ダンジョンの異変
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって一度死んだんだが、少年に召喚され蘇る。 ダンジョン美容法へ参加中。
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アンナ様が俺とクロエさんに一礼して、ダンジョンの入口へと戻っていく。
11って言ってたから、予定の10レベルアップは完了したようだ。
「 残りが少ない、 2階へ移動した方が良いだろう 」
「 判った。 次の階段へ移動する、1階の掃除を始めろ 」
冒険者の恐らくリーダーの報告を受けて、次の階へ移動する決定を下した騎士隊長。
階段で待機中だった騎士たちが移動を開始する、後ろからきた兵士たちが1階へ散っていく、残った魔物の処理分隊だな。
盾と剣を持った騎士を先頭に、タワーシールドを2人一組で持って移動していく、地下への2階の階段を確保する分隊だ。
魔石が無い状態だと魔物のリポップに2~3日掛かるそうだ、だから掃除が終われば階段を確保するだけで安全なんだと、リポップの期間が長すぎる気がするが。
「 1階を制圧後に、2階の階段へ移動します 」
「 判りました 」
素直にお返事しておこう、ダンジョン内では騎士団長の指示に従う事、ダンジョン美容法の大原則なんだそうだ。
地下5階、最下層のゴブリンを刈り尽くして、ゲスト8人のレベル上げが完了した。
ここにいるゲストは2人、5人は終わった時点で護衛付きで地上に向かったから、残ったのは騎士団長と兵士会わせて30名弱。
んで、俺とクロエさんもいたりする、俺製クレイモアの試験が目的。
「 ダンジョンコアに異常なし。 よし、撤収するぞ 」
ダンジョンコアを破壊するとダンジョンが無くなるんで、毎回無傷なのを確認するんだと。
破砕弾を使ってるから、気をつけてても不測の事態もありえるからな。
騎士団長が撤収を指示すると全員が地下4階へ移動を始める。
「 マリオン殿、クレイモアは使い方を選びますね 」
「 ですね、いつでも使えるもんじゃ無いです 」
「 防衛戦や待ち伏せに使えば、効果は大きいでしょう 」
「 もともと、それを想定して作りましたからね 」
帰り道は団長と雑談しながら歩く、クロエさんは俺と手を繋いで隣を歩いてる、利き手じゃない手で手を繋いでるのはさすがだ。
俺たちの後ろには最後まで残ったゲストの商人の奥様が2人、侯爵家派の大が2つ位つく有名な商人の奥さまなんだと、興味ないけど。
先頭をいくのは冒険者、周りは騎士と兵士が固めてるんで俺は気楽なもんだ。
参加してる騎士と兵士の半数が女性、万が一が在ると不味いんだと。
奥様やお嬢様を預かる都合上、万が一のケガだけじゃ無く、不貞や不倫に発展する万が一にも気を付けてるそうだ、侯爵様は気配りが出来るタイプらしい。
「 マリオン君はどうして参加したのかしら? 」
「 そうよね。 そんなに若いのに 」
「 僕は侯爵に勧められて、レベル上げの為に参加しました 」 あとデータ収集目的な。
「 侯爵様とは親しいのかしら? 」
「 母が薬師をしておりまして、納品の関係で何度か 」
「 薬師ですの? もしかしてお母様の名前はマリアさん? 」
「 はい、そうです 」
あら~とか、なるほどね~って奥様2人が納得してる、薬師としてマリアさんは有名らしい。
オマケに男性の参加者は俺が初めてだって言うし、珍しいのは判るけど俺をオモチャ扱いするな。
おじさんは既婚女性には興味ないんだ。
「 隊長。 そのうち手持ちタイプを作ったら、使ってくれます? 」
「 あれを槍の先にでも取り付けるのですか? 」
「 いえいえ。 もっと別なのを考えてます 」
銃も考えたんだが射程は短そうだし、威力も中途半端になりそうだし、単発式だと数を揃えないと効果がなさそうだ、兵器は数がないとな。
今は魔物と戦うのが忙しくて国同士が争う余裕が無いんだと、ある意味平和なんだが生活は苦しいそうだ。
