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黒を被った弱者達  作者: 南波 晴夏
第1章
3/202

3. いつも通りの部活

体育館に響くドリブルの音。

何事もないいつも通りの放課後。

俺は休憩に入りぼぅっとコートを見つめていた。


「高津」


名前を呼ばれて顔を上げると、そこには長い髪をポニーテールに結んだ里宮が立っていた。


「今週の試合は高津も出れるでしょ? 練習付き合ってよ。1on1で」


片手でボールをつきながら、コートを指差して言う。


「えー、今?」


正直めちゃくちゃ疲れたし、里宮の相手なんてとんでもない。

俺みたいな弱いやつより、もっと強いやつに頼めばいいのに。


そんな俺の感情など知りもせず、里宮は小さく頷いた。


「はぁ」


俺は小さなため息を吐いてパンッとひざに手をついて立ち上がった。


「いいよ。でも、俺なんかで相手になんのかよ。結果は目に見えてるだろ」


「随分やる気満々だね」


里宮が真顔でそう言ったので、俺は素早く訂正する。


「いや、逆だから。俺がお前に敵うわけないだろ」


「わかんないじゃん」


そう言い残して、里宮はドリブルでコートへと走って行く。


「はぁ」


俺はまたため息を吐き、里宮を追ってコートへ走って行った。体育館に二人だけのシューズの音が響く。


『ガラッ』


「ふ〜、やっと補習終わったー!」


長野が体育館のドアを開けると同時に大声を出すと、ドアの前に座っていた川谷が「おつかれ、長野」と軽く片手を上げた。


「あれ? 今なんかやってんの?」


二人だけのコートを見て長野が尋ねる。


「いや、1on1で遊んでんだよ」


川谷が答えると、長野はニヤッと悪戯に笑い、荷物を置いて腕を伸ばした。


「長野?」


「おもしろそーじゃん! 俺もまざる!」


満面の笑みでそう言って長野はコートに走りゴール下へ走ろうとする里宮の前に飛び出してディフェンスをした。


それを見た川谷は呆れたように小さく息を吐いた。


「はぁ。あれじゃ不利だろ」


そう呟くと、川谷もコートへと走り、長野からボールを奪い取った。

そんなこんなで結局いつも通りの部活は終わり、俺は一人で帰路に着いた。

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