お茶会にて
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって一度死んだんだが、少年に召喚され蘇る。 侯爵様の奥様主催のお茶会に出席中。
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「 マリオン君があんな目に遭ったでしょ。 マリアは心配なのよ 」
味方を増やして俺たちの安全を確保しようとしてるらしい、手始めにカリウス侯爵家とその派閥、冒険者ギルド、薬師ギルド。
マリアさんが新しく作れるようになったポーションは、その価値が在るんだそうだ。
「 でもね~、マリオン君が古代文字を読めるって判っちゃったんでね、もう少し何とかしておかないと、って思ってね 」
「 お兄様が狙われているんですか!? 」
「 大丈夫だよマルセラ、そんな事じゃ狙われないって 」
『 そうなのですか? 』 って顔してるんで、服に付いたお菓子の欠片を払ってあげる。
俺より50歳年上の妹に心配は掛けたくない、良くわからん状態だが。
「 家にはギルドから派遣されてた魔道具師が居たんだけど、昨夜から行方が判らなくなってるの 」
「 じゃあ、予想してた通りになったのね? 」
マリアさんが目を細めてる、見た事の無い表情なんだが。
派手な服着てたおっさんが魔道具師だったらしい、魔道具製造魔道具を下賜される時、魔道具ギルドから管理者として派遣されてきたんだと、かなりの高給で。
んで、ほとんど何もしてなかったらしい、魔石もセットされてなかったから魔道具が動かないのは確実だし。
管理者は王家が指定してるんじゃなくて、魔道具ギルドが慣例として派遣してくるんだそうだ、特殊な魔道具だからギルドが定めた特別な技術と免許が必要だと主張して。
それが姿を消したと、俺が魔道具を扱えたり古代文字を読める情報は、魔道具ギルドに伝わってるとみるべきだそうだ。
魔道具ギルドが既得権を守るために、なんかして来るって3人は心配してるみたい。
「 だから、早めに手をうたないとね 」
「 何か手は在る? 」
「 任せてマリア。 手はうってあるからわ 」
そう言って優雅にお茶を飲むフォリア様、マリアさんはちょっと心配そうだ。
俺としては、アップルパイにはシナモンは入れないで欲しい。
「 待たせてしまったかしら 」
テーブルに近づく女性が視界に入った。
「 お久しぶり! クレマチス 」
立ち上がって出迎えたマリアさんとクレマチスがキャッキャしてる、アラフォーとアラフォーハンドレッドが、これはお約束なのか?
「 この方がクレマチス様、この国の王妃様よ 」
マリアさんが俺たちに紹介してくれた。
「 へ~ 」 王妃様なんだ、一礼しておこう。
「 お兄様。 王妃様って偉いんですか? 」
「 この国の制度では上から2番目になるのか、な? 」
1番は王様だよな、継承権は国によって違うんでなんとも言えないが。
「 偉い人の前だからお菓子をこぼすのは止めようか、お行儀悪いよマルセラ 」
「 これは、お兄様と合法的なスキンシップの為にやっていますの。 いつもはもっとお淑やかですわ 」
「 食べ物を無駄にする子は嫌いだな 」
慌て始めたマルセラ、この世界に3秒ルールは無いから落ちた物は拾わなくていいと思う。
「 貴方がマリオン君ね 」 マルセラとコントしてたら、王妃様が近くに来てた。
「 初めまして王妃様、マリアの息子マリオンと申します 」
「 ・・・・・・ 」
無視ですか、なんかスゲー見られてるけど。
「 やっぱり無いわね 」
「 でしょう? 」
「 それで困っていたの 」
テーブルの空いていた席、お誕生日席はクレマチス様の席だった、マリアさんとフォリアさんと3人で悪巧みをしている、結論が出るまでは大人しくしていよう。
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「 リオ、ちょっといい? 」 クッキーを食べてたらマリアさんに呼ばれた。
「 なに、ママ 」
クレマチス様を正式に紹介されてないし、護衛は居ないし、王冠もティアラも無いからお忍びだろう、もしくはプライベートか。
注意されるまではこのままの口調で構わないだろう、注意されたら直すけど。
「 この方はクレマチス様、この国の王妃様でママのお友達よ 」 お友達?