だれでも扱える、強い魔物用の兵器を考案した方が需要が在りそうなんだよな。
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目眩がした、突然だった。
地下3階を歩いてて目眩がしたんで立ち止まる、クロエさんが手を離してくれなかったら、たぶん引きずられてたな。
「 ごめん、クロエさん。 ちょっと目眩が・・・・・・クロエさん? 」
「 ・・・・・・隊長、急いだ方が良さそうね 」
剣を抜きながら隊長に話し掛けるクロエさん。
「 そのようです。 皆さん少々急ぎましょう、走りますよ 」
商人の奥様がたが走るスピードに合わせてジョギングする、シールドは4人掛かりで運び始めた。
小規模ダンジョンだから、脇道も少ないし小部屋は無いし楽なもんだ、しばらく走ってると小隊長が振り返った。
「 あの角を曲れば、2階への階段が見えます 」
その角で先頭の冒険者が達が止まってる、角からコッソリ様子をうかがってるようだ。
冒険者の1人が隊長を手招きしてる、静かにしろってジェスチャーもしてるんだが。
「 全員静かに、動くな。 ゲストの安全を優先 」
言い終えた隊長は冒険者のとこに向かった、何が起きてるようだ、隊長のあとを付いていけば確認できそう。
んでも、クロエさんに捕まった。
「 離れないでね 」 い~い笑顔だ、言われた通りにしておこう。
隊長と冒険者の1人が戻ってきた、表情が硬いな、良い話では無さそうだ。
「 2階へ上る階段の前にゴブリンが居ます 」 じゃあ、倒せばいいじゃん。
「 通路一杯にゴブリンが居ます、一部は上位と思われる個体も確認出来ました 」
「 それで? 」
「 数が多過ぎます、こちらに来られたらゲストを守りきれません 」
とは言ってもな、こんなとこでノンビリしてても状況は改善しないし、突破するしかないだろ。
「 破砕弾で蹴散らせませんか? 」
「 残りは6発です。 ここを突破できてもその先でどうなるか、無駄使いは出来ません 」
腰のポーチから、お手製の破砕弾を取り出して隊長に渡す。
「 私が作った物でよければ、私が2発、クロエさんが4発持ってます。 効果は保証します 」 魔薬がマシマシでっせ。
「 ・・・・・・ 」
「 魔物は階段を登れないわ。 通路の真ん中で待機するより、階段まで退避した方が安全よ 」
「 ・・・・・・大規模ダンジョン経験者がおっしゃるのなら、そうなのでしょう 」
クロエさんの一言で騎士隊長も覚悟を決めたようだ、経験者の意見は重要だからな。
「 大きさが違うので破砕弾射出機は使えません、手で投げることになります 」
さっきまで使ってた破砕弾より大きいし、中の魔薬のグレードも高い、有効半径は20mあると思う。
火薬とは違うのだよ。
全てのゴブリンは、2階へ続く階段に居る兵士の方を見てるんだと。
騎士と兵士の4人が手分けして、奴らの背後と中央付近へ俺お手製の破砕弾を2発づつ投げ込む、角から出て投げ込むんで気付かれ無いようにコッソリ投げる。
手持ちのシールドは12枚、3階~4階と4階~5階の階段の、登り口と降り口を確保してた分だ。
5枚づつで前後に壁を作ってユックリ移動する、2枚はここに置いていく。
シールドの隙間から槍を使って倒しつつ階段まで向かう計画、他に方法は無いだろう。
「 導火線の長さは? 」
「 だいたい5秒です 」 正確には判らん。
シールドで壁を生成した、破砕弾投擲担当は音がしない様に鎧を脱いで待機中、槍を装備している兵士が前後に分かれて準備完了。
俺はクロエさんの隣で隊長の後ろ、俺達の後ろにはゲストの2人、その周りを剣を構えた騎士と兵士が囲んでる。
しょせんゴブリンなんだし、上位個体が居ても数が多くてもなんとかなるだろ。
「 始めろ 」 隊長は隠れてて投げないんだな、ズルくないか。
爆発音を4回確認したんで移動開始、俺のお手製だからな破壊力も音もさっき迄とは違う、待機してる角の壁にもゴブリンの破片が飛んできてるし、かなり倒せたんじゃないか。
