day 1 ここ何処だろ
初投稿となりますが、よろしくお願いします。 舞台設定を簡単に、出来る限り狭い範囲で進める予定です。 戦闘シーンや格闘シーンが苦手ですので、極力少なくしていきます。※投稿方法を勘違いしていましたので、修正しました。
【あらすじ お話し→お話、”死”→“死”、”汚い→“汚い】涙でぼやけた私の視界には、医師と看護師(女性だ)と・・・・・・ブーツを履いた2人分の足が見えている。
たぶん救急隊員の2人だろう、なぜか足だけが見えている。 なぜ足だけ?
ちょっと、記憶を確認してみる。
私は、波乱万丈 男 55才
仕事中に血を吐いて、救急車に乗る。
病院に着いて処置室? 手術室? の台の上で、強力な手術灯の光を浴びた・・・・・・はず。
で・・・・・・、床だねここ。 床に寝てる。
記憶は大丈夫そうだ。 床に寝てるけど。
体の方を確認しようと思ったら、急に苦しくなってまた血を吐く。 あぁ、涙が出る。
何とかしてくれ! 医師は何処だ! 血を吐きつつ苦しんでいると、
「早く治療を!」
医師が叫びながら、駆け寄ってくるのがぼんやり見えた。
「 ポーションを早く! ヒールでも良い! 」
ん? なんだって?
「 急いで下さい! 早く手当をお願いします! 」
看護師(女性だ)も近寄ってきて、背中をさすってくれているようだ。 ちょっとだけ、楽になったかも。
その時、口元に何かが当てられる感触。
「ポーションです。 飲んで下さい。」
誰かが差し出した何かを、口に残った血と共に飲み干す。 ほわっとした感じが喉から胃へ、そして全身に広がっていくと、痛みがほとんど無くなってビックリ。
( 凄い効き目だな、何だか判らないけど )
痛みと苦しみで緊張した筋肉を伸ばしつつ、ゆっくり仰向けになって天井を見上げる。
( 知らない天井だ )
そのまま乱れた息を整えていると、視界に入って来る医師の顔。
「 波乱さん、落ち着きましたか? 」
「 なんとか・・・・・・なんとか・・・・・・ 」
精一杯返事をしながら、目だけを動かしてそれとなく周りを見る。 と、中世の様な服装を着た人達が居た。 全身鎧? も何人か居るね。 槍持ってる。
見られた事に気がついたのか、中世の様な服装をした人の中から、薄いピンクのドレスを着た少女がこちらに歩いてくる。
「 ようこそ、異世界の勇者の皆様。 私たちは、皆様をお待ちしておりました。」
部屋の中ほどまで進み出てると、綺麗なカーテシーと共に続ける、
「 私達の世界をお救い下さい。」
・・・・・・・・・・・・しばらく放置でよいだろう。
視線をそらして、また周りの様子を見る。 天井が在るからここは室内、床に魔方陣? 柱は円柱で模様付き( 多分ロココ調とか何とか調そんなの ) 壁には・・・・・・
「 私は、ディストピア王国 第1王女 マーガレット・ディスタンド・ディストピア 」
先ほどの、ピンク少女が少し早口で話し出す。
「 早速ですが、皆様の素質を確認させて下さいませ。 この魔道具に、血を一滴つけて頂きます。」
中世の服の群れから歩み出た、執事っぽい人が持つ黒い箱を指し示す。 かなり、強引だな。
「「「「・・・・・・」」」」
4人の誰かお先にどうぞ、私は床に寝てるし、まだ立ち上がれそうも無い。
しばらくすると、
「俺がやる」 と進み出る隊員a。
ピンク少女は頷き、何かを差し出す。
「では、こちらの針をお使い下さいませ。」
「ん!」
ためらわずに針を指先に刺し、そのまま黒い箱に押し付ける。
執事っぽい人が黒い箱を見て
「称号:召喚されし者 職業:聖騎士」
ざわっとする、中世の様な服装の群れ。
「よ~し!」 と、なんだかうれしそうな隊員a。 お前もやってみろ! と隊員bを呼ぶ。
執事っぽい人が、再び読み上げる。
「称号:召喚されし者 職業:聖騎士」
さっきより、ざわつきが大きくなる中世の様な服装の群れ。その後も同じ作業が続き、
医師 「称号:召喚されし者 職業:賢者」
看護師(女性だ)・・・・・・もう看護婦でよいか、
看護婦「称号:召喚されし者 職業:聖女」
( 聖騎士と賢者と聖女ね~ )
はっきりとざわつき始める、中世の様な服装の群れ。
ピンク少女と中世の服の群れ、その他4人の目が床の上の私に集まる。 息が荒く、立ち上がれないのが分かったらしい。 執事っぽい人が、床の上の血を針ですくって黒い箱につける。
「・・・」
「どうしたのです! 早く報告なさい!」
不機嫌そうなピンク少女にせかされて、執事っぽい人が慌てて読み上げる。
「称号:巻き込まれた病人 職業:・・・姫様、異世界の文字のようで、私には読めないのですが・・・・・・」
執事っぽい人が、怯えながらピンク少女を見ていると、
「 よこせ!」
近くに居た隊員aに、黒い箱を取り上げられる。 こちらも少し不機嫌そうなのは、私の勘違いだろう。
「称号:巻き込まれた病人 職業:エンジニ・・・・・・技師?」
今度はハッキリと騒ぎ出す、中世の様な服装の群れ。
「勇者がいない!」
「聖騎士が2人とは!」
「血が混ざったのでは?」
「いや、毎回針は交換しておる!」
「召喚は、しっぱ・・・・・・」
4人と私を放置して、なにやら騒ぎ出したが、
「なぜ勇者がいないのですか!」
ピンク少女の大声で、全員が沈黙する。
「病人を巻き込むなよ・・・」
耳鳴りしそうな沈黙の中、私の声が部屋の隅々まで広がる。 せっかく、苦痛から解放されたんだから、少しだけ寝ることにしよう。
気が付かれた点など在りましたら、読後の感想をお待ちしています。