一礼しておこう、自己紹介はさっき済んでるから省略だ。
クレマチス様とフォリア様は、小さい時にマリアさんに遊んでもらったんだと、2人は幼馴染か。
かなり前から実質的に王室御用達だったんだねマリアさん、んで久しぶりに会ったと。
「 彼女は鑑定の技術を持ってるの。 それでリオを見てもらったんだけど、やっぱり魔道具師や錬金術師に関係する技術が無いんですって 」
マリアさんは残念そうだが、自分のステータスは自分で見られるからな、無いのは知ってる。
「 もし技術があるんなら、王室で雇ってもらうつもりだったんだけどね~ 」
「 王家の直接雇用なら、手出しはされないでしょうし 」
「 でも、技術が無い者を雇うわけにはいかないのよ 」
王家で俺を雇ってもらって安全を確保するつもりだったと、でも技術が無いから雇用はできないと。
ダメじゃん。
「 それでね、カリウス家で魔道具師見習いとして雇ってもらったらどうかなって! 」
マリアさんのテヘペロは意外とカワイイ、歳はあれだけど。
「 あ~、それだと今までと変わらないのでは? 」
俺たちがお出かけしてる間の護衛として、クロエさんと兵士20人がマリアさんちを守ってる、お留守番とも言う。
マリアさん家の後ろ盾はカリウス家、もうみんなが知ってる気がするんだが。
「 あとね、カリウス家でお茶会を大々的に開こうかと思ってるの 」 フォリア様、今お茶会してますよね?
カリウス家でお茶会を実施する、大々的に。
同一派閥だけじゃ無く、対立あるいは敵対してる派閥も招待する、ただし当主の奥様だけ。
ここまでで、もう嫌な予感がするんだが。
お茶会は名目で、実際の目的は俺が古代の魔道具を操ってる所を見せること。
参加者には魔道具で作ったお土産を差し上げる、品質は確認済みだから喜ばれるのは間違い無し。
つまり?
「 奥様方にプレゼントをして、マリオン君の重要さを判ってもらう計画なの。 どう? 」
「 アイディアとしては素晴らしいかと。 ただ・・・・・・ 」
「 ただ? なにが気になるのリオ 」
「 かなりの金貨が必要ですよね? 」
「 それは私たちが居るから大丈夫よ 」
「 そうね 」
ダンジョン美容法と破砕弾でかなり儲けているらしい、マリアさんのポーションの手数料も入ってるみたいだし金銭的には全く問題無いんだと。
「 カリウス侯爵家の主催だけどね、私も出席するわ 」
「 上手く行けば、他の貴族も手を出してこないでしょう 」
やる価値は在る、そう思った。
「 マリオン君は絵本が好きだったのよね? 」
クレマチス様が後ろで控えるメイドさんに手を振った。
「 本は好きです 」 絵本は要りません。
「 これ読めるかしら? 」
クレマチス様がメイドさんから受け取った本を差し出す、大きさ的には絵本だが表紙にも背表紙にもタイトルは書いてない。
とりあえず開いてみるとやっぱり絵本だ、パラパラめくって文字だけ読む、絵は要らん。
「 ディスタンド建国の物語ですか 」 天然エルフ女王が見せてくれた表版だな、裏版じゃ無い。
「 そう、やっぱり読めるのね 」
「 ええ、読めますね 」
俺の頭をグシグシし始めるクレマチス様、まさか頭の中を見ようとしてるんじゃないだろうな。
んでも、鑑定でも見えないのに読めるってことは、知識として脳に書き込まれたんだろう。
脳内の情報を読めるのはテレパシストかサイコメトラーだけ、鑑定じゃ無理だ。
「 黒髪と黒目だから召喚者様かもって思ったのだけど、違ったしね 」
俺は過去から召喚されたんだが、”召喚者”にはならないようだ。
「 この色は珍しいんですかね? 」
「 そうね、黒髪と黒目は召喚者様だけじゃないかしら。 召喚者様の御子孫でも黒はめずらしいわ、あってもどちらか片方だけみたいだし 」
”召喚者” の定義は判らないけど目立ってるのは判った、外を出歩く時は帽子をかぶることにしよう、カラーコンタクトは探すだけ無駄だろうな。
そろそろ頭グシグシは止めて欲しいんだが。
「 それじゃ古文書の解読をお願いしようかしら! 」
「 解読ですか? 」
「 ええ解読。 色々あるのよお城に、なかなか進まないのよね、あれ 」
「 なるほど。 判る分だけでよければ、やってみようと思います 」
「 もちろん判る分だけよ、判らないのは読めないものね! 」
ホントにそろそろ頭から手を離して欲しい、グシグシがワシワシになってきてるし、頭を割られそうで不安だ。
フォリア様が順番待ちしているように見えるのは気のせいだろう。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。