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後悔と恐怖

ようやく到着しました。到着すると同時に猫の精霊はいなくなったけれど、帰りも来てくれるらしいから安心。


ネメジス平原、あちらこちら花が咲き乱れるまさに天使が舞い降りた地というのもわかるような、とてもきれいな場所。


いよいよ、フラグだらけのこの場所にやってきました。


「いよいよネメジス平原についたね、ミリアルちゃん何か遠い目してるけど大丈夫? 今から教師探しに散策だけど、少し休む?」

「いえ、大丈夫です」


待っていてもフラグは折れてはくれんのです、ならもういっそ当たって砕けるしかない、砕けたくはないんだけど・・。


「具合悪いんだったら遠慮なく言ってくださいね。、倒れたほうが大変ですし」


これはヴァル先輩、先輩方はとても優しいです。

ヴァル先輩は、雰囲気がおっとりしていてなんだか落ち着く。すこしは気分良くなったかな?


「本当に大丈夫です、行きましょうか」

「じゃあ行こう、ここから一番近いのは森にいる先生かな、とりあえず行こうか」


皆で森に向かって歩く、森の木は様々な実がなっていて、とてもきれ・・・。


「とっても美味しそう!!」


一人、食い気に走るのがいました。言わずもがなミュアさんです。

でもなんとなく、いつもと変わらないミュアさんに安心しちゃった。


「これ赤くてきれいな実、食べれるかな?」

「それは猛毒です。食べては内臓まで麻痺してしまうので決して食べないでくださいね」


お陀仏ですか、まったく安心できない、なんでそんなものが実っているの!?

天使が舞い降りた地は危険でしかありませんでした。


「あ、あっちの青い実は?」

「食べた人は何でも錯乱してしまったようで、詳しいことはわかりませんが精神に作用するみたいですね」


ミュアさんの顔も実と同じようにどんどん青く、そりゃ青ざめるよね。


「食べるのは諦める」


目に見えてしょんぼりしちゃった、でもまぁ、ちゃんとあきらめてくれてよかった。

食べてみなきゃわからないとか言い出しそうで怖かったよ私は。


「ミリアルちゃんなんか失礼なこと考えなかった? 私は別に野生児じゃないんだよ?」


野生児並みの鋭さです。うぅ、ミュアさんの視線がつらい。

思わずうつむき加減で、できるだけ顔を合わせにように歩く。


「あ、顔をそらしたってことは本当にそんなこと考えていたんだ! ミリアルちゃんは・・・・・・」


あれ、声がしなくなった? 恐る恐る顔を上げる、そこにはミュアさんの姿がなくて。


「ミュアさん!?」


ミュアさんどころか、ヴァル先輩も、リュウシュン先輩もいない、いつのまにやらあたりが霧だらけにも。


「どうやらはぐれてしまったみたいね」


ゆういつ一緒にいるのはクラファレスさん、なんでよりにもよってこの人と二人きりなんでしょう。


「あなた、今なんで私なんかとって思ったわね。あぁ、前もいったけど心はよんでない、貴女が分かりやすすぎるのよ、くだらないこと考えてないで歩く。はぐれたとしてもさっきまで話していたんだし、そんな遠くにいるはずはないから」


クラファレスさん、すごく冷静。うん、少し不安だけど一人でいるよりはずっと心強いかも。

クラファレスさんのおかげで私も落ち着いてきた、確かにそうだ、声が急に聞こえなくなって私はすぐに顔を上げた。だからそんなに離れていないはず。


「まずは霧をはらさないと、探しにくいよね、霧をはらす魔法何か知ってる?」

「プロープルね。使ってみましょう。プロープル!!」


一気に霧が晴れていく。毎度思うけどほんと魔法って便利だなぁ。

さて、霧が晴れて森が見えるようになったけど人影は全くない。


「とりあえず森から出ましょう、来た道を戻ってれば会えるかもしれないし、森の中で迷っていたら出れなくなる可能性があるから」


確かに、森で遭難とか笑えない。確か青い実と赤い実が見えるあっちのほうから来たはずだから。


「ミリアルさん道がわかるなら案内お願い」


私は方向音痴なんだけどね!! とりあえずまっすぐ進んだから、青い実と赤い実がある方角を向いたまままっすぐ歩けば、なんとかなるはず! なんとかなると信じたい。


とりあえずクラファレスさんよりも一歩先を歩いていく。

自分の後ろから足音が聞こえるから、ちゃんとクラファレスさんはついてきている。

クラファレスさんとはぐれないようにちゃんと注意は払っておかないと。


・・ドン・・ドン・・・。


クラファレスさんの足音となんだか違う音が。


のそり・・のそり・・・・。


嫌な予感がして慌てて振り返る、なぜかクラファレスさんが私に向かってナイフを向けて驚いたように固まっている。

そしてその後ろに・・。


「クラファレスさん!!」


ナイフなんて今はどうでもいい、とにかく自分のほうに引っ張る。

大きな腕が振り下ろされる。


・・あぁ、私は馬鹿だ。


便利な魔法を、理解できないからって必死に必要以上学びもしないで。

視界がくらむ、体が燃えそうで、視界が赤くて。


「ミリアルさん、どうして?」


驚いたような声がした、クラファレスさんは無事らしい。


でも痛い、ただただ痛い。


無事でよかったなんて思えない・・、耳鳴りがひどい、クラファレスさんが何か言ってる。

耳も遠くなる、聞こえない、だんだん声が遠く。世界が傾く。


傾いた世界に熊が移る、大きな腕は熊の腕だ。

あぁ、熊の姿もかすむ、私はここで死ぬんだろうか。


クラファレスさんが遠ざかっていく、私一人残して。

私はまだ死にたくないのに、どうして庇ってしまったんだろう、見捨てて逃げちゃうような人を。


こんなところで私は終わってしまうのか。




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