手術の結果
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少歳に召喚され蘇る。 ばあちゃんの娘さんの手術の当日。
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手術当日の朝、サリナさんの旦那さんと子供が帰ってきて説明しろって騒ぎ始めた。
で、手術の全体を説明してる、騒いでいるのは旦那の方なんだが。
「 まず、左下を中心にして”L”の形に開腹します。 腸の一部を体外に出して当該部分を糸で縛って切除してポーションで穴を塞ぎます。 そのあと大腸内の残留物を取り除いて内部を水で洗浄、洗浄後はポーションで腸の内側を治します 」
「「 ・・・・・・ 」」 2人とも顔色悪いな。
旦那も子供もしっかり聞いてる、 のか? 子供の方はサリナさんと手を繋ぎながら真っ青になってる。
サリナさんは子供の頭を撫でてる、旦那はベッドから離れたドアの近くで腕を組んで指をトントンしてる。
「 腸の接合にはポーションを使いますから、ピンホールは発生しません。 術後は直ぐに動けるようになるでしょう 」
「 それで、絶対に治るんだな!? 」
「 絶対はこの世にありえません。 特にサリナさんの場合、症状が進行し 『 サリナ様だ! 平民は礼儀も知らんのか! 』 」
「 まって! マリオン君はマリアさんの長男よ、平民じゃ無くて貴族なの! 」
「 長男だと! 」 まぁ、形式上ではそうだな、最近知ったんだが。
「 何の騒ぎだい! お前かい! 家を出たハズだろ!! 」
騒ぎを聞きつけたばあちゃんも参戦して大騒ぎ、言い争いを始めたんでゴルドさんに背中を押されて部屋を出る。
部屋に残ってるのは、ばあちゃんとサリナさん夫婦と子供と看病してるメイドさん2人、それ以外のみんなは廊下で待機中してる。
怒鳴り声が外まで聞こえてきてるんだが、子供を巻き込むなよ。
「 何が気に入らなかったんだ? 俺の説明が悪かったのか、それとも宗教上の理由か? 」
「 マリオンさん、彼は王位継承権3位だったんですが、この家に婿入りして継承権を失っています。 長男に拘るのはそれが原因でしょう。 それに、城内に居る時から彼の評判は良くありませんでしたし 」
アーガイルさんが奴の情報を教えてくれた、兄と姉が居てそっちは出来る人物だと、奴はダメだけど。
王家の子供とハイエルフ5氏族の婚姻は、昔からの習慣なんだそうだ。
ラナの休息所を護る事を除けば、ハイエルフ族がこの国に居る理由は無いから繋ぎにするんだと。
「 彼女が病気になった時も、早々に子供を連れて城の離れに戻っていたようです、子供に病気をうつされるのを嫌ったようですね 」
「 難病ですからね、気持ちは理解できます。 でも俺なら子供だけ避難させますけど 」
相方が闘病してるなら手伝うでしょ、何も出来ないけどな。
みんなが、なま温かい目で見てるけど俺の考え方はみんなとは違うのか?
「 と言うのは表向きの理由だそうで、今でも王座を諦めていないそうです。 サリナさん亡きあとは子供を当主にして、中立派に食い込むつもりだとか 」 その目は止めろ。
「 エルフ族は中立だから、特定の誰かの後ろ盾にはならないってばあちゃん言ってたけど 」
「 だから貴族様とは係わりたくないんだよ! 」
「 それは同感 」
ゴルドさんも怒ってるな、貴族に係わるとロクな事が無い。
「 ・・・・・・お前も貴族なんだからな? 」
「 平民でいいですよ、平民で 」 だから、その目は止めろ。
しばらくして、麻酔が切れて痛がりはじめたサリナさんから逃げるように旦那が退場、俺達は手術に突入。
全身麻酔を予定してたんで、麻酔が切れたのは予定通りだ。
扉の向こうではサリナさんの手術が始まってる、俺は廊下で待機。
不足するものがあったら速攻で造らないといけないからな、おじさんは血が苦手なんだよ。
『 開腹した・・・・・・広範囲に変色が見られる。 腸を取り出す前にポーションを使用する 』
『 ハイポーションの方が良いのでは? 』
『 直ぐに摘出するからポーションで良い、ポーション使用後に腸を取り出すぞ 』
ゴルドさんとアーガイルさんが頑張ってる、メイドさん4人がサポートしてるから手は足りてるだろう、メイドさんの内2人は照明係だ。
俺は居てもなにも出来無いんだよな、やっぱり。
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「 終わったぞマリオン 」
「 手術完了しました 」
ゴルドさんとアーガイルさんが部屋から出てくる、良い笑顔だから問題はなかったようだな。
「 お疲れ様でした、ユックリ休んで下さい 」
「 そうさせてもらう。 投薬と食事は予定通りで大丈夫だろう 」
「 了解です。 急変したらたたき起こしますから、そのつもりで 」
「 私はそのまま経過観察に入ります 」
「 では、ゴルドさんは休んでもらって、アーガイルさんは経過観察と言うことでお願いします 」
俺は本来の業務に戻る、魔道具を修理するのが元々の仕事だ。
その前にサリナさんの様子を確認しておこうと部屋に入る、部屋の中には2人のメイドさんとサリナさんの隣で寝ている子供。
「 なぜ子供がここに居るんだ? 」
「 旦那様はお一人で戻られました。 先ほどまで起きておられたのですが、泣き疲れたようで 」
メイドさんに言われて確認すると、子供の顔には涙の跡が残ってる。
「 そうか。 衛生的には別の部屋で寝て欲しいところだが 」
「 マリオン様。 奥様の病気はうつらないと伺いましたが? 」
「 逆だよ。 サリナさんは手術で体力が落ちてるから、息子さんに他の病気を持ってこられたら困るんだ 」
サリナさんに投与されてる点滴を確認しながら返事をする、一番重要なのは子供の機嫌じゃなくて病人の体調だ、そこは妥協しない。
看病していたメイドさんが子供を抱きかかえて、廊下に居るメイドさんに渡してる、抗炎症剤と抗ウイルス剤を投与、念のため栄養剤も投与。
後の事はアーガイルさんとメイドさんに任せて作業に戻る、俺の本業は魔道具の修理だからな。
既に3台は修理が完了していて残りは7台だが、作業は順調に進んでいる。
1台目はパーツ単位で修理していたが、今はブロック単位で製造してるから完成品を本体に差し込むだけだ。
パーツ単位だと組み立てに時間が掛かるが、ブロック単位だと組み立てが無いから作業量が減る、その代わりに待ち時間が増える。
小さいパーツなら1~2分で完成だが、ブロック単位だと短くても1時間は掛かるから2台で作業してても時間に追われる事は無い。
サリナさんが目を覚ましましたと、メイドさんが俺を呼びに来たのはおやつの時間の少し前、いつものツナギを着替えて手を洗ってから部屋に向かう。
数千年前の機械を触ってたから万が一を考慮しないとな。
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