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人は見かけによらない

「それで、あんたはこんなとこでこそこそ何やってんの。というか、なんで墜落してんの、しかも別々に。おかげで、どっちの後をつけるべきか迷ったじゃない」


んん? これはあれかな、ずっと尾行されていたパターン?

怖いわっ!!??何故、何故に尾行を。

あ、そういえば私は怪しまれているんでした。もしかして何か悪だくみしていると勘違いされた?


「ん、あんた良く見たら魔力が空ね。馬鹿なの? この辺に魔力を吸い取る木がある事を知らずに来たんでしょう。全く、何か企んでいると思ったけどこんな馬鹿ならそんなこと出来ないわね。いいわ目的は後でゆっくり聞くとして、とりあえず大樹のところに行って魔力を取り返すわよ」


「意外に優しい奴なんだにゃあ」


確かに、馬鹿と連呼されたけど助けてくれるらしい。うん、心強い。

っておい、ちょっと待って。魔力を奪い取る木ってなんだ。


「言葉の通りだにゃあ。この国に一本だけある変わった木だにゃあ」


先に言え! 先に言ってくれたら墜落しなかったかもしれないのに。


「忘れていたんだにゃあ」


このマイペース精霊め。大切なことは覚えておこうよ。


「なに一人で百面相しているの、気持ち悪。置いていくわよ」


ぐはっ、今の言葉は結構きつかった。心にヒビがはいったよ。

というか、そっか精霊が見えない人が多いんだから、気をつけないとただの変人だよね。


うん、気をつけよう。


「もとから変な奴だにゃあ」

「余計な御世話だよっ!!・・・・、なんでもないです」


思わず声を出してしまったじゃないか。ビアンカさんがめっちゃ変質者を見るような目で見てきているんですが!! もういいや、早く魔力取り返そう。


いろいろ諦めの気持ちを出しながらビアンカさんについていく。


森の中だからもちろん道中は、獣がうじゃうじゃと出て来る。

森怖いっ。科学の国に自然は全然ないから緑羨ましいとか思っていたけど、自然も自然で怖い。


ちなみに、怖いだけで道中はとても安全でした。獣が出るたび、ビアンカさんが爆発の魔法で追っ払うし。魔法凄い、そして何度も爆発魔法を使うビアンカさんも凄い。獣を殺さないようにするあたり優しい。


というか、思ったのですがこんな沢山獣出るのに、ミュアさんは魔力が切れている状態で一人ぼっちって大丈夫なんだろうか。ま、まさか食べられたりとかしてな・・・。


「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!! あれミリアルちゃん!! となんでビアンカさん? 何でもいいから助けてえぇぇぇぇぇ!!!!」


うん、無事だった。さぁ次行こう!


「お願い! 見捨てないでえぇぇぇ!!」


そりゃあ、沢山の獣と追いかけっこしていたら見ないふりをしたくなるよ! ビアンカさんだって頭痛そうに眉間を押さえているし。


「助けてあげるから、私を信じて伏せなさい!」


あ、これは、あのパターンですね。


「エクスプロジオン!!」


ミュアさんが伏せると同時に爆発の魔法で獣たちを追い払う。

なんか壮観だなぁ。


現実ではあるんだけど、今だ現実とは思えないような光景にぼんやりしてたら、涙目のミュアさんがやってきた。うん、獣も爆発も怖いわな。


「助かったあぁぁ、死ぬかと思った! ありがと!! それで助かったのは嬉しいけどなんでビアンカさんまでここにいるの?」


「怪しかったから様子を見ていたのよ。はぁ、というか二人とも魔力の木について知らないとか常識なさすぎでしょ。魔法の国の人なら3歳でも知っていると言われるぐらい有名なのに」


そんな有名だったのか。ま、まぁこれはミュアさんも知らなかったからセーフなのかな?

うん、他の人に怪しまれたくないから頑張ってこっちの世界の常識も知ろう。自信は無いけど。


「まぁ、ちょうどいいわ。今から魔力を取り返しに行くところだし、一緒に行くわよ。離れたらだるいから離れないでね」


何から何まで面目ないですビアンカさん。ただただ怖い人だと思ってごめんなさい。

でもできれば、メンタル抉るのと、睨むのはご遠慮いただきたいです。


「ビアンカさんって、怖いけどいい人だね!」


どうしてミュアさんは毎度素直なんですか!! ほらビアンカさんが睨んで・・・いない?

顔赤い、ま、ま、まさか照れていらっしゃる!?


人って見かけによらないなぁ。

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