッコリ笑ってから立ち上がった。


( 私が招待したの )


お尻に付いたホコリを払いながら、サリナさんがコッソリ教えてくれた。


( それで、誰なんです? )


「 本日は私のための祝いの席においで下さいまして、ありがとうございます。 このよき日に、マリオン様との魔法契約を履行して頂きたいと思います 」


そんなことも在ったな、んでも随分老けた気がするが、魔法契約の効果なんだろうか。

誤字脱字の報告、読後の感想などお待ちしています。

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