確保
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い舞台で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 異世界で、魔道具を改造出来る技術を手に入れる。 魔星破壊ミッションを発動。
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深夜 〔 01:05 〕 訓練場の片隅で魔星見物。
特製のビーチチェアに寝そべりながら、コーヒーとタバコでまったり。
ラナとメイドさんズ、白川さんとリナ、河原君も一緒に魔星を見てる。
虫が寄ってきてるんで、王都の結界が無くなったと実感した。
雨が降った事に驚いてる人も多いとか。
遠くに見える城壁では、灯りを持った警備の人影が見える。
これからは、夜も昼と同じ人数で警備するそうだ。
再起動は上手くいった。
出力が落ちたんで王都の結界は使えなくなった、魔石へのチャージは施設に影響無い範囲なら出来る。
試練の間への魔力回路は全て切断した、物理的に2度と使えないように。
神殿への回路も物理的に全て切断、元々何もしていなかったみたいなんで影響は無いそうだ。
再起動を待ってる間にラナと一杯話した、4時間はあっという間だった。
楽しかった。
少しだけ仲良くなれた気がした、お持ち帰り出来無いだろうか?
「 もうじき時間だな 」
「 そうですね、波乱様 」
「 そろそろっすか? 」
「 ああ。 ・・・・・・時間だ 」
衝突予定地点までは、ここから約2光分の距離がある。
つまり、結果がここまで届くのに約2分掛かる。
結果は出てるのに観測出来無いってのは、おかしな気分だ。
「 魔星が消えました! 」
考え込んでたら、ラナの明るい声がした。
真夜中なのに。
さっきまで魔星があった場所には、徐々に広がっていく光の幕がある。
まぁ、ガス状になった魔星と魔素なんだろうけど。
遠くから見ているだけなら、花が咲くみたいで綺麗に見えない事も無い。
「 撃破を確認、成功だな 」
「 !!! 」
「 やりましたね 」
「 おめでとうっす 」
ラナが抱き付いてきて、白川さんと河原君が喜んでるんだが。
衝突による滅亡から、魔物と魔素で滅亡する可能性へシフトしただけ。
忘れてるんじゃ無いだろうな?
何時もいつの間にか居る女王様、今は真面目モードだな。
でも、俺の後ろに立つな。
「 魔星が無くなりました・・・・・・ 」
「 そうですね 」
「 本当に星を落としたんですね 」
「 そうですね。 正確には ”壊した” ですが 」
「 では、魔力の嵐と氾濫が来るのですね? 」
「 そうですね。 間違い無く来ますね 」
「 ・・・・・・波乱様。 私の扱いが雑じゃ在りませんか!? 」
「 そうですね 」
身分が~とか、丁寧に話せ~とか面倒。
プルプルしてる女王様を置いて撤収、後はメイドさんに任せた。
俺は知らん。
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メイドさんの結婚式は無事終了、しばらく共働きになるそうだ。
アスターは室長に就任。
俺は施設内で隠居生活になった、療養とも言う。
「 室長! この魔道具は何ですの! 」
「 落ち着けアスター、室長はお前だ 」
いきなりアスターがやってきた、俺の療養生活はどこ行った。
「 些細な事はよろしいんですの! これですわ、これ! 」
「 めちゃくちゃ重い初期型の冷蔵保温庫だな。 部屋に在っただろ 」
ここまではマシンに運んでもらったのか、上手く使いこなしてるな。
「 ええ、室長のお部屋ですわ! なぜ魔石の属性を変えても動くんですの! 」
「 冷やせるし、暖めも出来るから便利だと思うぞ 」
「 そうではなくて! 」
ちょっと落ち着いて欲しい、たとえ若い娘でもツバをかけられるのは遠慮したい。
相手がおっさんなら殴って止めるけど。
アスターの胸に両手が当たってるけど、正当防衛だ。
アスターが言うには、魔石を交換するだけで、逆属性の効果が得られるのはおかしいんだと。
俺は魔法陣を作れないから判らんが。
「 そう言うけどな、目の前に現物が在るんだから否定出来ないだろ 」
片手をアスターから離して、パネルで魔道具関係の情報を検索する。
情報をまとめて本にしとけば帰ってくれるだろう、そしたらユックリ出来る。
なぜアスターが片手で止まってるのかは謎だ。
施設に記録されていた情報は、今では失われた技術ばかり。
魔法だけじゃ無く魔道具やその他も、色んな分野で革命を起こしているらしい。
俺は頼まれた情報をまとめて、本にしてるだけなんで知らん。
「 どうやって作るのか知りたいんですの! 」
「 分解して、中を見てみればわかるだろ 」
「 壊して動かなくなったら、どうされるのですか! 」 壊せとは言っていない。
「 俺が作ったんじゃ無いから、アリウムに聞いてくれ 」
「 ・・・・・・アリウム様がお作りになったのですか? 」
急にトーンダウンしたんでやっと押し返せた。
そのままソファに座らせる。
「 間違い無くそれはアリウムから貰った物だ。 だから彼女に聞いてくれ 」 俺は知らん。
「 お話しを伺えれば良かったのですが・・・・・・ 」
・・・・・・亡くなってたのかアリウム。
婚約者が処分されたのを気に病んで、後を追った、のか?
