初フライト
久しぶりの学園の外。感想は変わらない。
ここは間違いなく魔法の国だと。でも今回違うのは私もその風景の一つだということ。
前飛んでいる人を見て驚いていた私が今から空を飛ぶんです、もちろん生身で。
「歩いて行ったら時間かかるから目的地まで飛ぶよミリアルちゃん! トランスフォルマスィオン・バレ」
ミュアさんの持つ杖が光り輝きはじめたと思うと、その形を変える。
魔女が箒で空を飛ぶというのは本当らしい、杖が箒に変化するとそれにのり上昇を始めている。
ちょっと待って!? 別にもうさ重力とか細かい問題は気にしないけどさ、そもそも私、杖を持っていないのですが。物理的法則云々の前に必要な物が無いのですが。
「あ、そっかミリアルちゃん杖を持ってないよね。一般的に空を飛ぶときは杖を無属性の魔法で箒に変化させて飛ぶからなぁ。むしろそれ以外知らない」
歩けと? 飛ぶ覚悟を決めたのに歩けと!?
「落ち着くにゃあ、お前さんが盗んできた魔導書を使えば飛び方が書いてあるにゃ。お前さんならその魔導書を使えるにゃよ」
ちゃっかり精霊に盗んだ事がばれているのですが!? それより私なら使えるって、私以外は使えないということだろうか。何故。
「細かい説明は今すべきじゃないにゃあ。とにかく開くにゃ」
といっても魔導書は分厚い、特定の魔法、いや魔導になるのか? 違いがさっぱり分からないけど。
「魔法と魔導は作った人間が違うだけにゃあ。とにかく開くにゃ、なにしたいのか思い浮かべながら開けば、必要なページが開くんだにゃあ」
あなたは何故そんなに詳しいのです!! とつっこみを入れたいところだけど空で飛び方を考え込んでいるミュアちゃんに悪いので魔導書を開く。
これは、なんて読むんだろう。魔導書を手に入れたエリアで見た壁画の文字と同じ、知らない文字。
でも知らないはずなのに、私には発音の仕方が分かる。
「ヴィント・フェーダー」
書いてあった言葉を発音する。すると魔導書から風が吹き荒れる。
次の瞬間、背中に風の羽を纏っていた。
「ちょ、なに今の魔法、知らないんだけどそんな魔法、まぁいっか飛べそうだし。ほら早く置いて行っちゃうよ」
本当に細かい事を気にしない人です。今は別に助かるから良いのですが、それよりもこれどうやって飛ぶんでしょう。
「空に昇る事をイメージすれば上昇、地に落ちる事を想像すれば下降、と言って風にイメージすればいいんだにゃあ」
ええと、空に昇・・・うぇっ!!!???
「ちょ、ミリアルちゃん飛びすぎ!? 飛びすぎ!!??」
「コントロールが下手すぎだにゃあ。飛びたい高度にあわせて放出する魔力を調整するんだにゃあ」
ちょっと待ってください! 初耳ですから放出する魔力のコントロールとか。それよりもどうやってコントロールするの。
「身体の中の魔力の流れを感じればいいんだにゃ」
いや分かんないから!? なに魔力の流れって、そんなのどうやったら分かるんだ!!
「にゃんでそんにゃことも分からないにゃ。仕方にゃいから手伝ってあげるにゃ」
猫が私の頭の上に乗っかる。び、微妙に重たい。
「レディに失礼にゃ!!!」
どうやら雌だったらしい。あ、雌って言う言い方をしたら機嫌を損ねてしまった。なにやらプライドがあるらしいです。
それにしても、自分の思う高度で飛べるようになったのですが、いったいどんな手品を。
「飛ぶときに放出されすぎてる魔力を、自分が吸い取ってからお前さんに返却しているにゃ。だから必要量の魔力を放出出来ているんだにゃあ」
なんか分からないけど、凄い事をしてくれているらしいです。うーん、あれかな電力の消費を抑える機械みたいな役割なのかな。
「初めて空飛んだんでしょ? コツ掴むの速いじゃん」
ミュアさんのとなりに浮かぶとほめてもらえたけど、これは精霊のおかげなんです。
それにしても、感覚的にはなんか水に浮いているような感じ?
浮力とかを無理やり使って飛んでいるのかな? ううん、実に不思議だ。さっぱりわからない。
「それなら行くよ、ついてきて!!」
まぁともあれ、初フライト開始です。




