マタドール
初投稿となります。 よろしくお願いします。
舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。
※誤字報告を頂きました。 ありがとうございます。
修正は完了しましたが、修正されていないことが時々あります。
ご容赦頂ければ幸いです。
・変なことに巻き込まれ、気が付いたら牢みたいな部屋の中。 異世界で、魔道具を改造出来る技術を手に入れる。 魔道具の生産を始めたんだが、問題発生。
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昼食後にコントロールセンターへ移動、作業の進捗を確認するためだ。
魔素収集装置の再起動は、簡単に出来ることが判明。
魔星の欠片から20m×20m位の破片を切り取り、隔離して保管する。
迎撃ミッションで魔星の欠片を転移後に、空いたスペースに切り出しておいた欠片を戻すだけ。
作業が完了して再起動まで、4時間ほど停止するけど許容範囲。
切り出した破片を隔離するのは、魔法陣への影響を無くすため。
高濃度の魔素は、魔法陣や魔法に影響を及ぼすらしい。
「 魔素収集装置の改造プラン、進捗を報告 」
『 魔星の欠片からの切り出し完了しています。 B5Fにて保管中 』
「 完成しても、魔素収集装置の出力は3%まで低下するんだよな 」
スクリーンには、魔素収集装置の改造プランの出力比が表示されてる。
出力は圧倒的に下がるが、施設の維持には問題無い様だ。
レフトスクリーンには、改造に必要な素材量が表示されていて、明らかに足りない素材が在る。
『 結界の維持は不可能ですが施設の維持には十分な出力です 』
「 了解した。 足りない素材は、居住区のBランクの部屋の壁を使用する。 施設の魔素遮断能力に影響を計算 」
『 壁を利用して保管用遮断壁を作成します、作業完了まで20時間。 施設の魔素遮断能力に影響ありません 』
居住区Bの部屋は誰も住んでないし、住む予定も無い。
壁を取っ払って4部屋を繋げても、問題は無いだろう。
この施設は妙な素材で構成されており、特に外壁は魔素を通し難いんだと。
阻害された魔素が施設の外側に貯まるんで、より効率的に魔素を収集できるらしい。
「 了解。 作業完了したら連絡を 」
『 作業完了時に波乱様へ連絡します 』
「 波乱様。 ここはずっと使えるのですか? 」
「 使える様に改造するよ。 ちょっと素材が足りなかったけど、何とかなりそうだ 」
「 良かった! ここは住み易いですから 」
ラナがニコニコしてる。
皆も気に入ってるみたいだし、再起動出来ると聞いたら喜んでくれるだろう。
となると、もう1つ準備をしておかないと。
「 B1Fと通信。 アスター、作業の進捗を報告してくれるか 」
『 ・・・・・・アスターです。 ライトアローは予定の40%、ファイアアローとアースアローの製造は完了致しましたわ 』
スクリーンの表示と一致してる。
となると、あそこに表示されてる素材が足りなくなる。
合金? 合材? らしいけど。
「 判った。 ライトアローの製造はいったん中止してくれ 」
『 よろしいんですの? 予定の40%ですのよ 』
「 素材が足りなくなるんだ。 魔道具より優先して造りたい物が在るからね、そちらを優先する 」
『 判りましたわ。 魔道具の製造を中止します。 残った素材は保管庫に戻せばよろしいんですの? 』
「 戻してくれ。 作業完了したら、いったん休憩にしよう。 相談したい事も在るしな 」
『 判りましたわ。 皆様にもお伝えします 』
「 頼んだよ。 通信終わり 」
さて、足りない素材が手に入れば良いんだがな。
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「 では、ここは引き続き使えるのですね? 」
内緒話だから女王の部屋に集まって相談、本当はラナの部屋なんだが。
皆は食堂で休憩中。
施設に来てから休憩時間が多くなったな、給料に関係ないから気にしないけど。
「 使える様に改造してますよ、女王様。 明日までには完了の予定です 」
「 魔道具の製造を止めたのは何故ですか? 」
