黒くなる歴史
初投稿となります、よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって命を落としたんだが、少年に召喚され蘇る。 エルフが管理する森へお出かけ、小屋に住む人に挨拶しようとて誰も居なかったんで中を調べてたんだが。
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最後の部屋の確認が終わっての結論。
小屋はいつでも住めるくらいに手入れされているが、住んでいる人は居ない。
振り返ってもう一度最後に確認した部屋を見回す、不思議な感じのする小屋だ。
立ち止まっていると隣に誰かが立っている感じがする、見ても誰も居ないんだが、扉の向こうにも、目の前にも存在を感じる。
月面に立った宇宙飛行士が『 神が身近に居るのを感じた 』と言って牧師になった何て話を聞いたが、似たようなものなのかも。
嫌な感じは全くない、もの凄くイタズラ好きの精霊よりもっと善意の存在な気がする、ここなら月明かりの無い真っ暗な真夜中でも怖くはないだろう。
今度は1泊するつもりで来てみよう、泊まってみれば何か判るも知れないしな。
ちなみに、お化けの存在は否定する。
「 ママ、誰も居なかったよ・・・・・・なにしてるの? 」
小屋を調べ終わって入口に戻って来たら、4人が小屋の外で跪いていた。
「 この森の結界は、遙かな昔からこの建物を守るためだけに施しております 」
「 そうなんだ 」 建物って言うより小屋なんだがね、マリアさん。
「 この建物は勇者様が用意されたもの。 時折訪れて、しばしの間お休みになられる所で御座います 」
「 勇者がね~ 」 勇者が自分で用意した引きこもり用の小屋ってことか。
「 建物には勇者様が施した結界が張って在り、立ち入ろうとする不届き者は建物に触れただけで排除されます 」
「 排除!? 」
身体とステータスを確認するが異常は無い、遅効性の呪いってことは無いよな。
マリアさん達は俺を見てニコニコしてるけど、これは勘違いだよな。
「 マリアさん。 残念だろうけど、私は勇者じゃ無いし勇者の生まれ変わりでも無い 」
「 貴方が勇者様で無いことは承知しております。 お忘れですか? 私は鑑定の技術を持っていますよ? 」
コロコロ笑ってるマリアさん、マライアは笑顔で頷いてるし、マルセラはドヤ顔してる。
「 勇者じゃないのに入れたんだけど? 」
「 ここで、身近な方とユックリ休まれる事をお考えだったのではないかと。 勇者様と勇者様がお認めになった方は通れる結界なのでしょう 」
身近な方だそうだが、何と言えばいいのか。
「 あなた様の魂に、勇者様の魂の匂いが付いたのでしょう。 それで結界を通過出来たんだと思います 」
「 俺の魂に勇者の魂の匂いが付いていた、と 」
結界に関するなんちゃらはハイエルフにとっては簡単に判断できることなんだろう、俺には出来そうも無いけど。
「 ・・・・・・ 」 さてどうしよう。
「 宜しければ、前世の名前を伺いたいのですが? 」
「 生まれ変わりは疑わないんだな 」 黙ってるのも限界か。
「 はい。 世界の垣根を越える異世界召喚がある世界です、生まれ変わりくらい在っても不思議ではありません。 それに時々居るんですよ、『 勇者の生まれかわりだ! 』 って言い出す人間が 」
俺は異世界から来てる本人だしその辺は否定しない、それにこっちでも居るんだね、自称生まれ変わり。
俺が生きていたのは大昔のことだから名乗ってもいいんだが、気になるのは本屋で読んだ本の内容だ。
事実を伝えずに都合の良い所だけを抜き出して本にするのは良くある事だ、子供向けの絵本ならその傾向は強い。
んでも、ラナや白川さん、河原君について書かれてる本を斜め読みしたが、俺に関する記載が全く無かった。
絵本だけじゃ無くその他の本も全部同じで、意図的に削除もしくは隠されてる感じだ。
隠した方が良いような事をやったつもりは無いんで、気にし過ぎなのかもしれないが。
