6. 仲間
適当な自己紹介をして、握手をして。
俺たちは仲間になった。
「高津、バスケ初心者?」
「いや、中学から……」
「え、俺と同じ!」
長野が元気に手を挙げると、五十嵐も大きなあくびをしながら「俺は小6の時友達に誘われて始めた」と言った。
それを聞いて川谷は「俺……初心者……」とうなだれていた。
俺はほぼ無意識に「里宮は?」と聞いてしまっていた。ハッとしてみんなの反応を伺ったが、誰も“馴れ馴れしい”なんて感じていないようだった。
「私は小3の時からミニバスやってた」
それを聞いて俺は、「小3?」と思わず首を傾げてしまった。
里宮は部の中でも飛び抜けて上手い。
あれは確実に一番手だろう。
もっと、たとえば3歳とか……。
すごく小さい頃からバスケをやっているから上手いんだと思っていた。
やっぱり、里宮はすごい。
この頃から俺はすでに里宮を尊敬し始めていた。
里宮と出会い、仲良くなってから数日後。
俺の高校生活はすでに明るいものになっていた。
いつでも5人で笑いあっていた。
里宮と出会ってすぐに俺は4人の中に打ち解けた。
“友達なんて”ほんの少し前までそう思っていたことが嘘のようだった。
俺にとって、4人といる時間は今までの人生で一番楽しいと言っても良いほどだった。
“こいつらなら、もう一度信じてみても良いかもしれない”と。
そう、思えたんだ。