メイド長再び
初投稿となります、よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
天候不順が続いていまんで、みなさんも偏頭痛に注意して下さい。
・変なことに巻き込まれ色々あって一度死んだんだが、少年に召喚され蘇る。 王妃さま依頼の解読を始めたんだが、カリウス家の次女に睨まれてる。
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「 御主人様も奥様も最近は忙しく、お嬢様とのお話しするのは朝食時のごくわずかな間だけでございます。 お嬢様は聡明なお方ですので我がままは申しませんが、お寂しい思いをされていらっしゃるようで 」
少し申し訳なさそうなメイド長。
「 それが僕のせいだと。 ”聡明な”お嬢様はお考えなのですね? 」
「 ・・・・・・ 」
申し訳なさそうなメイド長。
俺の事をにらみつけてたお嬢様はもういない。
「 最近、ご主人様はお帰りが遅くなることが多く、夕飯を召し上がらないことが御座います・・・ 」
カリウス侯爵は夜食を食べないで酒だけ飲んで寝る日が在るんだと、寝不足と食欲不振で体調が悪いと。
気が付くとお腹に手を当ててるって言うから、胃炎か胃潰瘍だと思うがね。
フォリア様のお肌も荒れ気味らしいと、こちらも寝不足だな。
「 なるほど。 すべてが私の影響だと考えていると 」
「 聡明なお方ですのでワガママは申しておりませんし、カリウス家のためになると理解していらっしゃると思うのですが 」
メイド長も、メイド長の後ろのメイドさん2人も申し訳なさそうだ。
「 お嬢様は何歳でしたっけ? 」
「 今年で13歳におなりです、貴族としての教育はお受けになっています 」
俺がカリウス家に求めているのは後ろ盾、マリアさんちの安全保障のためなんで、カリウス様が倒れたら今までの苦労がムダになる。
だから俺は、カリウス様の体調も治して、お嬢様の(次の当主)のご機嫌も取らなきゃならんと。
面倒だな。
「 あなたのお願いは理解出来ました。 カリウス様の体調不良は、我が家にも影響が大きいそうなんで何とかしてみます 」
「 お聞き入れ頂きましてありがとうございます。 それで、メイド服についてですが・・・・・・ 」
それも在ったのか、忘れてた。
「 そうですね、もう20cm短くするようにお願いしてみますよ 」
「 それは! 」
後ろでメイド長が固まってるけど知らん。
自己管理が出来ない侯爵様とワガママ娘の八つ当たりに対応するんだ、こちらの要望にも応えて貰わないとな。
労働には報酬が必要なのだよ、もっと若いメイドさんに着てもらうけどな。
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部屋に戻ると3人で歓談してた、ソファに向かって歩いてる時にふと見ると、カリウス様は胃のあたりに手を当ててる。
俺も前の身体の時は胃潰瘍だったし何とかしてやりたい、カリウス家内のコミュニケーション改善も一緒に出来ればなお良い。
でだ。
「 カリウス様、魔道具製造魔道具で何か作りましたか? 」
「 いや、何も作っていないと思うが 」
「 そうですか・・・・・・定期的に稼働して、故障個所を確認した方がいいんですが 」
「 そうなのか、ではこれから何か作れるかね? 」
「 判りました。 良いアイディアが在ります、アンナ様も同席して頂きたいのですが 」
ちょっと意外そうなカリウス様と、そうでもないフォリア様。
「 あら。 何をするのかしら? 」
「 まぁ、後のお楽しみってことで 」
「 フフッ、今度は何を作ってくれるのかしら? 」
怪しく微笑むフォリア様が黒いよ。
「 こちらになります 」
完成した魔道具をカリウス様に渡す、作れる数に限りがあるんで今回は武器じゃない。
「 治癒の魔道具ですね 」
「「「 !!! 」」」
驚いたカリウス様が治療の魔道具を落としそうになった、フォリア様とアンナ様は固まってる。
メイドさん達も固まってるな。
「 魔石が貴重なので、魔力タイプを作ってみました。 動作確認はアンナ様にお願いしてもよろしいですか? 」
「 危険は無いんだな? 」
作りたての魔道具には使用者制限が無い、最初に使用した者の魔力パターンでロックするように作ってある。
カリウス様が反対しなかったのは、それを覚えていたからだろう。
