ゴーレム
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
※また誤字報告を頂きました。 ありがとうございます。
修正は完了しましたが、修正されていないことが時々あります。
誤字の連絡には、全て目を通しておりますので、ご容赦頂ければ幸いです。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 異世界で、魔道具を改造出来る技術を手に入れる。 氾濫に備え、他の国の支援に着手する。
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早朝から素材受取りとお迎えのため城内へ、今日のエレベータ前は静かだ。
謁見の間の絨毯は張り替えられて、シミも傷も見当たらない。
柱は壊れたままだが。
ラナ&メイドさんズと一緒に城内を移動。
もう働いてる人がチラホラ居るけど、嫌な視線は感じない。
城内の大掃除は終わったと思って良いだろう。
部屋の前の廊下には、衛兵2人が護衛しているけど。
おかしいな、危険は去ったハズなんだが。
「 お早う 」
「「 おはようございます室長 」」
挨拶は自分からするのがおじさん流だ。
返事は大体帰って来るけど、帰ってこなかったり元気が無かったら要注意。
心が弱ってる可能性が在る。
んで、ふと思った、今夜は一旦ここに戻ってお茶会に誘った方が良いなって。
もうすぐ厳しい時代が来る、相手がいる若者は今の内に楽しんでおいて欲しいし。
メイドさん3人は部屋に入らず、そのまま女王様から依頼された物を届けるらしい。
カート3台分。
「「 お早うございます、室長!」」
「 アズレア、メアリ。 2人ともお早う 」
室内でも2人が待ち構えていた。
時計を見ると 〔 07:30 〕、予定の時刻より1時間30分も早い。
ホントにお早うだ。
「 連絡は届いたみたいだな。 今日からは2人も地下で作業をしてもらう。 その前に、女王様に準備して頂いた素材を受け取るから、移動はその後になる 」
「「 はい、室長 」」
2人の側には、大きなバッグが置いてある。
もう何も言うまい、きっと中身は空だ。
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施設で使う部品を製造するのはM1~M6で、各々別の部屋にあるんで手分けして作業中。
最初の頃は固まってたアズレアとメアリも、アスターの顔を見たら落ち着いた。
入った事が無い外の者は、ここをダンジョンだと思っているらしい。
「 この分なら、午前中には終わりそうだな 」
「 はい、波乱様。 他の組には負けません 」
魔道具製造用魔道具へ素材を入れると、蓋が閉まる。
処理が終わると蓋が開くんで、また素材を入れる。
単純で面白みの無い作業だ、待ってるだけで疲れるし。
ラナが一緒じゃ無ければ、きっと部屋で一服してる。
素材を必要としてる俺がそう思うんだから、みんな退屈なハズ。
だから、早く終わったらご褒美がありますよって、競争にしてみた。
素材の解析時間は種類によって大分違うんで、選んだカートで勝負は決まる。
今日は10時のおやつは無しだ。
もちろん安全第一、ケガしたら外に放り出すって言ってあるから、ケガは無いだろう。
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「 植物には有効成分は無し。 鉱物が一番多いのか 」
「 我が国には大きな鉱山は在りません。 鉱山ならお隣のスリスターが沢山保有していますが・・・・・・ 」
「 いますが? 」
「 首都までは馬車で2ヶ月掛かります! 」
早口で喋る女王様、しゃべり終わった後は目をつぶってプルプルしてる。
そんなに警戒しなくて良いと思う。
「 2ヶ月、60日か。 遠いな 」
床に置いたバケツを手で触りながら、ソファで女王様の話を聞いてる。
女王様は侍女の差し出す傘に隠れながら、お茶を始めた。
有効成分を確認するため、んでもって今後の方針を相談するため、女王様の部屋へ移動して休憩中。
メンバーは、俺たち召喚者と女王様。
なお、ラナと女王様の侍女はカウントしていない。
解析の結果、魔道具製造に必要な素材は鉱物にしか含まれていなかった。
何となくそんな気はしていたが。
「 スリスターに設備を持ってくしか無いか 」
「 そうっすね。 機械だけ在っても材料が無いんじゃ、仕方がないっしょ 」
「 だな。 要はどうやって運ぶか、なんだが 」
女王様が昨日言ってたマナドールは、魔力で動く人形だった。
施設で資料を調べたら、歩く、座るといった基本動作と、ダンスがプログラムされてるだけ。
滑らかには動くがパワーが無い。
「 昨夜調べてみたんだが、マナドールの魔力タンクは使えそうだ 」
「 魔力タンクですか? 」
「 魔力を貯めとくタンクだよ。 小型の魔素収集装置とタンクを使って、ゴーレムを造ろうと思う 」
「 ゴーレム? ロックゴーレムっすか! 」 なぜ嬉しそうなのか?