気にはなってたんだが、でも先に手を出したのはあっちだしな。
「 あれ以来、お部屋から出てこないそうですわ・・・・・・ 」
「 ヒッキーかよ! 」
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アリウムの部屋の前で、ドアノブに手を掛けた状態で俺は固まっている。
アスターが早く開けろと目で催促してるが、開けたくない。
食べ終わったポテチなんかの袋、ちょっとだけ残った弁当の腐敗臭、不明な液体が入っているペットボトル。
俺がイメージするヒッキーの部屋、実際のヒッキーの部屋は見た事が無い。
あくまでもイメージ。
散らかった部屋には入りたくない。
なんかこう、変な虫とかいそうだし、カーペットとか畳が湿ってそう。
アスターが肩で押してくる、ショルダータックルとも言う。
「 何だろう、開けたくない 」
メイドさんズも開けろと言ってる、目で。
そう言えば俺専属のメイドさんズ、元々はアリウムのメイドさんだったな。
女王様もキラキラした目で見送ってたし、入るしかないか。
「 ノックは・・・・・・ 」 そのまま開けろと。
大きく息を吸って、腕を前から上にあげて、息を止めてからドアを開ける。
「 ・・・・・・普通だな、臭くも無い 」
前に来た時とそんなに変わっていない、間違い探しレベルだ。
変ってるのはアリウムの髪型か?
「 ・・・・・・ 」
俺と目が合うとソファから飛び起き、走り出そうとしてメイドさんに捕まるアリウム。
顎でクイッとやると、メイドさん達がアリウムに目隠しをする。
手と足を縛り上げて口も塞いでるけど、それは予定に無い。
「 じゃ、行こうか 」 細かい所まで気にしてたら負けだ。
「 はい、波乱様 」
捕獲完了だ、ラナと腕を組んで部屋を出る。
その後ろには、アリウムを担ぎ上げたメイドさんズとメイドさん達。
メイドさん達が多いと、魔力パターンの登録が大変なんで5人だけ。
このまま施設まで連行する、で気が付いた。
「 王族を縛り上げて、城内を移動するのは不味いか 」
「 心配はいりません。 準備は出来ています 」
俺の左手にしがみ付いてるラナがクイッとやった。
メイドさん達が一斉に動き出し、右手で今までのヘッドドレスを外し、左手で新しいヘッドドレスを付ける、色は青。
その間アリウムは床の上だ、いいのか床置きして。
「 こうしておけば、誰にも止められません 」
「 そうなの? 」
「 はい。 波乱様のブルードレス隊なら、何をしても大丈夫です! 」
ラナが言うには、色々やらかしているけど成果が出るから、誰からもクレームが来ないと。
女王は黙らせたし、神官達は女王の配下だし、衛士達とはおやつパーティーで仲人みたいな事をした。
よし大丈夫だ、何処からもクレーム来ないな。
「 帰ろうか 」
「 はい、波乱様 」
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。