でも角を曲がって思い出した、階段までまだ150mあるんだよ、しかもミッチリとゴブリンが残ってるし。
「 これ、何匹居たんだ? 」 それでも進むしかない。
クロエさんが俺とつないでる手に力を入れた、手は汗ばんでるし表情も硬いな。
握り返したらこっちを向いたんで、笑顔を返す。
「 大丈夫ですよ。 俺達にはまだこれが在るんだから 」
左手に装着済みのライトアロー改良版を見せる、これは貫通力が在るから固まっててくれた方が効率よく倒せるんだよ。
「 行きますよ、クロエさん 」
クロエさんと一緒にシールドの隙間まで移動して撃ち始める、俺は左手でクロエさんは右手で。
盾と鎧を2組貫通するんだ、ゴブリンなら1発で5~6匹は倒せる。
「 後は任せろ! 」
シールドの隙間から、冒険者と剣装備の兵士が駆け出していく、お掃除タイムに入った。
立ってるゴブリンが10数匹になった時点で、俺もクロエさんもライトアローを撃つのを止めた。
18発しか撃ってないんでまだまだ余裕だ。
「 床で生き残ってるゴブリンにも注意しろ! 」
騎士隊長の号令も聞こえ始めたし、とりあえず地下2階の登りの階段まではたどり着けそうだ。
「 ほらね、大丈夫だったでしょ? 」
クロエさんに笑顔が戻ったな、まだ手は汗ばんでるけど。
「 これで何とかなりますね 」
「 そうね、一安心だわ 」
地下1階へと登る階段で休憩中、ここは安全地帯だってクロエさんが言ってた。
俺の後ろを見てから俺に向き直りニッコリ笑うクロエさん、地下2階の階段、その登り口を確認したんだろう。
振り返って見ると階段の登り口でゴブリンが止まってる、見えない壁があって前に進めないようだ。
「 何を落ち着いてるの! 前と後ろをゴブリンに囲まれてるのよ! 」
「 ゴブリンに囲まれてるわ・・・・・・どうしましょう! 」
奥様達が心配してるけど。
「 心配は要りません、奴らは階段に入れない。 もう安全ですよ 」
「 でもこの後どうするの!? まだ囲まれてるのよ! 」
そう見えるんだがそうじゃない。
「 ちょっと見る角度を変えましょうか、我々がゴブリンを包囲してるんですよ 」
「「「 ・・・・・・え? 」」」 隊長さんまで首を傾げてどうする。
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「 外の空気は旨いな~。 臭くないし最高! 」
「 そうね、臭いが身体中に染みこんじゃったみたい 」
クロエさんが革鎧の臭いを嗅いでるんで、俺も服の臭いを嗅いでみた。
だめだ臭い、だけど俺が臭いんじゃない。
おじさんは匂いには敏感なのだよ、魅力的な女性と自分の匂いには。
「 お風呂に入って、着替えましょう 」
「 髪にも染みついてるから洗ってあげるわね、マリオン! 」
拠点の兵士は200人で、ダンジョンに残ってた俺たち70人は地下1階と2階を繋ぐ階段で休憩してた。
ダンジョンの異変に気付いた残りの130人を率いる副隊長は、すぐに行動を開始。
ためらわずに地下1階へと突入、在庫の破砕弾を使いまくって(倉庫は地上にあるし)、地下2階を目指した。
破砕弾の炸裂音に気付いた隊長も行動を開始、地下1階のゴブリンを前後から挟み撃ちにしてアッサリ駆除。
「 なるほど。 包囲してるのは我々だったんですね 」
隊長さんが感心してたけど、落ち着いて考えれば気が付くと思うんだ、修行が足りないな隊長さん。
んで、俺たちはそれほど待つことも無く、安全に地上に戻ってきた。
「 無事に戻って来られましたね 」
「 隊長さんもお疲れ様でした。 異変に気づいて、早めに行動したのが正解でしたね 」
「 大規模ダンジョン経験者がいてくれて助かりました 」
クロエさんに頭を下げてお礼してる、素直なのは良い事だ。
でも途中で俺のライトアローの魔道具が壊れたんだよな、どうしよう。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。