創造召喚魔法
結局のところ、あの後話が盛り上がりドラゴンに会いに行きたくないなんて言えず。
休日に外出申請を出し、洞窟に行くことになりました。
やっぱり私、他人に流されやすいな。
でも、ミュアさんに流されていたらいくら命があっても足りないよ!!
ため息を吐きながらも廊下を歩く。いまから一人で図書室に行きドラゴンについて調べてみることにした。
せめて弱点とか分かれば・・・。
そんな事を思いながら、がらがらと扉を開ける。
次の瞬間、思わず回れ右をして帰りかけた私は別に悪くないはず。
「なに? 私がいたら不都合でもあるの。用があってきたんでしょう、用を済ませたら?」
毎度のごとく睨みつけて来るビアンカさんがいました。
ビアンカさんと二人で図書室って私の胃に穴が開く。
そう思いながらも、ドラゴンについて知らないのも困るので諦めてドラゴンに関する本を開く。
ドラゴン、古代の魔法使いが禁忌の魔法の一つである、創造召喚魔法で呼び出した危険な生物の一種。創造召喚魔法にて創り出された生物を総称して魔の生物、魔物と呼ぶ。
創造召喚魔法とは、想いを具現化しそれに命を与える行為を指す。創造までは魔法使いが魔法を使う時に一般的に使っているものではあるが、命を吹き込む魔法は禁忌とされており使用者の生命を削るという危険もはらんでいる。
しかしそれゆえに作られた魔物というのはかなり強力な強さを持っており、小さな村など簡単に破壊出来てしまう。そのなかでもドラゴンは危険度が高く、山を破壊した歴史を持つ。
ドラゴンは、鱗が丈夫で武器はおろか魔法でさえもかすり傷一つつかない。
使用者が、完全なる大地の支配者を望み作り上げた魔物だからと言われている。しかしどのドラゴンも完璧に創造はされていない。身体の細部を想像し作り上げることはたやすくないからである。
そこにつけ込めば勝機はある。
以上・・・。って昔の魔法使いは何してくれているんですか!
なんて恐ろしいものを、禁忌魔法恐るべし。
もしも、魔法使いが化学兵器の構造を知れば量産してしまうんだろうか。
そんなことになったら、戦争で一体どれだけの命が失われるんだろう。
科学と魔法が合わさることで起きる危険性それについて私は考えずにはいられない。
本を読んだ後しばらく放心しまった。
隣にビアンカさんが来た事に気づかなかったのは、失敗だったけど。
「何これ、ドラゴンの本?ドラゴンについてなんて魔法使いの常識じゃない。こんな基礎を確認して何がしたいの?」
うぅ、無知という言葉を使われていないだけで、暗に無知だと言われていて心が痛い。
というかこの程度は基礎だったのか。本当にボロが出まくりな気がしてるのですが。
「まぁ、貴方が無知な事なんてどうでもいいわ」
今度は思いっきり無知と言われてしまった。やめて、私の心はガラスなのよ!
何処か本で読んだようなセリフを心の中で行ってみる。うん、私のキャラには似合わない。
一人脳内会話をしていたら、ビアンカさんが怪しい人を見るかのような目でこちらを。
ま、まさか!
「脳内で話したいなら、声に出さないで」
脳内会話でなく、がっつり声に出ていたようです。穴に入りたい。
とりあえず、恥ずかしさと怖さと情報収集が終わったのとで、いそいで図書室から出た私は一般的な反応だったと思う。別に焦りすぎてこけたなんてそんなことはない。
胃と精神が限界だったため、少し速足で歩く。
俯いて早歩きをしていると途中で何かにぶつかり尻もちをつく。
「ご、ごめんなさい」
「大丈夫だよ、あれ?君はミリアルさん?」
聞いた事のある声に顔を上げるとなんとそこにいたのは、リュウシュン先輩でした。