ミッション
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い舞台で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 異世界で、魔道具を改造出来る技術を手に入れる。 魔星破壊に伴う大規模氾濫に備えて、スリスターへの第一陣が出発した。
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施設内の俺の部屋に4人が集合、一緒に居るのはラナ、女王様では無い。
「 ドクターがあんな事になったのは、ポッドの調整ミスだったんですね? 」
「 そうなるな。 ポッドは故障してたのに、記録では調整が成功ってなってた 」
「 私たちも、ドクターの様になる可能性は在るんでしょうか? 」
「 可能性は0じゃないな、でもまぁ、気にするほどでもない 」
可能性はガンになる確率の数百万分の1、大きな力を手に入れた代償としては小さいと思う。
2人とも顔が真っ青だ、あんな最後は誰だって嫌だし気持ちはわかる。
「 これ、飲んでみるか 」
「 ・・・・・・なんすかこれ? 」
「 心を穏やかにしてくれる薬だ 」
「 安定剤ですか? 」
「 そんな感じかな 」 飲んでみない?
「「 ・・・・・・ 」」
「 今でも帰りたい、俺は。 生きていたい。 無理なのは判ってるけどな 」
「「 ・・・・・・ 」」
「 これが無いとな、最初に提案したミッションを実行しちゃいそうで怖いんだよ。 この星を犠牲にしてもな 」
「 波乱さん? 」
「 だから飲んでる、ポッドの治療と並行してね。 おかげさまで、賢者のあんな姿を見ても動揺してないだろ 」
楽に過ごせるんなら楽したい、自分からすすんで修行したいとは思わない。
おじさんはマゾヒストでは無い。
「「 ・・・・・・ 」」
「 とりあえず、2人とも健康診断した方が良さそうだな。 ほれ、ポッドに入った入った 」
2人の健康診断の結果は異状無し、顔色も戻ったし安心してくれたみたいで良かった。
結局、久保山君がああなった理由は不明、遺体は焼却処分されたみたいで入手出来なかった。
ちょっと怪しいけど。
ちなみに、個人用魔道通信器は俺の腕時計と同じデザインにした。
ラナとメイドさんズ、白川さんとリナ、河原君の分だけだが結構評判が良い。
後は平凡な箱型にした、評判は知らん。
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『 魔星迎撃ミッション実行まで 残り10分 』
「 了解。 居住区の全ての扉を開放 」
「 波乱様。 アスター様は間に合いませんでしたね 」
「 しかたが無いな。 あれは俺の計算ミスが原因だし 」
巡航速度で移動すれば、消費分と収集する魔力が釣り合う計算だった。
だったんだが、タンクの魔力が足りなくなって片道14日の予定が20日に。
スリスターの魔素濃度が想定より薄かったのが原因だが、俺の想定が甘かった。
途中で速度を落としたから、その分到着が遅くなった。
片道20日、交渉と荷物の積み込みに6日間、合計46日。
帰り道で何も起こらない場合の予定だ。
ちなみに交渉は上手く行き、今後も協力する事になったそうだ。
大型の魔道通信器なら、スリスターと直接通信できる事も判った。
女王様も、普段はしっかり仕事しているみたいだな。
『 魔星迎撃ミッション実行まで 残り5分 』
「 施設内酸素濃度を、許容値上限まで上げろ 」
『 酸素濃度を許容値上限まで上げます 』
魔星迎撃ミッション実行後は全機能が停止する。
魔石の破片を設置する工事に4時間の予定、再起動にはレベル10の操作が必要。
つまり俺が施設内に4時間居なくちゃいけない、エレベーターも止まるし。
居住区の扉を開放して、酸素濃度を許容値上限まで上げれば窒息は無いだろう。
工事に手間取っても、防護服を着れば3時間は延長できる。
酸素濃度を上げ過ぎると酸素中毒になるし、タバコも吸えなくなるから注意が必要だ。
ラナは当たり前の顔をして付いて来て、俺の膝の上に居る。
誰も止めなかったのは何でだ。
