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入学式に最初の難関です

 科学の国で何故か、使えないはずの魔法に目覚めてしまい、偉大なる魔法使いの家系なんて聞いたこともないことを母親に言われ、混乱のまま魔法の国へやってきたと思ったら、常識はボロボロと崩れていくし、いろいろ怪しまれるし、言われるまま学生にもなった。この短期間ほんと密度が濃いよ何故こうなった。


 そして今は、入学式の真っ最中。学園にある講堂に座っている、周りを見れば試験の時に見た人たちが椅子に座っている。試験の時に爆発の魔法を唱えていた金髪の女性と目が合った、というかじろじろ見られている、本当に私の禁術のことを気にしているようで……、うぅ心臓に悪いから入学式早く終わってくれますように。


「新入生の諸君、入学おめでとう。このめでたき日に、皆様をこの学園に迎え入れることを大変喜ばしく思います。この学園では、魔法の知識だけでなく、協調性を身につけることや、この学園ならではの思い出、興味を持って物事に取り掛かる積極性、そう言った事を教師一同は望み、皆様の学園生活のサポートにあたらせてもらいます」


 まぁ、早く終わってくれるわけがないよね。科学の国の校長の挨拶って大体ものすごく長いんだよ、それは魔法の国でも共通しているらしい。うーん、校長の話をきちんと聞いている人って何人ぐらいいるんだろう、ほとんど聞いていないの分かっていて長話をする文化が廃れないのなんでだろうね、すごく不思議に感じてきた。ようやく校長の話が終われば、次は来賓の人の話になる、相変わらず長いよ入学式。


「新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。皆様の学園生活が良いものになるように願っています。さて、皆様には学園で目標を持つことで、学園生活を有意義に過ごしてほしいと思います。そして学園を卒業し、この魔法の国を支える若者として成長してくれる日を心よりまっております。最近では、科学の国との関係は悪化していき、魔法の国を威厳を示さなくてはならぬときが来ています」


 おぉう、入学式の挨拶に盛り込まれてしまうほど科学の国と仲が悪いのか。科学の国にいたころはなんとなくバチバチしているのは分かっているけれど、どこか魔法の国なんて遠い話のような気がしてそんなに気にしていなかったんだよね。その遠いはずの魔法の国に来ちゃったから、戦争が始まれば私はかなり複雑な立場になるわけで。うん、なんだか不安だなぁ。


「ですから皆様はまず勉学に励み、魔法の国の人間として、魔法に誇りを持ち、科学の国では敵わない力を持っているのだという自信得て欲しいと思っています。また友と切磋琢磨することで、負けたくないと思う負けん気の強さ、そして落ち込んだ友を支える心の強さが身についてくれたらこんな喜ばしい事はありません」


 科学の国では敵わない力か、いちいち引っかかる挨拶をする来賓だな。この国の宰相だっけこの人。うーん、国の重鎮がこんな発言するのはいかがなものだろう、思想操作とかにならないのかなこれ。それに、いざとなったら学生を兵力にでもするつもりだろうか? 戦争を前提に話をしているように聞こえてしまう、なんだかそうだと嫌な人だな。


「これをもちまして、ソルセルリー学園の入学式を終わります。新入生は先生に従い、各教室に移動してください。一同、礼」


 なかなかもやもやした気持ちを抱えたまま入学式が終わってしまった。これから学校生活になるわけだし取りあえず切り替えていかないとな。


「それではAクラスの皆さんは、私についてきてください」


 っと、Aクラスから移動だね。私もAクラスだからちゃんとついていかないと。先生は、20代くらいかな。すごく優しいそうな雰囲気をしている。実際にどうかはわからないけど優しい雰囲気の先生だから落ち着くなぁ。


 ついていって教室につけば教室に入る。内装としては、大きな黒板が教室の前側にある、なんか一昔前の科学の国だね。今科学の国だと黒板は使われていない、全部スクリーン映し出されていて、何か印をつけたりするときは先生が端末に印をつけるとそれがそのままスクリーンに映し出される。学生もみんな端末を持っていてそれで勉強している。


 これは勉強から慣れなおさないといけない感じかな? ここには端末がないから知らないことをささっと調べることもできないしね。こういうところは科学の国の方が便利だなぁ。


 少し科学の国の学校の思い出に浸りながらも、出席番号順に座るように言われて指示に従い椅子に座る。


「座りましたね。それではみなさん、改めてご入学おめでとうございます。私は皆さんの担任を務めさせてもらうフルリ・シュアルです。さて、みなさんの事も知りたいので、出席番号1番の人から自己紹介をお願いします」


 入学早々最初の難題だよ、なんで自己紹介させたがるかな学校って。最初にみんないっぺんに自己紹介したって覚えれるようなものじゃないんだから意味ないんじゃないかと思うんだけど。


 とりあえず目立たず無難に終わるためには、自分より前の人の真似をして自己紹介をすればいいんだよね。そう思いそれぞれの自己紹介に耳を傾ける。


 あ、これ無理なパターンだ。大体みんな、名前と学びたいことや得意な魔法について話している。学びたいことたってどんな授業あるかなんて知らないし、それに得意属性ってなに!? え、初めて聞いたんだけど、属性か何かが存在するってこと?


 あぁ、考え込んでる間に順番がどんどん回ってきてるよ、どうしよう何とか無難に嘘もつかずに済む方法を考えないと、入学早々目立ちたくない。あれ、いま立って自己紹介している人って……。


「私はビアンカ・シュンシン。得意魔法は攻撃魔法で、苦手な魔法は追尾などの魔法。とりあえずよろしくお願いします」


 あの爆発の魔法を唱える金髪の女性、ビアンカって名前だったんだ。というか攻撃魔法は攻撃をするんだろうけど追尾魔法って何!? 何を追尾するの。あぁ、だから考えてる場合じゃないんだって、自分の自己紹介を考えなきゃいけないのに。もぅ自分の前まで順番来ちゃってるじゃん。


「私は、ミュア・クラント。得意魔法は自然を操る事。苦手な魔法はそれ以外の魔法、よろしくね」


 あ、なかなかフレンドリーそうな子で仲良くなれそうに見える。仲良くなれそうな子魔法の国に来て初めてかな。見た目もなかなか愛嬌があった、肩にかかるぐらいの長さの茶髪のくりくりとしたかわいらしい瞳をしている。出席番号も私の一つ前で、席もすぐ近くだし機会があったら声をかけてみようかな。って、だからそうじゃなくって、一つ前ってことは、私の順番になるじゃん、ええい、どうにでもなれ。


 ガタリと立ち上がる、視線が一斉に集まり頭が真っ白になる、おぉうがんばれどうにかなれ私の口。


「えっと、私は、ミリアル・ブティラです。実はあまり普段から魔法を使うほうではなく、自分が何が得意で不得意なのか良く分かっていません。また、魔法についての学も浅く分からない事が多いので教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします」


 まばらに拍手がされる。他の人が自己紹介をした時とあんまりみんなのリアクションは変わってない、つまりは無事に何とか乗り切ったわけで。とりあえず最初の難関突破だね

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