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死亡フラグ建設

唄は紡がれ始める。


この世界のほんの一部の真実をのせて。


「ふふ、やっぱりミリアルちゃんなんだね」


リュウシュン先輩の声が遠く聞こえる、何を言っていたかわからなかった。

その代わり私の周りには、音で溢れている。


それを、間違えないように一つ一つ音にして宙へ運ぶ。


”生きよ 生きよ 繰り返し言う

愚かな民よ 渇きに負けるな もう一度潤いをやるから


生きよ 生きよ 何度でも言う

夜の闇が怖いのなら もう一度陽を昇らせてみよう


泣くな 泣くな 幼き子よ

戦が怖いのなら 勝利を勝ち取れ 戦を無くせ


泣くな 泣くな 愛しき人よ

罪があるなら 我が許す だから我はまた繰り返す


生きよ 生きよ 全ての大地よ

力が無いのなら 今一度その力を 恵みを 与えん


強くあれ 柔軟であれ 幸あれ

我はもうじき旅に出る


生きよ 泣くな 全ての賢き民よ

この地は今 お前たちに託された 二度と戦火が交わらん事を”


自分の頭に浮かぶ言葉と、口から溢れる音が違う。

それでも私にはわかる、歌詞はこれで正しい。

どこか異国の言葉のようだけれど、懐かしくて涙と一緒に音が溢れる。


唄が終わり竪琴の音が消える。


「あれ、私なんて?」


自分が何をしていたかを思い出せなかった。リュウシュン先輩はその様子に笑いながらも、女神像を指差している。それにつられるように、女神像の方を見る。


いやみてないよ、うん、私は何も見てない。


いや、えっと、女神像が少し歩いて移動して次に進むための道を開けてくれたのは見たよ?でもさ。


女神像が巨大な石の涙を流しているのなんて見てない。

ちょ、ま、こっちに落ちてこないで!? 潰れる! 潰れるからあぁぁぁぁぁぁ!?


「デストリュクション!!」


顔面に直撃する、南無阿弥陀仏!!

と、心の中で唱えたらリュウシュン先輩の詠唱が聞こえ、岩が真上で綺麗に真っ二つに。


「大丈夫ミリアルちゃん?」

「足はついてます」


生きてはいるけども!心臓に悪すぎるよこれ、全部の仕掛けが終わるまで私の心臓大丈夫かなぁ。

あはは・・・。この国、ほんとに碌な事が無いっ!!


「顔色悪いね、少し休もうか」


精神的に少しダウンしている私を見て、慌てて提案してくれる。

優しさが心に沁みます。


勝手にドラゴン討伐を友達に任せて来る友人とは大違いだ。


ここにはいない、どっかの誰かの顔を思い浮かべため息を吐きながらその場に座る。

リュウシュン先輩はその様子に苦笑しながらも詮索する事なく、隣に腰を下ろす。


「リュウシュン先輩、ちなみにあとどれぐらい仕掛けが?」


怖すぎるけど、心の準備は大切。ほら多少の心の準備が出来ていたほうが精神的ショック少ない気がするし。


「えっと残りの仕掛けは、確か次に巨大迷路の攻略」


う、うん。


「それから、問題を解いて道を開ける仕掛け」


ふむふむ。


「それで最後は、ドラゴン討伐」


なるほど、ってなんだって、ん? ん? あれ、聞き間違えかな!


「センパイ、イマナントオッシャイマシタ?」


きっと、聞き間違えだ。そうに違いない。


「ドラゴン討伐」


聞き間違えじゃ無かったあぁぁぁ!! 何これ、心の準備しててもどうにもならないよ!

精神ズタボロだわ!?


「先輩、私はドラゴンの弱点を知るためにここに来たんですけど」

「そうだね」


意味ないじゃないか! 詳しい弱点分からずにドラゴンと戦うなんて無謀だよ。

さっそく死亡フラグが立ちました。


「そんな慌てなくても何とかなるよ!!・・・・・・・・・・多分」


先輩、聞こえましたからね。今、多分って言いましたよね。多分って言いましたよね!!

うぅ、周りが無謀な事に突っ込む人しかいないのは何故だ。


「そろそろ次いこっか」


先輩がそれはそれは、爽やかな笑顔で言う。

あぁ、なんて爽やかなのかしら。


って、騙されませんからね! 先に言ってよ!? 何で皆土壇場で、危ないことばかり言いだすの!?

皆、鬼なの!?


「ほら、ちゃんとついてこないとはぐれるよ?」


それを言われると弱いんです。もうこれは、腹をくくるしかないよね。


軽くめまいを起こしながらも、元凶の背中に走ってついていく。

女神像の首が何故か転がっていたのは見ない事にした。あれ、これってフラグ??


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