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フラグ回収

あぁ、そうか彼女こそが理から外れた、彼が探していた・・・・。



声が聞こえる、風が頬を撫でる。草が少しだけ傷にあたっていたい。


「もぅ、ミリアルちゃん、私よりお寝坊じゃ困るよ!! 誰が私を起こしてくれると思ってるの」

「いやぁ、それは自分で起きられたほうが良いと思いますよ?」


ヴァル先輩、言ってくれてありがとう。私も自分で起きてもらわなきゃこま・・・って、あれ?ミュアさんたちの声がするってことは。


「あ、ミリアルちゃん気が付いたね。よかった。傷が深かったし、僕は愛系統が使えないから、こんな重傷を癒せるか不安だったよ」


どうやら、リュウシュン先輩が癒してくれたようで。実に面目ない。

あんなに大きかった傷が、綺麗には治ってないけど、とても小さく浅くなっている。

体は痛むけど、ちゃんと動く。思考もちゃんとまとまってきた。


「って、なんでみんな急にいなくなって・・」


あの霧と、あの魔物は一体。

明らかに異質だった。別にこの土地に詳しいわけじゃないけれど、すごく違和感があった。


霧は、まだそんな違和感はなかった。でも、あの魔物は、魔物だからっていうだけでなく。

本当にこの場所とかみ合っていないような違和感。


いうならば、油と水のような。混ざることを嫌がるそんな・・。

って、私は一人で何を考えているのでしょうか。そんなことよりも、クラファレスさんに見捨てられたショックのほうが大きいんだよ、うん。


いやぁ、そりゃ仲良しじゃなかったけれども、本当に死んじゃうかと。

私が、考えなしに動いた自業自得ではあるけれど。


「ごめん、私のせい。ミリアルさんと二人になる必要があったから、魔法で出した、幻惑の霧でお互いがお互いの姿を見えなくした。でも、あの魔物は知らない」


クラファレスさんもいつの間にか側に戻って・・。


「ごめんなさい」

「ミリアルちゃん顔が怖いよ」


無意識に睨んでしまったらしい。でもこれに関しては私悪くないような。

というか、怒ってもいいと思うんだけど。


「あ、あのね、ごめんなさいなの。いっぱい謝るの」

「私からも謝る。友達がしたことだから」


いつの間にか目の間に人じゃないものがいるのは慣れているけれど・・。

もう少しどうにかならないでしょうか。まぁ、なんかもう、驚きとか焦りとか恐怖とかで、怒りの感情がどうにも麻痺しているのですが。


いまは、怒りたいよりもこのどうにもならない気持ちをぶつけたいというか、暴れたいというか、なんかもう訳が分からない。


「あわわ、と、とりあえず落ち着くの。あなたの魔力が暴走しかけているの」


暴走・・。って洒落にならない!!?

なんで、なんで暴走しかけてるの!? ってかなんでそんなことわかるの。


「んーと、精霊は魔力の動きを意図的に隠されたりしなければありのままの魔力の流れを感じるの。えっと、暴走しかけてるのは、ええと・・うぅ・・シュライン」

「説明が苦手だからって、毎回私に回されても。だから魔法を発動させるのは気持ちや感情。いわば精神が魔法の要。それがキャパオーバー。そりゃ死にかける経験で落ち着いてるほうが怖いけど、まぁ、そんなわけで一般的なリアクションをとって暴走しかけてるだけよ。はい、深呼吸」


いや、深呼吸で落ち着く次元を超しちゃってますから!! やっぱり精霊は人間と感覚がずれてる、お願いだからそんなさらっと何でもないように説明しないでよ。うわぁ、なんか視界が赤くなってきた、え、え? これは一体どうしたら・・。


「ふぁ、ますます、大変なことになっているの。吸って、吸って、吸って」

「それじゃ息はけてないから」

「って、そんなこと言ってる場合じゃないって。ミリアルちゃんが暴走しちゃうよ、えと、甘いもの? 甘いもの食べたら落ち着かな、ほら、クッキーとか」


クッキー・・、そういえばあのクッキーでも死にかけたなぁ・・・。


「ますます魔力が不安定になっているの。どうしてクッキーで死にかけるなんて思っているのかさっぱり・・って、ミリアルさんだけじゃなくてミュアさんまで暴走しかけてるの」

「うーん、これはまずいねぇ。あはは、やっぱりミリアルちゃんは面白いなぁ」

「いや、リュウシュン、そんなこと言っている場合ではないと思うんだけど。ええと、どうしたら」


頭が、ぐるぐるする。なんか体の中で何かが暴れてるのがはっきりわかって。


「さぁて、さすがに笑ってる状態じゃなくなったねぇ。キャージュ・カシエ!!」


何、この感覚・・。


「大丈夫だよ、落ち着いて。暴れている魔力を鎮める魔法だから」


確かに、暴れているのが無くなっていくのが分かる。

でも、そうだこれは、魔物と同じような違和感。


なにかが、そう何かが混ざり合うのを拒んでいる。


「お、落ち着いてきました。霧はクラファレスさんだけど、あの魔物は一体」

「この辺にあんな手ごわい大型の魔物が出るなんて聞いたことがないな。教師に報告したほうがいいかもね」

「落ち着いてばかりのところで申し訳ないんだけど、もう、だいぶ暗くなって、多分遅刻だと思うんだけど」


多分も何も、間違いなく遅刻じゃん!!


「どうしよう!! 確か交流会で探索が終わって集合した後のイベントは焼肉パーティーだったよ! 焼肉食べ損ねちゃう」


いやいや、心配すべきところなんてそこのほかにもいろいろあるよね!?


「先に課題の確認とかがあるから急いで戻れば焼肉パーティーに間に合う。飛んで帰ろう。トランスフォルマスイオン・バレ!!」


リュウシュン先輩の杖が箒に代わる。

また、飛ぶのか。飛ぶような速さでとかじゃなく、実際に飛んで。


「今更、なぁにをいっているんだにゃあ」


とりあえず猫の精霊さんが来てくれたので、なんとか飛ぶことができそうです。

って、結局クラファレスさんに何にも言えてない。


「もぅ、ミリアルちゃん早く!! 細かいこと後回し、焼肉最優先だよ!!」


細かいことじゃないけど、まぁ今そんなこと思っても仕方がないし。


私の存在より焼肉の存在のほうが大きい気がするのは、気のせいだと信じたいです。

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