「 出力が足りないから、全身岩は無理だな。 金属製はもっと無理だな、素材が無い 」
「 じゃあ、クレイゴーレムっすか? 」
「 それが近いな。 土と金属を混ぜて、セラミック製にするつもりだ 」
「 セラミックっすか? 」
「 そうセラミック 」
土ならたっぷり在るし、安いし手に入り易い。
特殊セラミックにするから、岩や金属に比べて軽いし、頑丈だ。
「 ゴーレムに荷馬車を引かせれば、夜でも進めるだろ? 上手く行けば日数を大幅に短縮できる 」
こちらの荷馬車は車輪が木製、街道でも不整地なら時速5~10kmだろう。
サスペンションとダンパーを装備して、ノーパンクタイヤにすれば最低でも25kmは出せる。
机上の計算では30kmも可能だが、道の様子が判らないからな。
「 ゴーレムの動力は、魔力タンクと魔素収集装置を併用する。 上手く行けば2週間で着ける 」
「 ・・・・・・ 」
「 で、どうします女王様? 」
「 輸送は誰に任せましょう? 」
「 スリスターの騎士が、診療所で治療を受けているはずです。 付添も何人かは残っているでしょう。 それだけでは足りませんから、騎士か兵士を何人か付ける必要があるでしょうね 」
「 ・・・・・・ 」
「 ゴーレム1体で荷馬車1台を引いて、荷馬車は2台準備します。 馬は使わず全員が荷馬車で移動。 魔物と盗賊は荷台から魔道具で対処、可能な限り止まらずに走り続けます 」
「 ・・・・・・ 」
「 積荷は、魔道具製造の為の魔道具を4台、これは魔石タイプにします。 取扱説明書とライトアローの素材も少々積みましょう 」
「 ・・・・・・ 」
「 手土産として、魔道書大全も付けましょう。 あと、通信の魔道具も 」
「 かなりの量になりますね。 それらを無償で渡すのですか? 」
「 替りに鉱石を貰いましょう、帰りの荷馬車に山盛りで。 そうすれば、こちらでもまた魔道具を造れるようになります 」
「 渡してくれるでしょうか? 」
「 それは保証出来ません。 大型の魔性通信機も積みましょう、それであちらと交渉して下さい。 ダメなら、使い方を教えなければ良いんですから 」
「 賭けになりますね 」
「 女王様の交渉次第ですよ。 せいぜい高く売りつけて下さい 」
「 そうですね・・・・・・。 素材が無ければ何も出来ませんものね 」
「 上手く行かなくても、失うのは余ってる機械です。 損は少ないですよ 」
「 進めて下さい。 衛士と騎士団には、私から伝えましょう。 他に必要なものは在りますか? 」
「 騎士団の練習場の一部を貸して下さい。 そこの土を使って、そこでゴーレムを造りたいんで 」
「 許可します 」
「 了解しました。 3m級ゴーレムの製造を開始しろ 」
『 必要な素材が不足しているため製造を開始できません 』
足りない素材は土だよな、休憩が終わったら土いじりを始めるとしよう。
ところで、ここは女王様の部屋、誰がバケツに入った水を用意したんだ?
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その日の夕方、久しぶりのデザートパーティーのために謁見の間を封鎖した。
封鎖したと言っても、護衛を謁見の間の入り口に移動させ、関係者以外の通行を禁止しただけなんだが。
いつものメンバーと、3人娘、なぜか女王様も参加。
メイドさんズと仲良くなった衛士達も参加して、ちょっとしたパーティーになっちまった。
衛士は交代で参加してるらしく、見た事が無い顔が混ざってたし。
みな楽しそうだ。
笑顔を見てると、こっちまで楽しくなる。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。