ダンジョンの正しい使い方
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ色々あって一度死んだんだが、少年に召喚され蘇る。 魔力不足を補うため魔薬を試作したんだが。
|||||
カリウス侯爵夫妻が俺とクロエさんの前に座ってる、場所は侯爵家の応接室。
下水道についての御礼はシッカリ済んでる、取引の対価として受け取った物だが、利益を得たんだからビジネスマナーとしてな。
破砕弾は順調に量産中なんだと、主原料となるポーション用薬草の品質で威力が変わる様だが、実用性に問題なく、お抱え薬師で充分製造できていると。
火炎弾も作っているが使い道が無いらしい、石やレンガで出来てる建築物には効果が薄いだろう、少なくとも王都内で使う物じゃない。
でだ、俺はビジネスの話のつもりだったんだが、カリウス侯爵の奥様フォリア様がおみえになったところで、話しの方向性がおかしくなった。
「 ・・・・・・では、ダンジョンを美容のために使っていると? 」
「 ええ! レベルを上げると、肌にハリとツヤが出るのは判っていたの。 でもね、魔物を沢山倒すのは大変でしょ? だから今まで出来なかったのよ 」
腕で胸を持ち上げてアピールしてるフォリア様。
んでも、胸ってほとんど水と脂肪の塊だ、目一杯食べて太るだけで大きくなるし、詰め物もあるし。
それに比べて脚線美は努力の塊だからな、俺は脚線美を推したい。
「 今回君の発案した魔薬を使えば、多くのゴブリンを簡単に討伐できる。 御婦人方でも安全に、簡単にレベルアップできると言う訳だ 」
王都周辺にある小規模ダンジョンは全て5階~10階で構成されていて、出現する魔物はスライムとゴブリンとコボルトだけ。
訓練された兵士や熟練の冒険者には物足りないほどの魔物だが、女性、特に貴族の女性にとっては手強い魔物だ。
剣では距離が近すぎて危ない、槍でも不安、弓かボウガンの遠距離なら安心なのだが一撃で倒すのは難しい、そして弱い魔物なんで数を多く討伐する必要がある。
ここで破砕弾を使う事を思いついたようだ(誰だよ思いついたの!)、ダンジョン内の狭い場所を選んで待機、魔物を集めて盾で防いでいるうちに破砕弾を投げ込めば、一度に討伐できる・・・・・・んだそうだ。
「 ダンジョン美容法として、貴族の女性の間で流行っていてね。 もう70人の女性が体験済みなんだよ、効果は確実で即効性も在るからね 」
「 そうなんですか 」 ダンジョンでレベルを上げれば、男は逞しく女は美しくってか。
「 ・・・・・・ 」 クロエさんは沈黙してるな
ダンジョンといえば大規模ダンジョン経験者のクロエさんなんだが。
隣に座ってるクロエさんの太腿を触ってみる、確かにピチピチで瑞々しいのは確かだ、瑞々しいって言うよりムチムチいけど。
「 効果は在るのか・・・・・・ 」
「 すでに、3か月先まで予約で一杯だ。 今度は娘のアンナも受けさせるつもりでね 」
「 そうですか 」 娘さんは、もうシワで困ってるのか?
