素材の調達
初投稿となります、よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
天候不順が続いていまんで、みなさんも偏頭痛に注意して下さい。
・変なことに巻き込まれ色々あって一度死んだんだが、少年に召喚され蘇る。 カリウス家の家庭内トラブルに関与する。
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魔道具用の金属を買い付けるためカリウス家の馬車で商業ギルドへ移動中、護衛のクロエさんも一緒だ。
俺は馬車に乗る前に家令さんから受け取った手紙を読んでる、カリウス様からの手紙だそうだ。
「 それで、侯爵様は何をお願いしてきたの? 」
「 剣の材料なんだけど、10本分じゃ無くて50本分用意してくれって 」
「 50本? そんなに作ってどうする気なのかしら? 」
「 戦争するには少なすぎるし、邸の警備用にしては多過ぎですよね 」
手紙は畳んで服に入れておく、カリウス様が何を考えているのかイマイチ良く判らんが、依頼は依頼だしな。
ギルド長に案内されたのはギルドの裏にある倉庫の一つ、開けて貰った扉を抜けた先には素材が山の様に積まれている。
ディスタンドから問題無く輸出はされている様だから安心したが、ちょっと余り過ぎじゃなかろうか。
「 こちらに在りますのが、王家より払い出されたディスタンド製の素材になります 」
「 確認しても? 」
「 ご自由にどうぞ 」
色違いの素材の山が4つある、インゴットが4種類、一番近い所に在った銀色のインゴットを手に取る。
「 軽いな 」
「 そうなの? 」
アルミよりも軽い不思議素材なんだが、クロエさんは興味がなさそうだ。
次の赤いインゴットも軽い材質は不明、その次の赤いインゴットは鉄鉱石だろう、匂いが鉄っぽいし。
最後の銀黒のインゴットは不明だ、めっちゃ重いからタングステンかレニウムかトリウムの可能性も在るか、青い光は出てないからウランではないと思いたい。
「 クロエさん、剣って一本何キロ在るんですかね? 」
「 形と長さで変わるからね、決まった重さは無いんだけど 」
カリウス様の手紙に50本分を用意しろって書いて在ったけど、1本の重さが判らないと素材を何キロ用意すればいいのか判らん。
合金だったら配合比率があるから単純に重さだけじゃ判らんし、完全にお手上げなんだがどうするか。
「 マリオン様、足りないよりは多い方がよろしいかと 」
俺が悩んでいると家令さんがアドバイスをくれたんで、遠慮なくいくとしよう。
「 値段次第ですが、全部を100kgづつ頂いておきましょうか。 納入先と支払いはカリウス様でお願いします 」
「 お買い上げありがとうございます 」
細かい打ち合わせは家令さんとギルド長に任せて、俺はクロエさんとギルド内を散策。
ちょっとした物販コーナーが在ったんでハチミツを購入する、うちの女性陣は甘い物が好きだし。
コーヒー豆を見つけたんで一緒に買っておく、久しぶりにコーヒーが飲めそうだ。
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「 お父様の体調が良くならないんだけど! 」
カリウス邸の玄関の前で馬車から降りると、アンナ様が待ち構えてた。
せめてお茶を飲んで一服するまで待てないのかね。
「 最初に申し上げたはずですよ、治癒の魔道具を使うのには習熟が必要だと 」
「 それでも、少しは良くなっても良いんじゃないの! 」
「 それは使い方が悪いんでしょうね 」
「 私はしっかり使えているわ! 」
フォリア様が俺たちの間に割って入り、何とか応接室へ移動、やっとお茶になった。
「 それで、素材の買い付けは上手く行ったのかしら? 」
「 カリウス様が希望されていた、魔剣50本分は量は購入できたと思います。 それなりの量になりますので、保管場所の準備をお願いします 」
「 保管場所ね。 倉庫の準備をさせておきましょう 」
「 お父様の治療の事なんですけど! 」
気持ちは判るが落ち着いて欲しい、軽度の胃潰瘍か胃炎だろうし。
んでも、俺も前の身体の時は毎日ポーション飲んで誤魔化してたし、何とかしてやりたいとは思う。
アンナ様は人体の構造については渡しておいた魔道書で勉強済みらしい、教育の一環として食用の動物の解体もしてるから気持ち悪くはならなかったんだと。
「 この魔道具壊れてるんじゃないかしら! 」 んな事は無い。
アンナ様が文句を言いつつ治療の魔道具をイジリ始める、フォリア様は笑ってる。