『 魔星迎撃ミッション実行まで 残り3分 』
「 非常灯を点灯 」
『 非常灯を点灯します 』
この30日間、色々作った。
施設のデータ保持用の魔力タンクとか、女性用肌着とか、シャンプーとかリンスとかコンディショナーとか。
「 ほぼ女性向けだよな? 」
鉱物を使用しない物ばかり作ってた、ま、ノンビリ出来たけど。
最後に作る物としては、これで良いのかって気はしてる。
「 白川さん聞こえる。 残り1分だ 」
『 聞こえます。 上手く行きますよね? 』
「 安心してくれ。 現在異常無し、設備も俺もね 」
『 ・・・・・・ 』
「 施設が再起動したら連絡を入れるよ 」
『 判りました。 連絡を待ってます 』
「 了解。 通信終わり 」
〔 01:04 〕 ソルの公転軌道より外側で迎撃するから、今は真夜中だ。
転移を使うから昼間でも良いはずなんだが、ソルの質量が無い方が誤差が少ないと言う事らしい。
夜側から転移させれば、魔星との間にソルは無い。
『 発動まで3・・・2・・・1 エンゲージ 』
照明が消え、スクリーンとパネルの表示が消える。
1つの小さなモニターだけが、魔星の欠片が在った空間を映し出してる。
さっきまでそこに在った物は、綺麗に消えた。
おじさんは、自分の目で現場を確認しないと落ち着かないんだよ。
「 転移成功だな。 それにしても非常灯が在って良かった。 無ければ真っ暗だったな 」
「 はい、波乱様 」
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腕時計のアラームを、4時間でセット。
1つだけ魔石タイプに変更したモニターでは、B5Fで作業中のマシンが写ってる。
施設内のマシンは全部魔力タンク型、作業が終われば魔力のチャージに戻るし、魔力が少なくなっても戻る。
作業は始まったばかりだ。
「 作業マシンは上手く動いてるみたいだな 」
「 ・・・・・・はい、波乱様 」 今の間は何かな?
「 どうしたんだラナ、何か心配な事でもある? 転移は成功したぞ 」
魔星の引力圏内に入れば迎撃成功だ、質量が生み出す引力と魔素の引力で加速しつつ衝突する予定。
結果は24時間後に判る。
入らなかったら? 2週間後にソルが無くなるだけだ。
「 ・・・・・・静かですね 」
「 そうだな。 今この施設には2人だけだしな 」
空調の音は最初からしないけど、誰の声もしないし機械の音もしない。
耳が居たくなるくらい静か、ってのはこういう状態だろう。
そう言えば召喚者以外は集団行動してたな、風呂でもトイレでも一緒に行ってたみたいだし。
俺も1人で行動してた、ラナは一緒に居たけど良いんだよ。
「 初めてお会いした時の事を覚えていますか? 」
「 覚えてるよ。 話し掛けても無視されたしな 」
あれは辛かった、って泣いたふりしてみる。
「 あの時は酷い事をされると思っていましたし、首輪で喋れなかったんで、無視したんじゃ無いです! 」
こっち向くのは良いんだが、膝の上でぐりってされると痛い。
初めて在った時より丸くなったんで、激痛ではないけれど。
「 初めて見た波乱様は、お顔が怖かったんですよ? 」
「 俺だって何とかしようとして、必死だったからな。 知らないうちに連れてこられたし 」
「 ・・・・・・お家に帰りたいですか? 」
「 帰りたいな、今でも 」
「 お家って楽しいですか? 」
「 楽しいよ、大変な事もあるけどね。 ラナとリナはお家の記憶は無いんだっけ? 」
「 はい。 気が付いたらスラムで生活してました 」
「 そうか。 んじゃ、今度は自分のお家を自分で創らないとな! 」
「 自分で作るんですか? お家を? 」
「 そうだよ。 リナと一緒でもいいから創るんだよ。 でも、家を建てるって事じゃないからね 」
「 ??? 」
小首をかしげるラナが可愛い、家にお持ち帰りしたいけどもう無理だ。
「 そのうち判るよ。 さぁ、部屋に行っておやつにしようか! 」
時間はたっぷりある、のんびり休憩するとしよう。
結果が判るのは、23時間50分後だ。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。