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枯れゆく花

「ち、違うの! 私は別にいじめたわけじゃ・・そもそも私がくる前から泣いてたし!」


私の疑いの眼差しに気がついたのか必死に弁解してくる。


ルリアルさんも慌てたのを見ると、嘘じゃないと思うけど。


どっちにしても、ミュアさんが突進してルリアルさんを困らせたのは間違えなさそうだから謝っておく。


自分の言い分を信じていないと思ったミュアが隣でおろおろしていたのは、謝罪を優先させたため放置した。


「本当に違うんだってば!!」


いよいよ泣き出してしまった。少し放置しすぎてしまった。


「大丈夫わかってるから。それで、ルリアルさんどうかしたの?」


ミュアさんの慌て方に、ルリアルさん笑い堪えてるのを見ると、少しは元気らしい。よかった。


「えと、その・・なんでもないの・・」


うつむきながら、なんでもないわけないのにそう答える。言えないような事情なんだろう、一旦一人にしてあげたほうが・・。


「なんでもないわけないじゃん! 何かなきゃ泣かないよ。誰かに何かされた?それとも何か嫌なこと思い出した?」


ミュアさん、よく踏み込めるな。ルリアルさんが勢いに押されて数歩後ずさってるよ。というか、若干震えてる?あぁ勢いが怖いのか。


「ミュアさん、ルリアルさんが怖がってるから」


「えぇ!? ご、ごめん」


素直に謝るあたり悪い人じゃないんだけなぁミュアさん。やっぱり周りが見えにくい人なのかも。


「いえ、えっと。大丈夫、です」


ルリアルさんは、それだけ言うとまた花に視線を戻す。この花がなにか関係あるんだろうか?


「もう少しで、枯れちゃいますね」


ジッと、花を観察していたら隣でルリアルさんの声がする。確かに、時期的にもうすぐ枯れて、今度は紫陽花とかが咲き始めるだろうけど。


もしかして、花が枯れるのが嫌だった? いやそれじゃ泣かないか。


「そっか、呪いが解ける方法が絶たれちゃったもんねぇ。偉大な魔法使いでも解呪ができないとわかってショック?それを何をしても枯れちゃう花と重ねてたとか」


ミュアさん、なんでここで呪いの話?

ルリアルさんも驚いて目をパチクリしているし。


「な、なんで呪いのことを」


図星でびっくりしてたんかい! って、呪い?ルリアルさんが呪いにかかってるの? それはまずいんじゃ・・。


「なんとなく。どんな呪いかまで知らないよ。たださ、呪いが解けない話を授業でした後から、気分悪そうだったから、関係あるのかなーって」


カマかけたわけか。君はいつから探偵になったんだ。


「その、あの。私、昔、魔族に、攫われて。それで、呪いが。そのせいで、数年後、死ぬの」


死ぬ呪いなんて有りなの!? 相変わらず魔法恐ろしいな、あれ? そういえば魔法で殺人を犯したら証拠ってどこにあるんだろう?


指紋残らないし、凶器魔法だし、まさか迷宮入り? そんなわけないよね、うん、そう信じたい。


「死ぬ呪い。じゃあ、複雑な呪いだから魔族でも解けないね。だったらさ! 私達で解ける可能性あるよ! 条件を満たせばいいだけなんだからっ」


「え、あの、でも。条件って、難しいんじゃ、普通に、解けないから、みんな断念するって」


みんなが断念するほどの条件ってなんだろう。ドラゴンとか、またファンタジーチックなのくるのか?それだったら無理かも、それに怖い。


「大丈夫! こっちには2属性操れるミリアルちゃんがいるんだよ! ドラゴンでもなんでも来やがれっ! だよ」


人に丸投げするんじゃない!!

私、生きていられるでしょうか。


「解呪条件は、ドラゴンが守る、秘薬が、洞窟に、あるから、それが効く、らしい、でも無理だよ、いくらなんでも、ドラゴンなんて」


リアルにドラゴンだった。ミュアさんもドラゴンのくだりは冗談だったのか顔が引きつってる。


「・・・なんとかなるよ!」


「いや、ならないからっ!? ドラゴンとか死ぬわっ」


ハッ、思わず全力で突っ込んでしまった。だって、ドラゴンって、魔法使い初心者に鬼畜すぎでしょ!? 物語だと終盤に出てくる奴のはずなんですが!!


「死ぬときは、一緒だよ」


重いです、やめて巻き込まないでミュアさん!あ、ルリアルさんがなんかヒーローでも見るかのような目でこっちを見ないで、いやあぁぁぁぁっ。

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