薔薇娘__ローズイール_
「にゃーぁ…」
膝の上に乗った猫の蟀谷を軽く掻く。
もふもふとした毛の塊が膝の上で心地よく寝れる場所をもぞもぞと探している。
突然猫が飛び起きてソファから降りて奥のドアの小さく空いた隙間に入っていった。
「……?」
私は少し好奇心でドアの方へ2.3歩歩いた。
「…アァ?なんだ、お前」
私は進めてた足を止めた。
制服のスカートの裾をぎゅっと掴み俯いて固まった。
ギィ…
「っ!?」
いきなりドアが開いた。
はっとしてドアの先を見た。
さっきの猫がドアを体で押し開けている。
その先に、さっき聞こえた声の主がいることは分かっていた。
分かっていたけど、目を合わせることになるのが嫌でそちらを見れなかった。
「…その猫。お前の?」
素っ気ない声が聞こえた。
「えっ、あ…いや、さっき見つけただけで…す、あの…」
「ふぅん…」
ド緊張して途切れ途切れになっていたからか、その男の人は私をジロジロと見てくる。
「あ、あの…えと…」
「お前、ちょっとこっち来い」
「えっ…」
「いいから」
私は睨まれたような気がして、気迫で恐る恐るその人の方へ近ずいた。
「あ、あの…っ!?」
いきなり、首に巻いてたリボンを引っ張られ、私はその人の後ろの壁に手を付いた。
「やっぱり…黒だよな。光の反射とかじゃねぇ。」
その人は私のリボンをしっかりと掴んでまじまじと見た。
「え、あ…リボンの色ってなんか…あるんですか?」
私が恐る恐るそう言うと、その人はとてつもなく驚いた顔をした。
「は!?」
「んえっ…あ…ごめんなさい、あんまり知らなくて…その…」
その人はポリポリと頭を掻き深いため息をついた。
「マキュラはリボンの色で種別分けするんだよ。あと、リボンの長さで年齢がわかる。長い方が年とってんだよ。」
そういってその人は自分の腕に服の上から無理やりぐるぐるとまいた深い青のリボンをちらちらと引っ張った。
「えっ、そうなんですね…え、と貴方…の種別は…あの、その…」
「あァ?ガーガスだよ。狼と猫のハーフだ。」
「ハ、ハーフ。狼…ですか。」
私は思わずオウム返しした。狼と猫のハーフのガーガスなんて聞いたことない。
「んで???」
突然その人が私をギラリと獲物を見る目で見てくる。
「お前は?」
「えっ?」
「だーかーらー!」
その人は少しイラッとして床をバンと叩く。
私は思わず「ごめんなさっ…」と呟く。
「お前の種別!黒とか聞いたことねぇや」
「あ、あぁ…」
ローズイール
「薔薇娘です。」