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調和を守りし者

ミュアさんのおかげで、道に迷うことなく寮までたどり着きました。

うん、もう方向音痴はあきらめるしかない気がしてきた。一生治らない気がする。


「なに落ち込んでるの? ほら早く晩飯食べよ」


確かにお腹がすいてきた。寮の食堂で今日の献立のご飯を食べる。

ごはんに味気がない、おなかはすいているけど頭はあのことでいっぱい。


私は、精霊を使って人を生き返らせた。決して許されないことをした。

私は一体いつだれを生き返らせたのか、そもそも科学の国にいた私がどうやって精霊に出会ったのか。

もしかして皆が見えてなかっただけで、科学の国にも精霊が存在するんだろうか。

それだったら科学の国で精霊が見えないのはなぜだろう。


ううん、もっと不思議なことがある。

科学の国の人は魔力があっても魔法が使えないようにできている。

そんな中なぜ私が魔法を使えたのか。


もしかしたら、私が魔法を使えるのはこの過去の出来事に関連があるのだろうか、それとも関係ないのか。

でも、忘れてしまっているこの記憶を取り戻せたら、何かわかる気がする。

きっと大切な記憶、そんな気がするから。


長期休暇は自宅に帰ることができる。その時に母に聞いてみよう。


「ちょっと、ミリアルちゃんぼんやりしてどうしたの?」

「ううん、なんでもないよ。この料理おいしいね」


いけない、考えに耽るあまりミュアさんのことを忘れていた。

慌ててごまかしたら不満げにしたけど頷いてくれた。ごめんね、今はまだ喋るわけにはいかない。

今日聞いたことも、科学の国の人であることも。


「ミリアルちゃん、なにかあったらなんでもいってくれていいんだからね。」

「ありがとう」


きっと、ミュアさんは待ってくれている。私が話す日を。

いつか話せる日が来るのかな、ううん来させなきゃいけない。

科学の国の印象を少しずつ変えていかなきゃ、ロワ殿下との約束だし、それにわたしも戦争が起きてほしくないと願っているから。


この国に来てなんだか、いろいろ大変なことになっているような。

さよなら平凡なゲームライフ。というか久しぶりにゲームをしたい。

ぐっ、両国が和解した暁にはゲームを魔法の国で思う存分やってやる。


ご飯を食べ終わり一息つく。


「そういえば、今回の行事終わったらテストだけど、テスト勉強進んでる」


・・・なんですと?

あはは、なんか幻聴が聞こえた気がしたような。


「その様子だと知らなかったね」


溜息を吐きながらミュアさんに言われてしまった。

だって気になることややることが多すぎて!!

どうしよう、魔法の国の定期テストってどんな感じなんだろう。


「定期テストに対する知識がないなんていくらミリアルちゃんでも言わないよね?」


ごめんなさい、その通りです。


「小さい時の義務教育と家庭教育どうなってるの。長期休暇前にテストがあるんだよ。今回は筆記。二年からは、進級テストにのみ実技試験が出てくるよ。今回の筆記は魔法の基礎知識ばかりだと思うよ、常識的なことばかりだから多分今から頑張れば大丈夫だよ」


その常識が私にはありません。


「顔色悪いよ? とりあえず今から部屋に戻って消灯まで勉強しようか」


それしかない。いきなり赤点で留年確定なんてなったら洒落にならないから。

やや速足で部屋に向かって歩く。部屋につくなりテキストを広げ習ったことを、習った周辺に書いてあることを確認する。ええと、たしか初めのほうに習ったのは属性について。


炎、水、風、地、光、闇、緑、音、雷、無、星、愛の12種類。うん、かろうじて覚えてる。この中で炎、水、風、地、無は得意属性関係なしに操れて、他は自分の得意属性じゃなきゃ操れない。


って、あれ? 闇系統だけ特別な記述がある!? こんなの知らない。


ええと、闇属性について。闇属性を持つものは、すべての属性の模造を生成できる。

はい? ええと理解ができないのですが。


「ミュアさん、闇属性について教えてもらってもいいでしょうか」

「ミリアルちゃん、本当に家庭教育と義務教育どうしてたの?」


どうやらかなりの常識的なことだそうです。

うぅ、もうやだ。


「えと、闇属性は12系統の中でも特殊で、闇属性が得意属性にあるだけですべての属性の真似ができるんだよ。闇はあらゆる形を作り出すからだって言われてる。ただ、あくまで真似。おんなじ魔力、おんなじ魔法で魔法同士がぶつかったら闇属性のほうが弱い。でも全属性操れるってのは、それだけで十分応用が効いて反則的に強いよ。だから闇属性を持つ人は一般的にはこういうの。神の祝福を受けし者」


闇属性はとりあえずチートらしいです。確かに全属性は反則だ。


「でも、強大な力には必ず代償がつくものだよ。闇属性は神に祝福され、神から使命を与えられる。この世界の調和を守るのが役目って言われてる。ええと、この世界は一つの物語で、物語に沿って私たちは動いているの。本人の努力次第で多少物語は変化するらしいけど。でもね、努力しても変わらないものがある。人が死んだら、その後の死んだ人の物語は変わらない、当たり前だよね。でもねたまに、生き返らせちゃう人がいるの。とてもいけないこと、物語を、理を破壊する。そんな人たちは調和を乱す人として見つけ次第殺して調和を守るのが役目。それを放棄したら神の祝福が消えて何の魔法も使えなくなっちゃうの。あぁ、そういえば人を殺すのが理に外れるっていたけど、殺人も理から外れるよ。人を殺してしまったら殺された人の続くはずだった物語がその場で終わっちゃうから」


闇属性じゃなくてよかった・・、ってそうじゃない、え、やばくないですか?

だって、私は理から外れているって、ならいつか誰かに殺されちゃうんじゃ。


こんなところでフラグを立てないでください!!




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