今日のお茶菓子は一口サイズの揚げたドーナツ、今なら油まみれのお菓子でも美味しく頂ける。
胃が元気だと何でも美味しく頂けるのが嬉しい、前の身体じゃカツ丼が半分しか食えなかったしな。
「 お替りをどうぞ 」
「 ありがとうございます 」
「 ちょっと、いいですか? 」
「 あ! 」
お茶のお替りを入れてくれたメイドさん、まだ若いのに前回来た時には手が荒れてたけど、今日はスベスベだ。
「 これはアンナ様が治療してくれたんですか? 」
「 はい。 お嬢様に治して頂きました、 」
メイドさんの両手をスリスリして確認する、真っ赤になってるけどこれは治療の確認で、やましい気持ちはこれっぽっちしかない。
「 綺麗に治ってますね。 これなら次の段階に進んでも良さそうですね 」
「 どういう事よ! 」 イチイチ絡んでくるアンナ様がウルサイ。
「 治療の魔道具を使うには習熟が必要です、それは説明しましたよね? 」
「 それがどうしたの! お父様の病気が治らなければ、意味は無いのよ! 」
メイドさんの手で俺の両耳をふさぐ、ノイズはカットできるし温かくて柔らかいんで癒し効果は抜群だ。
フォリア様も笑ってるし問題は無いだろう、子供の甲高い声は頭の芯に響くしな。
「 アンナ! マリオン君が困ってるじゃないの 」
「 じゃあ、私のイメージが違うって言うのね! 」
「 そうだと思いますよ。 まぁ、カリウス様に症状を確認しないとハッキリしませんが 」
最悪腫瘍が出来てる可能性はあるが、その場合は胃を丸ごと切除してウルトラポーションを振りかければ何とかなるだろう。
痛み止めが無いから我慢してもらう事になるけどな。
「 マリア様の治療イメージだと、胃の外側か、全体を治療していることになるかと。 カリウス様は胃の内側が荒れているはずですから、内側を治す感じが良いと思いますよ。 胃袋ですからね 」
「 ・・・・・・ 」
理解しやすい様に紙に胃の断面図を書いて説明したから、判ってくれたと思うんだが。
深い切り傷だったり刺し傷だったり、治す傷が深い場合は表面から治すんじゃ無くて深い方から治す、体内に在る太い血管を意識する事なんかをアドバイス。
その方が少ない魔力で治るとはず、少なくとも胃全体の表面をイメージするより治り易いと思うんだ。
「 メイドさん達の在れた手を治して練習したのは見事です、このまま練習を続けて行けば十分使える様になりますよ 」
「 ・・・・・・お父様が帰宅されたらやってみるわ! 」
言い捨てて去っていくアンナ様、なんで俺は怒鳴られてるんだろう、意味不明だ。
「 それはそうとマリオン君、剣以外の素材を集められないかしら? 私もいろいろ考えてるのよね 」
「 植物や動物の生態系が、5000年前とはかなり変わっています。 可能でしょうが、準備が必要だと思います 」
「 必要なものはなに? 協力は惜しまないわよ 」
「 そうですね。 ではお借りしたい物が在ります 」
魔道具製造の魔道具はモニター部分が着脱可能だ、俺がそう設計したからな。
鉱物系や金属系の素材と違って植物系の素材は名前が変わり易い。
写真と特徴を採取する現地で見られるように、モニタを外して持ち歩ける様にしておいた。
こうしておけば現地でも確認できるから、名前が変わっても調達しやすい。
明日は薬師ギルドと商業ギルドで素材を探してみる予定、足りなかったら冒険者ギルドで依頼を出す事になるだろう。
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「 マリ。 明日はみんなでピクニックだからね。 早めに寝なさい 」
「 はい、ママ 」
マリアさんが俺の布団を掛け直してくれる、最近は涼しくなってきたから風邪に注意しないとな。
フォリア様からモニタを借りた翌日に薬師ギルドと商業ギルドに行ったんだが、両方のギルドでは必要なものは殆んど無かった。
さてどうしようかと思ってたんだが、マリアさんが助け船を出してくれた。
「 これなら見た事があるわ。 こっちも、これも見たわね 」
「 ママ、どこで見たの? 」
「 王都からちょっと離れた森の中ね。 エルフの結界で囲んでいるから、誰にも見つかっていないはずよ! 」
「 結界! 凄いね! じゃあ、そこまで素材を取りに行ってもいい? 」
「 ん~~~明日にしましょう。 明日みんなでピクニックに行って、そのついでに寄ってみましょうか 」
エルフの結界と保護された森、楽しみだな。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。