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正解とは

「次に行こうかミリアルちゃん。ほら次は問題を解いたら道が開く仕掛けだよ」


リュウシュン先輩は、知らないふりを発動した。

スルースキルを習得した!!


とふざけている私も、現実を見ないようにしています。

崩れ去った迷路とか知らない、普通に出口に辿りついてリュウシュン先輩と再会しただけ。

そう、それだけなのだ。


しっかりと自分に言い聞かせながら、何事もなかったようにリュウシュン先輩についていく。

迷路(跡地)を背に。


しばらく歩くと、また扉がある。

リュウシュン先輩が扉を開けようとすると、鍵がかかっているのか扉は開かずに代わりに何処からか無機質な声が聞こえる。


「この先に進むのなら、今から出す問題を間違わずに答えなさい。問題、生物は子孫を残すべきであるか?理由もつけて答えなさい」


んん? 何その問題。

子孫を残すべきか?そんなの残すべきなんじゃ・・・。だって子孫がいなくなったらそこで生物は尽きてしまうし。


「意地悪な問題だね」


隣からリュウシュン先輩が喋る。そんなに意地悪な問題だろうか。

生物が欠けたら生態系が崩れる。崩れたら全て消える。

生物は必ず、子孫を生んでくれないと困る。


「生物が消えたら、困るから子孫がいるんじゃないんですか? 生物がいなくなったらこの世界は何も存在しなくなるんですよ?」


「存在ししなくなったら誰が困るの?」


誰が? それは消えた生物を食べていた生物が。その生物が困ったらまた他の生物が困る。人間も生物がいなければ生き残れない。だから皆が困る。


でも、そうだ全部が消えた世界で困るのは、誰もいない。

何も存在しないのだから、何も困る存在がいない。


じゃあどうして、子孫を残す。遺伝子情報に生物を残すようにデータが組み込まれているから?

でもそれは、子孫を残すべきかどうかという問題には関係ない。


世界が無になっても誰も困らないのなら、それは無になってもいいということなんじゃ。

生物が生きている理由は何?


「先輩は何のために生きているんですか?」

「問題に関係あるの? 僕は自分の為に、自分の夢をかなえるために生きているよ」


自分の為。そう、決して世界の為に生きているわけじゃない。

誰かが困るから生きているわけでもない、誰か死んだら誰かが悲しみ苦しみ困るかもしれない。


でもその人もいずれ死ぬ。そしたら困る人はいなくなる。

なら、世界に生物が存在する必要はない。


本当に?


何でこんなことを私が決めてそれを正解にしようとしているのだろうか。

これは私が判別できること?


そっか、これがこの問題の正解なんだ。


「先輩答えが分かりました」

「本当か!? どう考えても答えなんてないように思うんだけど」


そう、その問題に答えはない。そしてそれこそが正解。


「わからない」


「では、問題に答える事を放棄しますか?」


無機質な声が響く。隣でリュウシュン先輩が焦っているのが分かる。

それでも一度深呼吸をして口を開く。


「わからないというのが答えです。子孫を残すべきかどうかなんて、私たち個人個人が決められる事じゃないからです。だからこの問題に正解は存在しない。故に正解が無いのなら答えは分からないとしか言えないんです」


無機質な声は何も言わない。しばらく静寂が続く。

この答えは駄目だっただろうかと少し背中に冷や汗が流れる。

リュウシュン先輩は、顔を強張らせながら静寂が破られるのを待つ。


しばらく、いやきっと時間にしたら短かったであろう静寂は、扉が開く音によって破られた。

無機質な声は、正解とも不正解とも言わなかった。


「扉開いたね、進んでいいってことかな。行こうかミリアルちゃん。それにしても分からない事が答えなんてよく言えたね。分からないって答えが正解になるわけもないし」


「だってこの問題には、正解を出す必要がなかったんですから。最初に声は間違わずに答えなさいっていったんです。間違いでなければそれは正解じゃないけど、正解なんです。正解してないけど前提条件には答えているんです」


そう、前提条件は問題に間違わないこと。だから正解が無いものに分からないと答えるのは間違えではない。


「なんかスッキリしない答えだね」


世界を正解と不正解にしようとするからスッキリしないだけ。

たまには、正解が無いという事の方が正しい。


そういえばいつか誰かに言われた気がする、今は思い出せない誰か。

ほんの少しだけ懐かしい気持ちになりながら、私は扉をくぐった。

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