表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【短編小説】半分この約束

作者: 雪兎

あの時の君はただ無邪気に真っ直ぐで呆れるくらい無知で。



第一印象は最悪だった。目を開けるとそこに君がいて屈託のない笑みを僕に向けていた。何がそんなに楽しいのかまるでわからない。

冬の通り抜ける風で鼻の頭は真っ赤になっているというのに君は僕の横に来て話しかけては笑う。僕は返事をすることもないのに毎日毎日飽きもせず。今日は星が良く見えるねとか、昨日のご飯は大好きなハンバーグだったんだとか。

あとはそう、半分こが口癖だった。これも頼んでなんかない。それなのに寒いよねと手袋を片方僕にはめたり河原で綺麗な石を拾ったからと僕に一つくれたりした。



そして今、君は見飽きたあの笑顔で僕に手を振っている。また来年来るからね、待っててね。僕が約束を守ると信じて疑わない。本当に君は無知で馬鹿だ。心底嫌になる。勝手にそんな約束だけ残して。



……ごめん。ごめんな。約束守れなくてごめん…。僕は君を待つことなく冬が終われば溶けてなくなってしまうから。



ねぇ。もし僕の願い事が一つ叶うとしたらいつか君のところに半分こをしにいくよ。この名前も知らない温かさを。君のその能天気で大好きな笑顔がなくなることがないように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 1行目から「いいなぁ」と思いました。 子供ってよく「半分こしよ」と言いますよね。 君のことを「第一印象は最悪」「無知で馬鹿」と思っていた「僕」の心の冷たさが、何でも分かち合おうとする「…
2017/04/16 05:49 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