「 素材が足りないんです。 魔素収集装置の改造と魔道具の製造に、同じ素材が使われてましてね 」
「 用意しましょう。 何が必要ですか? 」
「 それが判らないんですよ。 この国で採れる鉱物、魔物の素材、農作物、何でも良いんで一通り用意して下さい。 試してみます 」
なんちゃらって言う素材なんだが、何に含有されているのか判らない。
M1~M6の魔道具製造用の魔道具に突っ込んで、分解して解析するしかない。
一回分析すれば、後は必要な素材の種類と量を把握できる。
「 よろしいでしょう、直ぐに用意させましょう。 ・・・・・・宰相に繋いで 」
侍女に指示する女王様、しばらく待ってると。
『 女王陛下、お呼びでしょうか? 』
「 この国で採れる鉱物、魔物の素材、農作物、何でも良いんで一通り用意して欲しいの 」
『 賜りました。 量はいかほど用意致しましょう? 』
「量は少なくてもいいわ。 明日までに、出来るだけ沢山の種類を用意して 」
『 直ぐに御用意いたします 』
「 通信終わり! 」
妙に上機嫌なんだな、また何か企んで---
「 1度言ってみたかったのよ ”通信終わり” って! 」 よし、蹴飛ばそう。
魔道通信機の製造は既に完了して配備済み。
通信範囲は、施設から馬で1日の距離までは確認済み。
明日は2日の距離、明後日は3日の距離になる予定。
確認は騎士団に任せており、隣町に向けて絶賛移動中。
最終的には隣町の隣町まで、馬で7日間、馬車で20日間の距離まで確認する予定になってる。
何キロになるかは判らないが。
衛兵、騎士団の小隊長クラスまでは、通信機の配備が完了。
これで、王都内に限れば機動防御が可能になる。
女王様にも10個渡してあり、誰に渡すかはお任せした。
お任せしたんだが、これが失敗だった。
何時でも連絡可能で、安全だと言い張って、施設のラナの部屋を自分の部屋にしやがった。
「 ここも城内ですから 」
とは、女王様のお言葉。
誰か止めろよ。
「 これで充分なんでしょうか? 」
白川さんが呟く。
「 ここは、これ以上出来る事は無いな。 他は---厳しいだろうな 」
「 何とかならないんでしょうか? 」
「 輸送手段が見つかれば、打つ手は在る 」
「 ! 」
キラキラした目で見つめられてもな、照れる。
「 魔道具の製造を任せれば良いんだよ 」
魔道具を製造する魔道具は、2セットが完成してる。
これを運んで運用させれば、それなりの戦力にはなるだろう。
ここでは素材が底を尽きそうなのに、製造の魔道具は一杯ある。
無駄だから、止まってる設備を移管して造らせたい。
おじさんは何時でも、最大作業効率を求める。
だから、遊んでる設備は無駄にしか見えない。
「 マタドールに運ばせてはどうでしょう? 」
「「「 マタドール(っすか)? 」」」
「 ええ、マタドールです 」
自信満々に言い放つ女王様。
マタドール = 闘牛士 だよな、何を言ってるのか。
「 もう少し詳しくお聞きしたいんですが 」
「 私の夫は前回の勇者、召喚者です。 360年ほど前に亡くなっております 」
「 ・・・・・・舞踏会で一緒に踊られていたのは? 」 幽霊か? 幽霊なのか?
「 あれがマタドールです。 ハイエルフが結婚するのは一度きり、2度は在りません。 それでも、対外的には国王が必要なのです 」
「 で? 」 結婚と闘牛士の関係はどうなってるんだ。
「 謁見や舞踏会で、国王の座が空なのは不作法。 それを埋めるためにマタドールを用意するのです 」
「 では、今まで見て来た国王は人形だと? 」
「 そうです、マタドールです 」
国王は、対外的には生きている事になってるんだと。
だから、謁見や舞踏会で居ないのはおかしい。
で、召喚者と結ばれた女王は、夫亡きあとマタドールを国王の陰として使う。
対象の顔をマタドールに登録すれば、ソックリになるんだと。
遠目で見る分には充分らしい。
女王の話を聞きながら調べたら、マタドールじゃ無くてマナドールだった。
魔力で動く人形、ゴーレムだよな。
この後女王は、バケツの水を被る事になった。
掛けたのは俺、用意したのはラナだ。
気付かれた点などが在りましたら、読後の感想をお待ちしています。