それに、面倒なことはノーサンキューだ、今回はこのままノンビリしたい。
3人とも良い笑顔だしな言っても大丈夫かなとも思う、クロエさんはまだ地面とお話し中だけど。
「 私は万丈、波乱万丈。 その記憶を持っている 」
クロエさんの身体がブレたと思ったらゴイ~ン バリッって音がして、次の瞬間小屋から離れたところでクロエさんが地面に倒れてた。
何がおきたのか見えなかったがクロエさんが倒れてるのは見える、左足が無くなってるし、身体中から煙も出てるし、服が焼け落ちて肌は炭化してるところも在る。
「 2人ともクロエを拘束しなさい! 」 致命傷だから治療が先だと思うんだが。
マリアさんは、マライアとマルセラに指示を出しつつ、マリアさん自身も魔法を使ってる。
地面から出てきた植物の蔓がクロエさんを拘束して地面に固定した。
3人掛かりで拘束したからだろう、クロエさんの首から下は緑色のまん丸なミノ虫みたいになってる、マリモに近いな。
「 コレが結界の効果ね。 凄いのは判ったけど、クロエさんを手当しないと 」
「 構いません! 波乱様を襲おうとしたのです、このまま命を落としたとしても、当然の罰です! 」
「 いやいや、そこは助けようよ。 どうして襲おうとしたのか理由も聞きたいし 」
どうやら俺はクロエさんに襲われたらしい、んで、結界に助けられたと。
全く見えんかったけどな。
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「 信じられない。 そんなこと、信じるわけが無いでしょう? 」
「 そう言われても事実だからな。 信じる信じないはクロエさん次第になるね 」
クロエさんの治療は無事終了、と言ってもマリアさん特製ポーションを振りかけただけだ、3人には反対されたけど押し切った。
「 『 黒エルフは裏切り者 』長い間そう言われ続けきた。 あなたにその気持ちがわかる? 」
「 判らない 」
黒エルフはもともとハイエルフだったんだけど、俺に騙されて黒エルフになったとクロエさんは主張している、黒エルフは全員そう考えているんだと。
んで、俺を襲った理由を確認したんだがこれが良く判らない、ハイエルフと黒エルフで俺の評価が全く違っているのは理解した。
「 私たちの祖先は魔素の嵐から命を守るため、魔素を防ぐ魔道具を渡された、あなたからね! 嵐が過ぎ去ったあと、魔道具を止めたけどその時にはもう肌は黒くなっていて、何をしても元に戻らなかったの! 」
何回洗っても、擦っても、皮膚を剥いでも元に戻らなかったんだと。
「 それはあなた達の意見でしょ! 波乱様はそんな事していません! 」
「 そうです! 」
「 兄様はそんな事しません! 」
3人が俺のを擁護してくれてるのが嬉しい。
ハイエルフと黒エルフ、どちらも確証が無いらしく、話は平行線のまま5000年が過ぎたと言うことらしい。
「 クロエさん、その言い伝えは間違ってるよ。 魔素は遮断できないし、そんな魔道具は無い 」
「 そんな事は無いわ! だから私の肌は黒いの! 」
「 事実だよ。 魔素を防ぐ方法を皆で探したんだけどね、見つからなかったんだ。 昔の資料、今では超古代文明になるのか、その資料でも魔素を防ぐ方法は無かった 」
「 超古代文明でも出来ない事を、あなたは出来ると言ったのね! 」
「 魔素を防ぐ方法があるんなら、俺はもっと生きられただろうね。 無かったから、召喚されて5ヶ月で命を落とした、6ヶ月だったかな? 」 最後の方は記憶がハッキリしないんだよな。
「 何を言っているの? あなたは300年間暴れまわって、私達黒エルフを迫害したのよ!? 」
「 クロエさん、人間はそんなには生きられない 」
「 ・・・・・・ 」 いま気が付いたって顔しない。
「 そこから間違ってるよね? 俺、今も昔も人間なんだが 」
もう少し詳しくお話しよう、少なくともデマを拡散した奴を特定しないとな。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。