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そして砂漠に雨は降る

「久しぶりだね」


リュウシュン先輩の周りには沢山の本が。どうやらばらまいてしまったようです。

うぅ、毎度毎度面目ない。


「お久しぶりです、すみません」


謝罪してから本を集めるのを手伝う。

それにしても見た事ない本ばかりだな、これはなんて書いてあるんだろうか。

少なくとも私の知っている言語で書かれてない、グニャグニャとした文字で。


「気になるの? これは古代文字で書かれた本だよ。気になったら図書室に古代文字と現代文字を載せた本があるから見てみなよ。それよりも今日はどうしたの?」


本を集め終わり本をじっと見ていたら、隣からリュウシュン先輩が本を持ち声をかけてきた。

今日はどうしたか、果たして素直に言っていいものかどうか。


「ドラゴンについて調べていました」


といっても、嘘をついても無駄な気がしたので素直に言う。

リュウシュン先輩も、自分の事を無知と思うだろうかと恐る恐る顔を上げて様子を見てみる。


「ドラゴン?」


予想とは違って、何故か少し驚いたかのような顔をしていた。


「はい、ちょっといろいろありまして」


「そっか、確か創造召喚魔法が関係あるんだよね。実はさそれで気になっている文献があるんだ。でも一人じゃ入れなくてね、一緒にこない? 閲覧禁止エリア」


少し怪しげにリュウシュン先輩が笑い提案をしてくる。

気になる文献? どうして一人じゃ行けないんだろう? それに閲覧禁止エリアって。


疑問が頭の中でぐるぐるし始めるとリュウシュン先輩が見かねて苦笑しながら次の言葉を言い始める。


「この学校にあるんだよね。立ち入り禁止エリアの中に二人以上で解かなきゃいけない仕掛けで閉ざされた、見るのを禁止された本の数々が」


それは、流石にまずいんじゃないんでしょうか。

突っ込もうと口を開きかけたものの、やはりリュウシュン先輩が喋りだすほうが早く。


「そこにはきっと創造召喚魔法についての本もあったりするはずだから、ドラゴンに対してもっと詳しい事を知れるはずだよ。それに冒険みたいでちょっぴりワクワクしない?」


そういって悪戯っぽく笑うリュウシュン先輩は、少年のようでも妖艶な雰囲気でもあり思わず流されてしまったのは、私の流されやすい性格上仕方ないのだと思う。


だって、やっぱりドラゴンと戦うの怖いし、もっと情報欲しかったし。

情報少なかったのがいけないんだ。と勝手に本のせいにしてみる。


「よしじゃあ決まりだね。準備できてるなら今から行こうか、こっちだよ」


意図的にだろう、あまり生徒が通らない廊下を通りながら立ち入り禁止の棟に入って行く。

前の奴隷がいた棟の割と近くだった。


ユンちゃんは元気だろうか。


こんど殿下に頼んで様子を見ていようと思いながらも、はぐれないようにしっかりリュウシュン先輩の後ろをついていく。


こんなとこで迷子とか洒落にならんのですよ。


「この扉を開けたら仕掛けがある部屋に着くよ。最初の仕掛けはこれだよ」


扉を開くとそこには大きな女神像があり、その右隣りには竪琴が置いてあり、左隣の壁には詩らしきものが書かれている。


「先輩これは?」


「第一章、そして砂漠に雨は降る。ここは雨の間っていうんだよ、文献によるとここで一人が竪琴を奏で、もう一人が壁に刻まれた歌詞を歌うんだ。ミリアルちゃん僕が竪琴を弾くから歌ってみて」


第一章?ということは第二章とかもあるんだろうか。ってそれよりも無茶ぶりをしないでいただきたい。

いや竪琴は弾けないから竪琴を弾くよりもマシなんだけれども。


そもそも歌を知らないから!!


「大丈夫、ミリアルちゃんならきっと歌える」


言い分を聞かずに竪琴を奏で始めてしまった。

だからしらな・・あれこれは聞いた事がある。何処で聞いたかは思い出せないけど。


懐かしくて、温かくて、そして何処か寂しい。


気が付いたら口から音が漏れ始めた。

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