「 女はね、いつまでも若々しく美しくいたいものなのよ。 マリオン君も大きくなったら、女心が判るようになるわ 」
判りたいとは思わんが。
王都周辺の小規模ダンジョンは国が管理してる、でもカリウス侯爵様が作ってる破砕弾が無いと成り立たないんで、カリウス家が仕切ってるようなものなんだと。
今回のお呼び出しの理由はゴブリン美容法へのお誘いだった、娘が行くんで一緒にどうかと。
「 お誘い頂きありがとう御座います。 ですが、私はシワを気にする年では御座いません 」 遠回しなお断りだ。
「 それはもちろん判っている。 君の場合はレベル上げがメインになる、レベルは上げておいても損は無いだろう? 」
ハッハッハと笑うカリオン侯爵、俺は行きたくないって言ってるのを察してくれない。
ほとんどのおじさんは美容には興味が無い、レベルあげは、一部のおじさん以外は興味ないはずだ、俺は興味ない。
名 前:マリオン
年 齢:10
称 号:なし
職 業:調剤師見習い
レベル: 3
H P:20/20
M P:60/60
筋 力: 9/ 9
知 力:22/22
素早さ:14/14
器用さ:21/21
技 術:薬鑑定3 創薬3
ステータスを久しぶりに見たんだが上がってた、思い出せば、思い出したくもないが、神殿で2人倒してるんだよな。
創薬はイロイロやってたんで上がったのは理解できる。
「 マリオン、いい機会だから参加した方が良いと思う 」
急にクロエさんが話し出したんでちょっとビックリ、いつも護衛役に徹して黙ってたんで話すとは思わなかった。
フトモモに触ったのが不味かったのか。
「 こんな時代なんだ、レベルは上げておいた方がいい 」
『 どんな時代なんだ! 』 ってツッコみたかったけど、ちょっと顔色が悪くなってた(黒エルフだけど、一緒に暮らしてるんで判る)んで黙ってた。
クロエさんの目は冗談を言ってるように見えなかった。
「 レベルを上げると言うのはね、なにも美容のためだけじゃないんだ 」
参加を決めかねてる俺を決心させるためか、それともクロエさんを気遣ったのか、カリウス侯爵が話し始める。
「 襲ってくるのは魔物だけじゃないんだよ。 盗賊や強盗、貴族間の勢力争いもな 」
「 あなた! 」
止めようとするフォリア様と、まぁまぁってそれを抑える侯爵。
「 マリオン君は賢いから、大丈夫だろう 」
まぁそうですけど って引き下がるフォリア様は正しい、俺はおじさんだからな。
侯爵が言いたいのは、いつの時代でも一番怖いのは人間ってことらしい、それも正しい。
命が安い時代なんだそうだ。
マリアさんの許可が出たら参加するって事で、侯爵家を後にした。
「 途中から顔色が悪かったけど、大丈夫ですか? 」
帰りの馬車の中、ちょっと元気が無いクロエさん。
「 ええ、大丈夫よ。 ちょっとね、この間の事を思い出しちゃっただけ 」
テヘペロしてるけど、俺なら片手を食われた場所になんか行きたくない。
それと、俺を抱きしめるのは止めて欲しい、防具が硬いから痛いんだよ。
|||||
小規模ダンジョンへの向かう馬車の中、初めてみる王都の外の風景をボ~っと見てる。
山も川も平原も、どこにでもある風景だ、代わり映えしない。
「 マリオンは王都の外へ出るのは初めてだっけ? 」
「 ええ、初めてです 」
今日のクロエさんは、いつもと同じクロエさんだ。
顔色も良いし、使いこまれた革鎧も熟練の冒険者って感じ、スカートはいつもより長めだが膝上だ。
そろそろ露出狂を疑うべきだろう。
マリアさんの許可は簡単に出た、って言うより推奨された。
レベルを上げとけば、ケガで死ぬ可能性も下がるし病気への抵抗値も上がる、強盗や誘拐にあっても対抗できるからって。
一度そういう目に遭ってるしな、心配だったみたいだ、ただし、クロエさんを護衛として連れてくのが条件だった。
小規模ダンジョンは王都の周りに10個、そのうちの1つに向かってる。
馬車で2時間の道のりだが2泊3日の予定、ゴブリンをみっちり狩り尽くすのかと思ったら、貴族流のノンビリ日程なんだそうで。
「 今日は移動だけでしたよね? 」
「 ええ。 狩りは明日からの予定よ。 なんでも、1週間前から立ち入り禁止にして、ゴブリンを貯めてるんだって 」
「 そこまでする! 」
ダンジョンから産出される魔石は重要な資源だ、便利な暮しには魔道具は欠かせない、そして魔道具は魔石が無いと動かない。
魔素が少なくなってる状態なんで、回復まで時間が掛かる魔法ホイホイ使う事は出来ない、水は井戸から汲んできてきて、風呂はマキで沸かすんだ。
ゴブリンの魔石は小さいが、灯りの魔道具には十分な大きさだしコンロにも使える、それを1週間止めるのはかなりの損失になる。
事前の説明では、ゴブリンのリポップを速めるため魔石は放置するそうだし、損失は幾らになるんだ。
冒険者の日当も下がるから、経済のめぐりも悪くなりそうだ。
「 魔石の算出は11%落ちてるって。 女って怖いわね~ 」
「 ほんとに怖いですね 」 マジで恐ろしいわ
「 侯爵家や伯爵家の奥様達も半分は体験済みだそうよ、王妃様も体験済みで効果に驚いてたんだって 」
「 効果ね~。 やり過ぎて、ムキムキにならなきゃいいけど 」
「 ムキムキの王妃様のお尻に敷かれてる王様って、笑えない? 」
「 ・・・・・・笑えるけど笑えない 」 俺だったら嫌だ。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。