「 治療の魔道具ですからね、危険は在りませんよ。 ではカリウス様こちらへ 」
メイドさんに用意してもらった椅子にカリウス様を座らせて、アンナ様を呼ぶ。
アンナ様にはカリウス様の背中側、椅子の背もたれの後ろに立ってもらって魔道具の説明をする。
「 アンナ様、こちらは治療の魔道具になります。 魔道具に込めた魔力の分だけ傷を治します 」
「 ・・・・・・ 」
アンア様の目が冷たい、ひょっとして俺はもう呪われてるかも知れん。
「 魔力を込めた分だけケガを治します、大きなケガほど沢山の魔力が必要です。 自分の魔力を使いますので、魔力は少しずつ込めるようにして下さい 」
「 ・・・・・・ 」
「 判りましたか? 」
「 ええ! 一度聞けば充分よ! 」
カリウス様は肩コリが在るらしいから、使い始めの訓練にはちょうどいいだろう。
治癒の魔道具をカリウス侯爵の右肩に近づけ、魔力を込めるように指示。
魔道具に淡い光が点き侯爵の肩も光り始める。
光は右肩全体に広がり、最後まで光っていた腕の付け根の光も消えた。
「 カリウス様、肩の調子はどうですか? 」
「 ちょっと待て 」
立ち上がって腕をユックリ動かす。
「 片の痛みが無い! 」
グリングリン腕を回すカリウス様、スゲー驚いてる。
「 さっきまで痛みで腕が上がらなかったのに、今は何ともない! 」
「 ホントなのカリウス?! 」
「 お父様! 」
フォリア様とアンナ様が、カリウス様の肩をペタペタ触ってる。
腕が上がらないって事は。
「 50肩か・・・・・・ 」
「 50肩? それはどんな病気なのかね 」
「 病気ではありません。 50歳くらいの男性は肩を痛めやすいんですよ、それで50肩って言われるんです 」
「 私はまだ50歳になっていないんだが? 」
「 では、40肩ですね。 50肩の次になり易いのは40歳って言われてますから。 ご心配なく、単なる炎症で病気ではありません 」
「 これ・・・・・・本物だったのね? 」
「 そうですよ 」 アンナ様は疑ってたと。
ポーションは便利だが使い勝手が悪い。
封を開けたポーションは短時間に劣化してしまうため、小さな傷でも1本使う事になる。
擦り傷や小さな傷はポーションを少しだけ使えばいいんだが、劣化してしまうため結局1本使う事になる。
金持ちや貴族でも我慢する事が多いんだと。
「 治療の魔道具の良い所は、小さな傷でも治療できること。 悪い所は魔力が無くなったら治療出来ない事と、使うのに慣れが必要になることですね 」
「 凄いわ! 肩凝りが無くなったわ! 」
俺の説明を聞きながら治療を受けてたフォリア様が喜んでる、大きいからねフォリア様、肩もこるだろう。
「 アンナ様、魔力は残っていますか? 」
「 ええ、大丈夫。 まだ半分残ってるわ 」
「 ちょっと魔力を使いすぎですね、肩コリならもっと少ない魔力で治療できるはずです。 私はアンナ様のMPを知らないんであれですけど 」
「 そうなの? 」
「 この魔道具は使い慣れる必要があるんです。 あと、人体の構造も勉強する必要があります 」
「「「 人体の構造? 」」」
コイネさんに持っててもらった、解読しておいた魔道書の ”水”と”光”を手渡す。
「 これは何? 」
「 魔道書の翻訳版です。 人体の構造について書かれている所を勉強して下さい、そうすればもっと少ない魔力で治療が出来ます 」
「 そうなの 」
「 あと練習も必要です。 人体の構造を勉強して、効率良く治療できるように練習して下さい 」
「 判ったわ。 そうすれば、お父様とお母様を治せるのよね? 」
俺は頷きながら答える。
「 そうです。 肩コリは病気ではありませんが、毎日治療した方が楽ですからね 」
「 そうするわ 」
「 治癒の魔道具が、本当に存在していたとはな。 これは大事になる 」
「 そうね・・・・・・私もそれとなく女王様に話してみるから、あなたもお願いね? 」
カリウス様とフォリア様の顔色が悪い、さっきまでスゲー喜んでたのに。
「 くれぐれもMPの使い過ぎには注意して下さいね。 あと、誰かを傷付けて練習するのも厳禁です 」
アンナ様、あんたに言ってるんだからな。
「 判っています。 そんな事しませんわ 」
「 自分の身体もダメですからね? 」
「 ・・・・・・ 」 やるつもりだったな、コイツ。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。